第13回:山田裕子 理事

(認定NPO法人大阪NPOセンター 理事・事務局長)

 

1995年に発生した阪神・淡路大震災。このような大災害も日本社会にとってマイナスだけではなかった。ボランティアが注目され、NPO法の制定への原動力となった。その後、市民活動のプレゼンスが急速に高まり、法律の制定が社会全体に及ぼす影響の大きさを実感すると共に、公共サービスを行政にだけ任せるのではなく市民自らが担うべきであるという自主・自立の意識が高まり、自然を破壊する経済成長至上主義から循環型社会へ、地域コミュニティに根ざした支えあうまちづくり等々これから日本の目指すべき社会への動きが活発になってきた。

そんな中、まだまだ発展の途上にある2011年、未曾有の災害が起こってしまった。このような尊い犠牲が新しい社会づくりに活かされずに、社会が何も変わらなければあまりにも無力であると言わざるをえない。社会性と事業性を兼ね備えた事業であるソーシャルビジネスが、柔軟でユニークな発想で新しい社会をつくっていく責務と使命を託されているとも言える。

ソーシャルビジネスは誰もが経験したことのある市場を利用して、ステークホルダーに社会的課題を認知させたり、社会的課題の解決に参加させたりするシステムの一つである。最初は生活を守るというかたちからスタートすることが多いと思うが、それは同時に豊かさとは何かという問いも自らに突きつけることにもなる。市民一人ひとりが真の豊かさを実感できる社会を築くには、活気に満ちた個性のある地域の創造が不可欠である。つまり市民自らが自発的に社会的サービスを創造する社会である。それには、住民が地域によって異なるサービスに魅力を感じ、これを積極的に受け入れようとする感覚が育っていなければならない。

また、健全な地域社会は企業活動を効率的に行うための条件であるとも捉えられる。ソーシャルビジネスの強みは社会的資源を開発し、組み合わせて社会的な事業や場をプロデュースしていくことにある。中小企業であっても環境レポートや災害時の事業継続計画(BCP)等を積極的に活用しながら、この作業を通して地域社会と関わり、社会の課題やニーズを知ることで、新たなビジネスチャンスの機会を得る。

このように、ソーシャルビジネスの要素は市場と社会の関係性に焦点をあてながら事業化を進めていくことであり、社会的ニーズの領域が拡大してきている昨今、誰がどんなスタイルで担当するかは、その社会の選択であり、企業がそういう担い手になっている事が多くなってきている。どこまで、社会のしくみとして変化していくか注目したい。

 

  • facebook