第17回:永沢映 理事
(特定非営利活動法人コミュニティビジネスサポートセンター代表理事)

 

一般企業もCSRやCSVを目指し、NPOや公益法人も事業化・自立化を目指し、かつての「営利と非営利」「ビジネスとボランティア」または「官と民」という2つのカテゴリーに明確に分ける時代ではなく、お互いが事業性と社会性の両立を目指すようになっています。

 

では、改めてソーシャルビジネスとは何なのか、本質はどこにあるのでしょうか。それは第一義として、地域や社会、市民が抱える問題や課題を明確にすることにあります。その課題に対して、ボランティアで解決したり、企業が営利目的で参入したり、行政が公共サービスの一環として解決を図ります。しかし、市民の生活が多様化、複雑化をしています。保育園をつくれば待機児童の問題が解決したり、福祉施設を開設すればシニアが満足できる暮らしを手に入れられる、過疎地で食品や日用品を届ければ買い物難民の問題が解決されるという単純なものではありません。市民は機械的な支援ではなく、豊かで楽しく暮らすためのサービスや環境づくりを求めています。

 

このような中、地域や社会で暮らしている市民一人一人が自分にとって豊かさ、幸福感を感じる暮らしの実現に向けて、市民自身も関わり、持続的な手法を持ちいて解決を図るものがソーシャルビジネスです。つまり、「困ったニーズ」が存在していれば、そこには市場が存在し、ビジネスの可能性があるという言い方に置き換えることもできます。

 

東北の震災においては、まさに日本の抱える高齢化、過疎化、人口減少といった複合的な課題が顕著に表れ、一方ではボランティアや行政による公助だけではなく、ソーシャルビジネスによる共助、自助の取り組みが不可欠になっています。実際にそこで多くのソーシャルビジネスも活躍をしています。

 

ソーシャルビジネスが持続的に地域や社会の課題を解決するためには主に3つのポイントがあります。

1.生活者の目線、視点で地域や社会、市民の抱える問題、課題を明確にする(社会性)

2.新しい課題解決のソーシャルビジネス手法を発想し、対価を払う価値のある工夫をする(革新性)

3.事業が継続・発展し、その利益が地域や社会に還元される共益性のある事業とする(事業性)

 

この3つのポイントが伴ってはじめて多くの賛同や支援、共感を得た事業になり、ソーシャルビジネスと呼ばれるものに育っていくのだと思います。まだまだ社会や地域には新しいアイデアとともに解決が求められている課題が沢山あります。ぜひ多くの市民に関心を持っていただき、担い手として、またはサポーターとして参画をしていただきたいと思います。

 

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