第18回:猪子和幸 監事
(NPO法人 ジェイシーアイ・テレワーカーズ・ネットワーク 理事長)

 

「互いの個性と人格と生き方を尊重し合い、共存・共栄する社会」こそが、人間社会の真の在り様であり、「働くことを通して自己実現を図り、社会に貢献すること」が、すべての人の権利であるとともに厳粛な義務であるとの強い思いから、平成11年4月、ジェイシーアイ・テレワーカーズ・ネットワークを創設した。

 

私たちは、「心身の障害、難病、高齢などのために、社会生活・職業生活の中で弱者の立場を強いられている人たち(チャレンジド)の社会的・経済的自立の実現」を目指している。

 

事業の創出と展開にあたっての基本理念は以下の通りとなっている。

・ICT利活用技術を習得し、インターネット環境を活用することにより、各自の特性に応じた「生きる力」と「働く力」を身に付け、「時間」と「場所」の制約から解放された、 新しい「ワーキングスタイル」 と「ライフスタイル」を創出・実践する。

・チャレンジド自身による「ICT教育の拡大再生産」を反復・継続することにより、事業の「持続的発展」を支える人材を、全て自己調達する。

・誇りを持って取組める仕事を創出するために「障害者だからこそできる仕事」をシビアに選択する。

・逆転・反転の発想で生き方の意識改革(移動障害者だから、職場に出向かなくても良い。)をする。

・「JCIブランド」(「どんなことでも、JCIに頼めば、熱く受け止め、自分のこととして真剣に取り組み、必ず、期待を大きく上回る成果を返してくれる」という厚い信認)を浸透・定着させる。

・「退路を断って前に道を拓く覚悟」を共有し、「前進」の原動力とする。

 

現在の事業と将来の計画についてご紹介したい。

・ウェブアクセシビリティ診断・評価・修正業務の継続受注:平成15年、アクセシビリティJIS制定の年に立ち上がった「NPOアクセシビリティ支援プログラム」への参画を機に、株式会社インフォクリエイツ様による10年間に亘る強力で熱いご指導・ご支援を得て、診断技術者を養成し、年間1、000ページに及ぶ診断(中央省庁を中心)を受注している。株式会社インフォクリエイツ様は、本年4月当初に、日本適合性認定協会【JAB】からWebアクセシビリティの第三者認証機関に認定され、この分野では、世界初の検査機関となった。

・「JCI在宅就業支援センター」をICT基盤とした、テレワーカーの育成とテレワークの推進:本法人が「地域雇用創造ICT絆プロジェクト」(平成22年度総務省事業)の交付金で構築した「JCI在宅就業支援センター」に実装されている「e-ラーニングシステム」「在宅業務管理システム」「シンクライアントシステム」を活用し、強固なセキュリティで守られた安心・安全な環境でのテレワークの拡充と新しい地域雇用の創出を推進する。25年度後期に、国・県が主催する障害者ICT職業訓練(3か月・340時間)を受託し、全コースを「e-ラーニング学習方式(在宅学習)」で実施した。全国的にも先進事例である。

・障害者雇用拡大への積極的対応(「障害者雇用促進法」改正、「障害者優先調達推進法」施行):「障害者を在宅で雇用することによる経営合理化のメリット」を実証する実績を創出することが、最も効果的な方法と決め、25年後半から「雇用契約に基づく、完全在宅就職」の実現に注力した。結果、東京のIT企業2社に5名、愛媛の建設会社に8名が、テレワーカーとして、就職した。

 

私は「ソーシャルビジネス」とは、自らが第一義として掲げる「社会貢献の理念」に適わぬオファーは、潔く拒否し、経済的に自立・継続・発展する事業体であると理解している。重い言葉である。

 

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