第6回:植木力 常務理事

(株式会社カスタネット代表取締役社長・社会貢献室長)

 
2001年創業。サラリーマン生活で会社に不満があるでもなく、待遇は京都ではトップクラスであった。しかし、小さい頃から起業家にあこがれ、高校生の時は、教科書を殆ど読まず、松下幸之助の関連本を読みあさっていた影響もあって「もっと収入を得てみたい、しかも社会貢献をしながら成功してみたい」という夢があった。松下幸之助が生前「商売はお金儲けだけでは駄目、社会貢献が必要」と言っていた、その教えが20年経ってからよみがえってきたのである。

 
起業してみてビジネスの厳しさを味わうことになり、社内ベンチャー制度といっても、人・物・金の全てを自前で行い、もちろん経営経験もなければ、営業経験もなく、商品仕入れルートの確立していない状態で、顧客ゼロからのスタートであった。結果は、創業2年間で6,000万円の赤字をつくってしまい、月末の仕入代金を払う資金繰りに困り、明日はサラ金にお世話になるという直前のどん底を経験したのである。

 
その状態であっても、創業時の思い、松下幸之助の教えを信じ、軽作業などは授産施設に発注、障がい者スポーツ支援、そしてカンボジアに小学校校舎寄贈活動などを行った。大手企業などが利益の一部を社会還元するメナセ活動が主流の時に、創業まもないベンチャー企業が、しかも倒産の危機にある状態で社会貢献活動をするというのは常識はずれもいいところ、というので周囲の考えだった。

 
しかしその常識外れの行動があったからこそ、顔も名前も知らない方々から顧客を紹介していただき、「どうせ買うなら社会貢献のカスタネット社」という市民活動が自然発生的に生まれ、このような方々に、倒産の危機にあった小さなベンチャー企業を救っていただいたのである。

 
日本社会においては、企業評価の基準は数字に基づいたものになっているが、3.11により他の基準もあることに、多くの人々が気づき始めたのではないかと思うのである。企業が社会に貢献し、人を幸せにしつつ成長しているか、人を不幸せにしつつ膨張しているかのいずれかの基準である。つまり、社会貢献と共に成長する企業が、真のリーダーカンパニーと言えるのである。

 
そんな企業を目指し、それが常識外れではなくあたりまえの社会になるために、ソーシャルビジネスの人材育成(町家塾)に力を入れ、京都から日本を変える原動力になればと思い活動を展開している。

 

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