第15回:町野弘明 専務理事(事務局長)
(株式会社ソシオ
エンジン・アソシエイツ 代表取締役社長)

 

311、東日本大震災から3年が経った。とともにソーシャルビジネス・ネットワーク(以下、SBN)が設立法人化されてから3年。今週末、仙台で「被災地復興ソーシャルビジネスメッセ」を開催するが、振り返れば「ソーシャルビジネスメッセ」と名付けたイベントの開催は3年前の3月、法人化記念も企図して原宿で開催予定だった「メッセ」が震災の影響で中止となって以来である。この3年で被災地の真の「復興」は果たされたか?

 

震災の前年に開催された「メッセ」では「ソーシャルビジネスの時代が始まる今・・・日本の希望、ソーシャルビジネスを始めよう」という日本ソーシャルビジネス宣言がなされ、震災の年に陸前高田で開催された「東北復興ギャザリング」では「今年を“ソーシャルビジネス元年”に」というテーマが掲げられた。今回の仙台では「復興ソーシャルビジネス宣言」の発表が予定されている。震災を乗り越えて、「時代」と「希望」はどう変わったか?

 

震災前につくられたSBNの設立趣意書では「ソーシャルビジネスは、地域社会が本来持っていた人と人との絆や自然と共生する智恵などを再評価し、社会を再構築する試み」と謳っている。震災後に地域社会が壊滅した被災地は、まさに人と人との絆の強さによる“共感資本”と呼べるつながりや、自然と共生するなつかしい智恵による“自然資本”と呼べる伝統など、未来へ向けて再評価でき得る価値観が元来、色濃く残る地域であった。

 

ポスト311、SBNはその被災地で陸前高田を中心に地元との協働によるプラットフォーム形成を基にして、ソーシャルビジネスによる復興事業のインキュベーションや、インターンシップなどによる復興人材の育成、住民と官民連携を意図した復興まちづくりの構想立案など、地域ならではの社会資本の再編集により「復興」を“かたち”にするトライアルを続けてきた。震災の風化が進む今、それが「社会を再構築する試み」につながるか?

 

現在、ミッションの一つである新社会システムの構築として、白紙ともいえる被災地フィールドで“ソーシャルビジネスタウン”といった民間主体の地域経営モデルを構築、それが全国の過疎地での汎用化につながるような共創の場づくりを進めている。例えば、被災者に加え高齢者や障害者など就労が困難な方々にも、真に豊かな社会と生活を支えるような小さくても多様な仕事を編んで「誰にも居場所と出番があるまち」をつくってみる・・・。

 

これから、そんな本来的な「創造的復興」としての「社会の再構築」ができるとすれば、課題先進国・日本も課題先進地域・東北から変われるかという「希望」につながる想像に灯が燈るだろう。もし、更に社会的に弱い立場に立たされた東北の被災者が、かつての賢治や寺山らのような東北ならではの「弱さ」の「強さ」を持つ想像力で共創を試みるならば、人間的な生き方・働き方が見直される今の「時代」の先駆者になり得るかもしれない・・・。

 

3年前、「ソーシャルビジネスの“日本初”で“日本発”による経済団体」として立ち上がり、今までこのような試行錯誤の道をひた走ってきたSBNを支え続けて頂いたみなさまには改めて深謝申し上げる。ポスト・ポスト311ともいえる今後、引き続き“元年”よりソーシャルビジネスの時代が深まっていくか、変わらず“東北発”で日本に希望を抱いていけるか、そんな更なる想像の灯がなつかしい未来の道程を照らしていることだろう。

 

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