第14回:日野公三 理事

(明蓬館高等学校 理事長兼校長 / 株式会社アットマーク・ラーニング 代表取締役社長)

 

思うに右翼対左翼という対立軸はもはや現実的ではなくなっている。そもそも「民主的」「非民主的」という区分けもあやしい。総論と各論の不一致がどんな人にも多少なりともある。近年のEC各国などで行われるデモの際のスローガンや争点などを見ると、「ローカリスト(地元主義者)対「グローバリスト(地球主義者)」。「国益重視派」対「生活重視派」などが散見される。あるいは「エコロジスト(持続可能性重視派)」対「エコノミスト(市場原理尊重派)」の対立軸だ。それに私見だが、「私益(プライベート。ムラ社会含む)重視派」対「公益(ソーシャル)重視派」も交じってくる。あらゆる組織の中のマトリックス(象限)の作り方も上記に従うと整理できる。そんな風に考えると世界は一見複雑に見えるが、案外そうでもないとも言える。

 

2011年3月11日東日本大震災、東京電力原発事故から3年がたつ。(私は東電と国が加害者である原発事故に「福島」という地名が入るのをよしとしない。)自然災害や事故を前にして、従前からの知的権威や政治的権力などが無惨なまでに無力であることが露呈してしまった。それが数十年に一度起きる程度の有事や変化であったならばともかく、百年に一度、あるいはそれ以上の時間軸で起きるものであった場合、われわれ大人の思考や知性や経験則が機能しないことにがくぜんとさせられた。以来、学校教育に従事していた私は、行動の軸に十代の生徒達から学ぶ姿勢をより強く持つようになった。

 

世の中の仕組みが大きく変わったとき、すなわち、革命が起きる時を思い起こすと、知識体系のチェンジ、新旧交代がダイナミックに起きている事実が浮かび上がってくるからである。

 

20世紀の100年間で地球上の人口は16億人から66億人と50億人も増えた。すでに70億人になっていて、2050年には90億人に達し、人類は環境や食料やエネルギーをめぐって、緊迫する地球上で人類や生物たちが共存しなければならない。

 

今の高校生たちが人生の折り返し地点に達した頃、地球は大きな岐路に立たされる。未曾有の困難や出来事が子どもたちを待っていると思える。どんな事態が起きようとも、生徒たちはいつも前を向き、胸を張って、あふれんばかりの“強い個の力”で一人で自立でき、かつ仲間とともに生きていける人であってほしいと願う。

 

25年前と今を比べると大きな変化が起きている。われわれの身の回りのことや価値観も大きく変化している。今から25年後の2039年。どんな世界になっているだろう。この命題に対して答えを持つ大人は決して多くない。仮にわかっていたとしても、問題解決に至る行動を自覚的に出来る大人はもっと少ない。むしろ25年後の世界を感覚的に理解し、構想できる生徒たちは自覚的に行動をするだろう。それを支えるのは今のわれわれ大人の責務だろう。そんなことを考えながら3年がたつ。

 

 

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