活動内容

 

第28回:矢崎和彦 常任顧問
(株式会社フェリシモ 代表取締役社長)

 

フェリシモの本社は神戸にある。

創業の地、大阪から移転したのは1995年9月のことであった。

1月17日に発生した阪神淡路大震災の影響で2月の引っ越し予定を延期せざるを得ない状況となったためだ。

交通機関などの回復を待って本社機能をすべて移転させ、1998年夏には須磨区内に大型の情報物流拠点を開設し全ての機能を神戸に集結させた。

以来19年の歳月が流れた。

 

事業性、独創性、社会性の同時実現。

それまでに数えきれないほど、その言葉を使っていたが、阪神大震災を境にそれが私自身の確信となり、その日からさまざまなことが始まっていくことになった。

それは私の生き方や在り方を大きく変えるばかりか、フェリシモという会社の存在理由をも大きく変えることになっていった。

この間いろいろなことがあった。

さまざまな神戸の復興支援プロジェクトに取り組んできた。

この街の輝きを取り戻すお手伝いをしたい。

それが動機の全てだった。

私たちができそうなことは何にでも取り組んだ。

成功したものばかりではないが、今も続いているプロジェクトもたくさん生まれた。

 

それから16年後の2011年1月17日、私は会社の窓から見える街の景色に目をやっていた。

ここまで美しい町並みが戻ってきたことに少々感傷的になりながら・・・。

そして53日後の3月11日に再び日本を震災が襲った。

神戸の本社も大きく揺れ続けた。

震源地が東北だと知って茫然自失状態となった。

同時に神戸での経験を生かすべき時が来たとも思った。

社員たちも自発的に数々の活動に参画し、東北とフェリシモの新たな取り組みが始まっていった。

被災地の広域性、津波、原発事故など神戸とは事情の異なる点も多かったが、復興を遂げた神戸の企業や市民が果たすべきことは少なくないと思った。

 

私たちの活動をお伝えすることが主旨ではないので、ここで詳しく述べることはしないが、みなさんと共有したいことが一つだけある。

それは先にも述べた事業性、独創性、社会性の同時実現というコンセプトである。

私たち事業者は一様にその営みを全うするためのさまざまなリソースを有しているし、人々にも得意分野がある。

それらを時代が求める社会価値の提供という方向性と重ね合わせることによって、全く新しい可能性が具体的に拡がっていく。

是非、その事実を体認していただきたい。

それだけで全世界の企業がソーシャル・ビジネスの実践者となり、世界中の人々がソーシャル・パーソンとなることができると思うのである。

 

ソウナルト、カワリマスヨ、ミライハ。

 

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