活動内容
シフトラボ事業
日本を代表する社会的企業家と連携し、座学とフィールドワークを組み合わせた体験型の学びや、実際に地域が抱える課題をテーマとした”課題解決ビジネス・ワークショップ”の実施などを通じ、ソーシャル・イノベーションを実現していく、ビジネスや働き方を”シフト”する、ラボラトリー事業です。
事業概要はこちらをご覧ください。
プログラムについて
プログラムの基本フロー
SDGs、地方創生への対応や、シェアリング・ビジネス、CSVの推進などの未来志向による企業行動の実践的ロードマップ構築を支援。
自治体や企業の課題やニーズに応じ、適切なパートナーを選定。社会的課題対応型の、社会的事業創造や自立型地域経営をサポートします。
1.企業や自治体ニーズと課題の把握、パートナー及び事業選定
- (1)エスノグラフィー調査
エスノグラフィー調査により、地域のステークホルダーの声を収集します。エスノグラフィー調査とは、もともとは文化人類学の研究手法として、対象となる部族や民族の「文化」における特徴や日常的な行動様式を詳細に記述する方法のことを指します。今日では消費者(生活者)ニーズの深い理解を促し、人間中心の製品開発に活かそうと、様々なビジネスシーンで活用されています。 - (2)キーパーソン・インタビュー
産官学民NPO等、ソーシャル・イノベーション・クラスターに基づき、地域の多様なステークホルダー別に、キーパーソンに対するインタビューを実施します。各セクターごとの利害関係等、地域が抱えるリアルな課題を把握すると共に、コミュニティ・リーダーやビジネス・リーダーとしての視野やビジョンを活かし、解決の糸口を探ります。 - (3)パートナー・事業の選定
上記調査結果に基づき、適切なパートナー(社会的企業<ソーシャルビジネス事業者>や中間支援組織、大学など)を選定すると共に、社会性、事業性、革新性(持続可能性)に基づいたソリューションを図ることのできる社会的事業を選定します。
2.潜在的な社会資源の発掘
- (1)CSA(コミュニティ・サスティナビリティ・アセスメント)を活用した資源発掘
住民参加型により、自らのコミュニティ(地域)の持続可能性について包括的にチェックができる評価ツールを活用した資源の発掘を行います。欧米で、エコビレッジを構築していくための指標として使用されているCSAは、大きく「環境」「社会(経済)」「精神(文化)」の3つの観点から、そのコミュニティのサスティナビリティを測定するものです。 - (2)グリーンマップを活用した資源発掘
住民が自ら、「地図を作る」という行為を通じて、自分の暮らしているまちの環境にいいもの、環境に悪いものを調査する手法を活用し資源発掘を行います。世界共通の169個の「グローバルアイコン」と呼ばれる絵文字に加え、地域オリジナルのアイコンも加えながら、地図に地域資源をマッピングしていきます。 - (3)その他のツールを活用した資源発掘
CSA、グリーンマップ以外にも、以下の手法を用いた社会資源の発掘が可能です。
a)ビレッジ・アプレイザル:地域住民が参加するワークショップを重ね、各地位の地域運営(経営)ツールの位置づけで、自律的な社会の循環システムをPLAN→DO→SEAサイクルとして実現を図る手法。
b)プランニング・フォー・リアル:地域の体育館等を活用して、ミニチュアサイズの建物模型を実際に地図上にプロットして、地域の都市計画をシミュレーションしてみるワークショップ手法。
c)地元学:自分たちが何気なく住んでいる地域には、実はすばらしいものがあるという考え方から、地域の「あるもの探し」を行い、外部アドバイザーなどの助言を受けながら、適切な組み合わせを検討する手法。
3.社会的事業構想の策定
- (1)仮説構築ワークショップ
フィールド調査等の分析を踏まえ、課題解決ビジネス・ワークショップの実施を通じ社会的事業構想につながる仮説の構築を行います。 - (2)ソーシャルビジネスの先進・先行事例のベンチマーキング
全国の課題先進地におけるソーシャルビジネスの先行事例を、推進事業のベンチマークとして、ケースメソッドなどの手法を活用しスタディします。 - (3)ソーシャルアントレプレナー・ヒアリング
社会的課題のビジネス化を図るにあたりネックとなることのある従来の法制度や商習慣を、卓越した視野とビジョン、行動力によって乗り越えてきた”チェンジメーカー”としてのソーシャルアントレプレナーに対するヒアリングを行うことで、イノベーティブな事業アイデアの活性化、実現化を図ります。
4.推進プラットフォームの形成
- (1)まちづくり会社
地域ブランド開発や、地域アソート商品の流通等、地域商社としての機能を果たす企業の形成。株式会社としての設置により、営利事業の展開も可能となります。 - (2)産学官民連携推進協議会
自律的で持続可能なまちづくり、地域振興を進めるための多様なセクター、ステークホルダーが関わる推進主体の形成。上記、まちづくり会社との同時設置により、営利事業と非営利事業を適切に選択することができ、より有意義にまちづくりを促進することが可能となります。 - (3)その他の推進プラットフォーム推進手法
ソーシャル・イノベーション・クラスターの形成を意図し、地域の既存のソーシャルセクター調査を行いながら最適な組織ポートフォリオにより、課題解決型NPO、住民参画協議会、コミュニティビジネス団体等、社会的事業の新たな受け皿の組織化を推進します。
5.インキュベーション/ソリューション
- (1)ソーシャルマーケティング・ソーシャルプロモーション戦略、社会的事業構想・事業計画策定支援
ソーシャルアントレプレナーによるワークショップの実施や社会的事業開発の専門家によるコンサルティングなどにより、想定する社会的事業のマーケティング戦略、プロモーション戦略の構築や事業構想、事業計画の策定を支援します。 - (2)ブラッシュアップ・ボードミーティング
ソーシャル・ビジネスプランに対して、先達としてのソーシャルアントレプレナー数名が、それぞれの知見から商品(サービス)開発・マーケティング・財務・人事などのテーマで検証・アドバイスを行う、マンツーマンならぬ1対多 による集中的なコンサルテーション・ミーティングを実施します。 - (3)ソーシャル・ケースメソッド
ソーシャルビジネスの先行事業例を素材とし、実際の諸問題について集団で討議を行い、参画型でソリューションを導き合うファシリテーションを行うことなどにより問題解決能力などの向上を図ります。 - (4)その他のインキュベーション/ソリューション手法
a)ソーシャル・ビジネスプラン・コンペ:ソーシャルビジネスに絞ったアイデアや計画を公募し、選定後ソーシャルアントレプレナーによるハンズ・オン・サポートを受けることのできるビジネスプランコンペ - b)ワールドカフェ:参加者がグループを変えながら課題解決の旅に出るオープンソース型ファシリテーションによるワークショップ
- C)フューチャーデザイン・ワークショップ:参加者が「仮想将来世代」になりきることで将来可能性を最も発揮できるような社会の仕組みや事業をデザインするワークショップ(高知工科大学 高知工科大学フューチャー・デザイン研究所 西條 辰義 所長が提唱)
6.PDCAサイクルによる実験、及び検証
- (1)ソーシャルビジネス・モデル実証実験
想定される事業フィールドにおいて、クラスターの各ステークホルダーの参画により、短期的に実際の事業モデルを実装し、その成果をフィードバックして事業計画策定プロセスに反映します。実験コストはシーズマネーとして、公的資金連携なども視野に入れます。 - (2)マルチステークホルダー・プロジェクト評価
ソーシャル・イノベーション・クラスターに属する各ステークホルダーにより、様々な立場・視点から、多面的かつ立体的なプロジェクト準備を行い、関係者の参画意識を高めると共に、その後の事業主体形成につなげます。 - (3)計画検証・推進ワークショップ
実証実験やプロジェクト評価に基づいた事業計画のブラッシュアップを、ソーシャルビジネス関係者が参画して、集中的なワークショップを継続的に重ねることにより、多角的で多面的な計画検討が図られます。その後の事業主体形成においても、リーダーやキーパーソンを中心にした、求心力のある組織デザインの実現にもつながる場となります。
実績例
地方創生を念頭においたビジネスモデル創出及び事業機会を探索するハンズオン型ケーススタディによる実践サポート・研修プログラム
- ・プログラム内容:地方創生の一貫でSBNが関与している地域である陸前高田市の協力のもと、関連する多様なステークホルダー(NPO、大学、社会的企業家など)との共創によって、地域が抱える社会課題を明確化し、ソリューションを考え、ビジネスモデルの構築及び実践サポートのトライアルを行うリアル研修プログラム。ハンズオン型ケーススタディやSBNの経験・知見により、地方創生や復興関連の案件の組成や、行政予算の獲得等に関するノウハウ・技術共有を図り、事業開発及び水平展開を念頭においたソーシャルビジネス創出プロデューサーの育成にも寄与することを意図する。
- ・実施期間:4か月(月1~2回、全6回)
- ・主な対象者:営業、事業部などの中堅幹部候補(1社2~3名)(※4社の異業種交流形式で実施)
- ・プログラムの構成:
- (1)東京でのオリエンテーション&ワークショップ(1回、4時間)
- (2)東京でのワークショップ(3回、各回4時間)
- (3)陸前高田市でのフィールドワーク(2回、1泊2日)
- 陸前高田市でのフィールドワーク調査による課題発掘、コンセプト立案後の検証、プレゼン報告など
ビジネスシフト・フィールドワーク
- ・プログラム内容:AI や IOT などに代表される技術の超速の進歩、超高齢社会の進展による生活スタイルの変化、環境問題やエシックスに関する社会通念の変容など、人々の生活や意識が大変革の時を迎えている中、新しい事業の興し方(ビジネス・シフト)のヒントを得ることができるフィールドワークとして展開。
- ・実施期間:2カ月(月2回、全4回)
- ・主な対象者:事業開発部、経営企画部の中堅社員(1社1,2名)(※7社が参加)
- ・プログラムの構成:
- (1)東京でのオリエンテーション・ワークショップ
- (2)島根県雲南市(小規模多機能自治推進ネットワーク)、石見銀山生活文化研究所(群言堂)、中村ブレイス株式会社へのフィールドワーク
- (3)パタゴニア日本支社、リコー環境事業開発センターへのフィールドワーク
- (4)東京でのワークショップ
フェアトレード・ビジネス塾
- ・プログラム内容:フェアトレードのセレクトショップLove&sense代表の髙津 玉枝フェローを塾長に、フェアトレードの多様なビジネスモデルを第一線で活躍している方々から学ぶことのできる講座実践的な講座として展開。
- ・実施期間:2カ月(月2回、全4回)
- ・主な対象者:フェアトレードのビジネスをすでに行っているが基本から学びたい方、フェアトレードと関連した事業を構築していきたいと考えている方
- ・プログラムの構成:
- 塾長:高津 玉枝 フェロー(株式会社福市/Love&sense 代表取締役)
- ゲスト講師:
(1)渡辺 龍也 氏(東京経済大学 現代法学部教授/一般社団法人日本フェアトレード・フォーラム 理事)
(2)胤森 なお子 理事(一般社団法人 日本フェアトレード・フォーラム 代表理事/NGOグローバル・ヴィレッジ ディレクター)
(3)水井 裕 氏(株式会社ココウェル 代表取締役)
(4)小澤 陽祐 氏(有限会社スロー 代表取締役)
参加者の声
「シフトラボ」のプログラムにご参加いただいたみなさまの声を一部ご紹介します。
- 「フィールドワークで地域の生活者の方々に直接触れて、生活実感や課題認識など、その生の声やニーズが大変参考になった。やはり現地に足を運んでみないとわからない。自社のコンテンツやキャラクターなどのソフトのリソースを活かした地域振興が考えられれば。自然エネルギー分野のソーシャルビジネスと連携して、循環型のエコビレッジ的な取組みを検討したい。シフトラボのプログラムで訪問した地域を候補エリアにしてみたい。(総合エンタテイメント企業・経営企画部・チームリーダー)
- 「この間、ボランティアとしても東北の被災地に通ってきたが、震災の風化が進む中、持続可能な事業と仕事をつくっていかないと被災地の復興は持続可能にならないと感じた。当面、自社の技術やテクノロジーを使って、シフトラボにも関わる被災地で具体的な事業開発を進め、仕事として東北に関わっていきたい。将来的には、東北・岩手に移住して、好きな伝統文化や祭りを楽しめる生活をしてみたいと思っている。」(印刷会社・マーケティング戦略部・シニアエキスパート)
- 「自分も子育て中で教育問題に関心があるが、なかなか周りと相談する機会がなかったので、関係者によるヒアリングや異業種によるアドバイスなど、大変参考になった。今後、子育てにおいては、現状の学校教育では満たされない情操教育や感性スキルなどが磨かれるプログラムが求められると思う。すぐにそれが事業化という形にならなくても、その領域を学べる研修機会やリサーチ機会が提供されれば有難い。(化粧品会社・取締役・ゼネラルマネージャー)
- 「岩手で10日間、農家に民泊し仕事体験するという社会人インターンシップをして、地域の農業の現状と課題が再発見できた。皆さんに良くしてもらって楽しい経験でもあった。ICTを活用した新たな農業ビジネスを検討中。なかなか学べない現場や属人的な経験値が、今後の全国に向けたマーケティングや開発にも活かされればと考えている。(携帯等移動体通信会社・イノベーション統括部・事業創出担当)
ソーシャルな視野を持つ社員の育成、社会的課題解決をテーマとした事業開発、SDGs事業等の展開をご検討中の企業や自治体等ご担当様
SBNでは、環境、教育、福祉等、様々な分野における実践的な人材育成、コンサルティング、連携等が可能です。ご協力できる主なメンバーはこちらをご覧ください。ご関心のある方は「お問い合わせフォーム」よりご連絡ください。