【レポート】『社会事業家100人インタビュー』特定非営利活動法人きょうとNPOセンター 常務理事 深尾昌峰氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」

12『社会事業家100人インタビュー』

 

 

ゲスト:深尾昌峰さん

特定非営利活動法人きょうとNPOセンター 常務理事
公益財団法人京都地域創造基金 理事長
株式会社PLUS SOCIAL 代表取締役

 

プロフィール

京都府生まれ。熊本県立熊本北高等学校を経て滋賀大学卒業。

大学在学中からボランティア活動に参加。

大学院在学中にきょうとNPOセンターの構想づくりに参画し、1998年に特定非営利活動法人きょうとNPOセンターを立ち上げ事務局長に就任。以来、京都を中心とする市民活動基盤整備に奔走する。

2001年には日本で初めての特定非営利活動法人放送局京都コミュニティ放送を設立。

2003年から2007年までは京都市市民活動総合センターのセンター長も兼務。

2009年公益財団法人京都地域創造基金を設立し理事長に就任。

2009年12月にきょうとNPOセンター事務局長を退任。

2010年4月に龍谷大学法学部准教授に着任。2011年4月から同政策学部准教授。

専門は非営利組織論。

 

<今回のインタビューのポイント>(インタビュアー IIHOE川北)

 

市民活動や市民運動が、社会や地域の課題解決や理想実現のために行われる以上、その支援者も、社会や地域の課題や理想への取り組みを、効果的に支えられるよう、役割や技能の進化を求められる。

支援者の役割と機能を拡充するために、「次へ」「もっと役立つために何をすべきか」という姿勢を形にし続けるために、リーダーはどんな努力と工夫をしたかを、学んでいただきたい。

 

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信用は「借りる」しかない

 

私は1998年にきょうとNPOセンター立上げに参画し、以来、京都コミュニティ放送の設立や京都地域創造基金の立ち上げに関わってきました。今も新しい社会貢献型企業の設立など、いろんなことをしていますが、今の自分の立ち位置を回りから見られると、「それは深尾くんだからできるんだよ」とよく言われます。正直、めちゃくちゃ腹が立ちます。

私は高校卒業するまで熊本で育ち、大学入学を機に京都に移り住んだ時には、京都には誰一人友人はいませんでした。京都は信用や信頼を非常に重視する社会。地元で長く住み、商いを営む人々の信用に、僕なんかは到底太刀打ちできない。そういう中でもがきながら見つけたのは、「信用は借りるしかない」ということでした。

 きょうとNPOセンターの立ち上げの当時、地域のさまざまな人と一緒に構想を練りながら、大学院生だから無償で働けるということで、私が事務局長をやることになりました。京都に何の基盤もない自分がどうやって、ある程度は京都を代表できるような「きょうとNPOセンター」を築いていくか。地域の人や物、資金などの資源の取り合いをせずに、強くしなやかな組織をどうつくるか。信用を重視する京都の地域社会で信頼を得るには、「信用を借りる」しかない。そこで京都の老舗と言われる企業や家元などの伝統ある方々に、徹底的に協力をお願いしに回りました。家元の家の前まで行き、警備の人にどうアポイントメントをとったらいいのかを尋ねたこともあります。そうやってお願いに回りながら、少しずつ応援やご縁をいただき、その細い糸を手繰り寄せながら、本当に少しずつ、きょうとNPOセンターの形をつくっていきました。

 
 

寄付でなく「出資」で経営に参画してもらう

 

「NPOでは信用を得られない」「資金援助をもらえない」と嘆く人たちもたくさんいますが、ちゃんと頼んでいないだけなんじゃないか、きちんとお願いをしていないんじゃないか、と思うことがしばしばあります。「寄付はしないけど、出資ならする」という人も、地域にはたくさんいます。私がそれを実感したのは、コミュニティラジオ局を開設する時でした。

当時、ラジオ局を開設するためには初期投資として約3000万円の資金が必要でした。ラジオ放送をやりたい人は自分たちの回りにたくさんいましたが、お金を持っている人はいなかった。そこで、ラジオ局の広告代理店としての株式会社をつくって、地域の方々に出資をお願いしました。そうすると、応援の仕方として「寄付ではなく出資ならする」という人がかなりいたのです。「京都三条ラジオカフェ」という名のコミュニティラジオなので、三条という地域に根差している企業や住民の方々が、多く理事や出資者になってくれました。

当然、出資にはリスクがあります。経営状態が悪くなれば出資金は戻りません。自分の大事なお金を出資された方々ですから、みなさん非常に厳しい目で経営状態をチェックされます。「ちゃんと活動をしているか」を確認される寄付者の目とは違い、「ちゃんと経営をやっているのか」という地元の経営者からの厳しい目です。それまで味わったことのない緊張感がありました。結果として合計約3000万円を出資で集め、今でも2000万円程度は残っています。「出資金を返して欲しい」と言わない出資者が半数以上おられるのです。その方々からは今も常にボジティブなチェックを受けています。

その出資金で設備を買い、放送をするわけですが、出資金の返済をどう行うかが、また難しい問題でした。「京都三条ラジオカフェ」はラジオ局の広告代理店業としての株式会社を持ちながら、特定非営利活動法人京都コミュニティ放送が放送を行うという、株式会社とNPOが一体となったしくみです。NPOである京都コミュニティ放送が放送の免許を持つ、当時日本初のNPO放送局でした。設立時には株式会社で出資金を集め、そのお金で設備を買ってNPOが会社の設備を借りる形で放送をします。NPO側の現金収入はほぼありません。そこで、その設備費として、5年間無償で会社側に「時間」をプレゼントする、無償で放送枠を提供する、という方法をとりました。放送事業は免許を取ってしまえば、時間が資源であり、商品です。放送局であるNPOから企業に時間を無償提供し、その代わりにNPO側に企業の設備財産を移管していったのです。企業側はその放送枠を売って利益を出し、出資金を返済していきました。いわば、放送局のNPOが持つ財である“時間”とバーターしながら出資金の返済を行ったのです。これがなかなかうまくいきました。

このラジオ局をつくる経験の中で一番よかったのは、「どんなにいいことをしても、継続できなければ意味がない」という経営の基本を地元の経営者たちからガチンコで叩き込んでもらえたこと。出資者や理事の多くが三条という地域で商売をする経営者たちですから、毎回の理事会では真剣な経営の議論になります。どんなにいいプランでも事業として成立しないとゴーサインはでません。彼らとしては当たり前のことなんですね。でもNPOの側からしたら、儲からなくても社会的意義があることはやらなければならない!という使命感がありますから衝突も起きます。理事の企業経営者にとっても、市民的な感覚で町のための事業を組み立てるには、会社のためだけの経営視点ではだめなんだという勉強になった、と後になって言ってもらうことができました。NPO側にとっては経営感覚を磨き、企業側にとっては市民感覚を学ぶ、両者にとっての相乗効果がありました。

 

今あるものにプラスソーシャルアライアンスを組むことでスケールをつくる

 

もう一つ、私が事業をつくる中で気を付けたのは、スケール(規模)をつくること。自分たちの組織を大きくしたいわけではなく、社会を変えるための資源を集めるためには、ある程度のスケールを見せることが必要だと考えました。2009年に京都地域創造基金という財団を作りましたが、資金力もない僕らだけでは地域の課題を解決することはできません。社会の力をどう借りるか。おこがましく言えば、社会の力をいかに引き出すか。いまあるものに「プラスソーシャル」して、様々なアライアンスを組むことで社会を変えていけるのではないか、という発想です。

例えば「居酒屋」プラスソーシャル。京都地域創造基金で「カンパイ・チャリティ」というキャンペーンを実施して、キャンペーン期間内に参加店舗が提供する「カンパイ・チャリティメニュー」を注文すると、販売額の一部が寄付になるしくみをつくりました。お店やそのスタッフ、お客さんに身近に寄付に参加してもらうことを大切にして、寄付先もお店ごとに選んでもらい、各店舗に使途の報告もしています。“京都のまちで循環する支援のしくみ”にこだわり、京都で活動する団体を、京都に根差したお店が応援する、という枠組みです。

このキャンペーンのお願いのために様々なお店に営業に回っていますが、すごいのは、いまだ1件も断わられていないこと。実際にお願いに行くと、「自分の店でこんなことができるのか」と喜んでくれるオーナーさんがいます。そのうちのお一人は全店舗のスタッフを集めて研修までしてくれました。寄付先を選ぶのにも、スタッフと議論して決めてくれて、接客をするスタッフがお客さんに寄付先の団体の活動を紹介できるまでになる。立派なファンドレイザーです。その説明を聞いたお客さんのほとんどがそのメニューを注文、「俺は社会のために飲むんだ!」なんて言い訳にまでなるわけです。そういうことが、居酒屋の力を借りればできるんです。一杯の寄付の額は50円程度と少ないですし、あえて全国規模の大手のチェーンではなく、地元で商売をしているお店にだけお願いをしていますから、正直、合計してもそんなに大きな額にはなりません。でも続けていくこと、そしてこうしたキャンペーンを通じて地元のお店を応援する人が増えることが大切だと思っています。地域のお金が地域で循環するしくみをつくること、そういうしかけを作ることで変えていけることはたくさんあるんです。

 

地域の資源を地域で循環させるしくみをつくる

 

そういう発想でいると、資源が東京に集約されていく現状のしくみに憤りを感じることが多々あります。先日記者発表をした株式会社PLUS SOCIAL、という会社の設立も、その「怒り」がきっかけでした。

(株)PLUS SOCIALは定款で株主への配当を禁じた非営利型の株式会社です。株式会社として一定の収益をあげ、「金銭的な収益」をより積極的に「社会的な利益」に還元していけるような、新たなスキームづくりへのチャレンジです。この会社で、メガソーラーの建設に着手しました。そのきっかけは前述の「怒り」からです。今、メガソーラーの建設が相次いでいますが、そのほとんどが、地域に循環するお金の流れになっていない。地方自治体が広大な土地を貸しても、運営を東京の企業に任せてしまえば、資源が東京に集約されてしまいます。なんとか地域で循環するしくみにできないか、そのモデルが日本にはなかったので、じゃあつくってしまおう、と会社を設立することにしました。

ここでも最初の難関は、初期投資でした。第一号の案件で手掛けているメガソーラーは約2000キロワットの規模で年間1億円くらいの収入になるのですが、初期投資として7億円必要だったのです。普通は7億円なんて集まりません。でも、既存のスキームに「プラスソーシャル」して考えれば、それが実現できたんですね。ただその過程でちょっとしたつなぎ資金が必要になり、3000万円のキャッシュがこの年末に急遽必要になりました。その資金があれば次のステージにいける、というところまできていました。そこでfacebookでつぶやいてみたんです。そうしたら15時間位で応援してくれる人が集まって、3000万円が集まりました。感動しました。「言ってみる」、「やってみる」、「頼んでみる」ことは本当に大切なんです。そしてその「お願い」は自分にとってのプレッシャーにもなりますから、その責任を果たしていかなければなりません。

 

こうやって、今あるものにプラスソーシャルすることで実現できることは本当にたくさんあります。出資者にプラスソーシャルすれば社会的責任投資になり、社会事業を生み出せます。ある程度大きなお金を市民コミュニティ財団が扱うことで、次の大きな夢のための種銭(たねせん)となり、収益を次の出資、地域のための投資的な資金として回していくことができます。やれることの幅がぐんと広がります。

もっといろいろなことにプラスソーシャルすることで、社会にある力を引き出していくことはまだまだできるはずです。僕らが人を育てていくこと、そして支えるためのインフラを本格的に作っていく、つないでいくことで、社会をよりよい方向にもっていくことができる。その可能性を今、すごく感じています。

 

~働ける?から働ける!へ~ 「働き方メッセ」開催決定!(2013年6月22日(土))

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~働ける?から働ける!へ~

一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク/働き方メッセ実行委員会主催

「働き方メッセ」開催決定!(2013年6月22日(土))

https://socialbusiness-net.com/Hatarakikata_Messe/

申し込み:https://ssl.form-mailer.jp/fms/eb063f07249055

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◆働き方メッセとは◆

「働きたい」という思いはあるけれど、様々な障壁や障がいが理由で働くことができない方。

「自分に合う働き方が分からない、 受け入れてくれる企業が見つからない、自分は本当に働けるのか、自分には就職は無理なんじゃないか」と自信をなくし、前に一歩踏み出せないでいる方。

そんな方が「働く」に向けて、一歩を踏み出すためのイベントです。

ご家族として、支援者として、雇用者として、当事者の方々の「働きたい」思いをどのように実現したらよいかと考えている方。

みなさんの気づきが、実現の一助になるかもしれません。

改めて「働く」ということを一緒に考えてみませんか?

私も働けそうだと自信や希望を持てる場、

働ける場所があると気づける場、

働くことに対して向き合うきっかけになる場になればと考えています。

 

◆開催概要◆

◇日時:2013年6月22日(土)10:00~17:00

◇定員:200人

◇会場:匠ソホラ(アイエスエフネットグループ SOHOオフィス6階)

  東京メトロ半蔵門線・銀座線/都営地下鉄大江戸線青山一丁目駅から徒歩3分

  東京都港区赤坂8丁目5番32号 田中駒ビル6階

  http://www.isfnet.co.jp/company/office.html

◇参加費:無料

◇主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク/

     働き方メッセ実行委員会

◇ホームページ:https://socialbusiness-net.com/Hatarakikata_Messe/

◇参加申し込み:https://ssl.form-mailer.jp/fms/eb063f07249055

  ※ホームページからでもお申し込みできます。

◇お問い合わせ:hataraku-info@socialbusiness-net.com

 

◆プログラム ※今後出展企業の情報等決定次第順次WEBにてご案内致します

◇ステージプログラム

 ○基調講演:「知的障害者に導かれた企業経営から皆働社会実現への提言」

  障がい者の雇用を積極的に進める企業の中でも草分け的な存在である日本理化学工業株式会社の会長、大山泰弘氏をお迎えしお話いただきます。

  日本理化学工業 会長 大山泰弘氏

 

 ○クロージングセッション:働ける?を働ける!に

  海津 歩氏(株式会社スワン代表取締役社長/一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク常務理事)

  渡邉 幸義氏(アイエスエフネットグループ代表/一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク理事)

  谷口 奈保子氏(NPO法人ぱれっと理事/一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク副代表理事)

 

◇ワークショップ「みんなで語ろう 作ろう 育てよう はたらきの樹」

就労を目指す方、企業の人事に関わる方、支援者、そしてご家族など誰でも参加できます。参加者同士が直接対話をし、「ともに働くこと」を考えていきます。語り合い、体を動かすアクティブなプログラムです。

 

◇ブース展示:就労困難な方の雇用に取り組む事業者や団体のブースを設け、様々な「働き方」の形を終日展示いたします。

 出展企業:

   株式会社アイエスエフネット、株式会社スワン、社会福祉法人共生シンフォニー 

                              その他順次決定!

 

◇その他、タロット占いコーナー、コーチング体験コーナーも開設します。

 

 

 

【お問い合わせ・取材のお申し込み等】

働き方メッセ実行委員会

担当:前田、冨原

MAIL:hataraku-info@socialbusiness-net.com

【社会人・学生の方にご案内】 「働き方メッセ ~働ける?を働ける!に~」 イベント準備スタッフ募集のお知らせ

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【社会人・学生の方にご案内】

一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク/働き方メッセ実行委員会主催

「働き方メッセ ~働ける?を働ける!に~」 イベント準備スタッフ募集のお知らせ

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「一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(以下SBN)」主催のイベント「働き方メッセ ~働ける?を働ける!に~」が2013年6月22日に開催されます。

「働きたい」という思いはあるけれど、様々な障壁や障がいが理由で働くことができない方。「自分に合う働き方が分からない、 受け入れてくれる企業が見つからない、自分は本当に働けるのか、自分には就職は無理なんじゃないか」と自信をなくし、前に一歩踏み出せないでいる方。そんな方が「働く」に向けて、一歩を踏み出すためのイベントです。当日は障害者雇用を実践している企業、日本理化学工業大山会長の基調講演や、就労困難な方を雇用している団体によるブース出展、企業担当者・当事者・支援機関担当者等様々な属性の方が一同に会し「働く」を考えるワークショップ等、様々なコンテンツを準備しています。

 

約200人の来場が見込まれるこのイベントにおいて、屋台骨を支えてくれる社会人や学生ボランティアを募集します。

 

イベント当日、就労困難者を雇用している事業者や支援機関、当事者や親御さんら約200名との出会いの場があることはもちろん、イベントをより効果的に演出するためのアイデア(当日配布ツールやパネルのデザイン等)や、ソーシャルメディアの活用方法について、皆さんのアイデアを形にできる機会がたくさん待っています!

 

少しでもご興味ある方、まずはお気軽にお問い合わせください。担っていただきたい役割と具体的な作業についてご案内いたします。また、可能であれば以下日程にて全スタッフでの説明会を行いますので、ご参加いただければ幸いです。

 

◆開催概要◆

■日時:2013年6月22日(土)10:00~17:00

■定員:200人

■会場:匠ソホラ(アイエスエフネットグループ SOHOオフィス6階)

  東京メトロ半蔵門線・銀座線/都営地下鉄大江戸線青山一丁目駅から徒歩3分

  東京都港区赤坂8丁目5番32号 田中駒ビル6階

 ■参加費:無料

■主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク/

     働き方メッセ実行委員会

■ホームページ:https://socialbusiness-net.com/Hatarakikata_Messe/

 

 

◆ボランティア説明会◆

お願いしたいボランティア内容等の詳細に関するご説明や、各作業によるチーム分けを行います。

■日時:2013年6月19日(水)19:30~21:00(予定)

■場所:(株)アイエスエフネット 会議室

      東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8階

■地図:http://www.isfnet.co.jp/company/office.html

■ボランティア内容:

イベント開催準備(当日配布資料の作成サポート・セッティング)、イベント開催当日の受付、

会場内外誘導、荷物運搬、来場者案内、記録、ソーシャルメディアを活用した情報発信など)

■人員:10名程度

■応募方法 

下記のフォーマットに記入の上、事務局までメールをお送りください。

メール送付時の件名:働き方メッセ ボランティア応募の件

=======申し込みフォーマット===========

・ご氏名:

・ご所属(学校名/企業名など):

・電話番号:

・メールアドレス:

・応募したきっかけ:

・今回のボランティアで挑戦してみたいこと:

・イベント運営スタッフの経験有無(あればどのようなイベントかも教えてください):

・その他(自己PR、要望などご自由に記入ください):

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■応募締切:6/12(水) ※ただし、締め切り後も相談に応じます。別途ご連絡ください。

■その他:会場までの交通費等についても、誠に恐縮ではございますが、

ご負担下さいますようお願いいたします。なお、イベント当日の昼食は支給します。

■問合先:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク 担当:伊藤

     TEL:03-6820-6300(10:00~18:00)土・日・祝日を除く)

     メール:hataraku-info@socialbusiness-net.com

【レポート】『社会事業家100人インタビュー』株式会社インサイト 代表取締役 関原深氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」

第15回『社会事業家100人インタビュー』

『まっとうに働く人が、まっとうに評価される社会に!』

~障害者福祉事業所の収益性を高める支援と場づくり~

 

ゲスト:関原深さん
株式会社インサイト 代表取締役

プロフィール:

マーケティング・統計解析を専門とし、全社戦略・事業戦略・新規事業の立案及び実行を支援。前職の銀行系シンクタンクでは、経営コンサルタントとして、多種多様な業界・業態の大手企業から中堅・中小、国内外のベンチャー企業まで幅広くサポート。現在は、ビジネスセクターでのコンサルティング・ノウハウを活かして、障害者雇用、福祉施設(授産)向けのコンサルティングや厚生労働省、財団等の障害者に係る研究事業等を実施。

(社)日本マーケティング協会アドバイザー、(特非)edge常務理事をはじめ、多数の役職を兼務。

東日本大震災後、被災地の障害者福祉事業所の製品を全国で販売する仕組み「ミンナDEカオウヤ」を複数企業・団体と共に立ち上げ、現在も運営責任者として奔走中。

<今回のインタビューのポイント>(インタビュアー IIHOE川北)

 「1歩先の視野と半歩先のプログラム」が求められる市民活動や市民事業を支援する者は、手法を紹介したり、課題を指摘したりするだけでは、その役割を果たしたとは言えず、「2歩先の視野」からその活動や事業の対象の未来を見据え、「1.5歩先のプログラム」を用意して、活動者・事業者にとって使える基盤をつくり、提供することが求められる。

 障害者福祉事業所の収益性を高める支援を続けるうちに、東日本震災で被災した東北の事業所を支えるために、多様な人々が、継続的にかかわれるしくみをつくりだされた経緯と、その工夫のポイントを、ぜひ学んでいただきたい。


“障がい×付加価値”で工賃を向上させる

 障がいを持つ人たちの月額工賃は、平均約13,000円(厚生労働省によると2011年度実績で13,586円)。これとは別に社会保険として受け取る障害者年金が、重度の人で月額8万円から9万円、軽度の人だと6万円から7万円程度。仮に一定レベルの生活水準で生活費を月10万円と見積もると、少なくともあと1万~3万円は足りないわけです。

そういう中での月額工賃が約13,000円。これはそもそも、1人の人間として生活する水準には足りてないということです。

工賃を増やすには、製作・販売している商品の売上を伸ばすしかない。そこにマーケティングの発想を入れて、利益を残せる商売をサポートしていこう、というのが私たち(株)インサイトの仕事です。

多くの福祉施設の事業が拡大できない最も大きな理由は、企画や生産から販売までバリューチェーン全体をやってしまっていること。自分たちで仕入れて加工しそれを販売する、それも本来の支援業務をしながら実施しなければならない。一般企業と比べたら厳しい戦いとなる。そこに「障がいを持つ人の福祉的事業である」という特性をつけたとしても、競争の中で勝ち抜くことは難しいでしょう。それだけでは足りないんです。たとえば、(愛知県豊橋市のラ・バルカが信州大学病院でカフェを開設する際に)タリーズなどのフランチャイズチェーンの「ブランド力」を使うなど、何らかの付加価値と「障がい」を組み合わせる視点が必要です。

 
ミンナDEカオウヤ、みんなで売ろうや!

 こうした、従来からの問題が改めて顕在化したのが、東日本大震災の被災地にある福祉施設でした。通常、福祉施設の商品は、その施設の近所に住む方たちに販売することが多いので、地域一帯が被災している状況では当然、商品は売れなくなってしまいます。13,000円の工賃が0円になってしまう。震災で生き残っても、その後の生活再建のための収入がない。その状況をなんとかしないといけないと思い、「ミンナDEカオウヤ」のプロジェクトが立ちあがりました。

ミンナDEカオウヤ」は被災地の福祉施設の商品を日本全国で販売して、被災した障がい者の収入や福祉事業所の経営を支えるプロジェクトです。以前からつながりのあった福祉業界の方々に頼んで、被災地で授産品をつくる施設を紹介してもらい、そこの商品を買い付けました。受託販売ではなく、“買い付け”にしたのがポイントです。売れ残っても返さない、売り切る、という覚悟です。しかし立ち上げ当時、インサイトの社員は私ともう一人の男性の二人だけ。だから私たち二人で売るのではなく、“みなさんに売っていただく”という事業モデルを考えました。みんなに売ってもらうための販売のシステム、プラットフォームをつくろう、と。

 たとえば、ある福祉施設の商品を販売しようとする場合、まず問い合わせをして、発注して、商品を受け取り、販売して仕入金を振り込む。福祉施設の側からすれば、受注→発送→請求と代金回収の事務を、発注先の数だけやらなければならないわけです。事務に慣れている施設はあまりありませんから、これだけでも大変です。

そこで我々は、販売の受発注や請求、回収代行だけに特化したシステムを作りました。それがあれば、発注者にとっても、複数の事業所のたくさんの商品を買い付けたい時に便利ですし、受注する福祉施設にとっても大幅な事務負担の軽減になる。それをもし、別々にやった場合には、銀行の振込手数料だけでもたいへんな金額になってしまいます。その手間を省くシステムを我々が提供し、1回5,250円のシステム利用料だけ利用者からいただいています。

さらに幸運なことに、積水ハウス(株)さんに梅田のオフィスビルの中にある店舗スペースを当初3か月間は無償で、その後も特別価格で提供していただき、自分たちで常設の販売拠点を持ち、販売員を配置して売る、というしくみもできました。

販売員の多くは被災地でボランティアを経験した学生たち。有償ボランティアという立場でたくさんの若者に関わってもらうことができました。販売員をつけて常に売る体制を持っている被災地商品はなかなかないので、被災地の福祉施設以外の商品の販売代行もやっています。

もちろん、被災地支援等のイベント店舗での販売もしています。自分たちが直接出店する場合はほとんどなく、実際は様々な企業や団体による販売代行です。私たちのシステムを使って販売したい商品を選んでいただき、販売時に面倒な、アイテムの商品名や価格札、紹介文なども全部リスト化し、ポップをつくってWEBでダウンロードできるようにしています。セールストークのための文書も提供しています。こうした結果、2013年3月末時点での累計売上高は6,957万円になり、商品を仕入れている福祉事業所は66事業所、商品数は365アイテムにまで増え、イベント出展実績も494ヶ所になりました。これは現地の工賃に換算すると、1,000~1,400人に月2,000円の工賃向上効果があった計算になります。

 周囲を巻き込んで大きな流れをつくる

自分がこれまでやってきたことは、「どう巻き込むか」、「どうやったら周囲を巻き込みながら大きな流れを作り出せるか」ということに集約できると思います。どう顧客を巻き込むか、どう社会を巻き込むか。その“流れ”を作り出すには一定の法則があります。最初は小さなゆらぎ。その状態を「創発」と言いますが、個々が一定の規則に基づいて自発的に活動している状態。そういう小さな創発がいくつも起きると、お互いに共鳴して大きな流れができてきます。大きな流れができると、そのメインストリームに周りは巻き込まれて流れが加速する。そうやって大きな変化が起こっていきます。

大切なのは、最初の「創発」を確実に起こすこと。そのためには、まず徹底した議論を行い、流入してくる情報や事象を受け止めること。そしてその議論の中で生まれたアイデアを必ず試してみること。さらにその時の失敗を振り返って考えること。そうすることで自分自身の流れを作り出すことができます。私は、「志」レベルを同じくする者同士が、自分の流れをつくって創発し、立場の垣根を越えて共鳴し合うことで、大きな流れができると信じています。ミンナDEカオウヤのプロジェクトがここまで大きくなったのも、たくさんの創発が共鳴した結果です。仲間と連携し、巻き込みながら大きなうねり、社会変革を生み出すこと。これからもその流れを作るために「どう巻き込むか」を考え続けていきます。

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