「課題先進国会議ステージⅡ 10/17(金)」参加者募集を開始しました

課題先進国会議ステージⅡ
~震災の年に生まれた子供たちの20歳の年に、どんな未来を渡すのか?~

 

東日本大震災と原発事故をきっかけに、“課題先進国”としての姿が露呈した日本。

私たちは昨年度、社会的企業家 熊野英介さん(ソーシャルビジネス・ネットワーク副代表理事、アミタホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長)をモデレーターに、時に社会学者を招き、時にソーシャルシネマを鑑賞することで、現代社会の問題とその要因を見つめ、「これから私たちはどうしていったらよいのか」について、会場と語り合うトークセッション“課題先進国会議”を展開してきました。

今年度はステージⅡとして、生き方、働き方を見直し変えた方々や、人や地球に優しい心地よい生き方、働き方、暮らし方を実践している方々、研究者をゲストにお招きし、問題意識、価値観、実践の仕方などについて参加者と共有し、「震災の年に生まれた子供たちの20歳の年に、どんな未来を渡すのか?」について会場と共に考えていくトークセッションとして展開します。

第2回目は横浜市立大学の上村雄彦教授をお招きし、「地球規模の問題をどうすれば解決できるのか?」について、特にグローバルタックスを中心にお話いただきます。

ぜひご参加ください。

【展開概要】

  • ●日時:10月17日(金)19時~21時(終了後、懇親会を予定しています)
  • ●会場:アミタホールディングス株式会社 東京本店(市ヶ谷駅より徒歩5分)
  • ●募集人数:30名(申し込み多数の場合は先着順とさせていただきます)
  • ●参加費:会員)500円、非会員)1,000円
  • ●主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
  • ●共催:公益財団法人信頼資本財団
  • ●協賛:NEC
  • ●協力:アミタホールディングス株式会社
  • ●連絡先:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
  • (担当)石井 e-mail: ishii@socialbusiness-net.com / ℡:03-6820-6300
     

【プロフィール】

  • ●上村雄彦さん
  • 1965年生まれ。’88年三重大学人文学部国際関係論専攻卒。’92年大阪大学大学院法学研究科修士課程修了。’93年加カールトン大学大学院国際関係研究科修士課程修了。’09年博士(学術、千葉大学)。’93年カナダ国際教育局カナダ日本関係担当官。’94年国連食糧農業機関(FAO)住民参加・環境担当官。’06年千葉大学地球福祉研究センター助教授。’07年同大学院人文社会科学研究科准教授。’09年横浜市立大学国際総合科学部准教授。’12年現職。現在、同大学グローバル協力コース長。国際連帯税推進協議会委員。 主な著作に『グローバル・タックスの可能性』(ミネルヴァ書房)、『グローバル協力論入門』(編著・法律文化社)、『世界の貧困問題をいかに解決できるか』(共編著・現代図書)、『国際社会を学ぶ』(分担執筆・晃洋書房)などがある。
  •  
  • ●熊野英介さん
  • 1956年生まれ。アミタホールディングス株式会社代表取締役。公益財団法人信頼資本財団理事長。一貫して、自然資本と人間関係資本が増加する持続可能な社会づくりに取り組む。また、廃棄物の100%再資源化や地域の未活用資源の利活用を行うなど、常に新たな価値を創出。著書に『思考するカンパニー』(幻冬舎メディアコンサルティング、2008年)、共著に『自然産業の世紀』(創森社、2006年)がある。
     

***お申し込みはこちらからお願いします。 

「みんなの働きたい!応援ゼミナール」 第2回 「生活困窮者支援における官民協働のあり方」 開催報告

「みんなの働きたい!応援ゼミナール」

第2回「生活困窮者支援における官民協働のあり方」

 

●開催日:2014年9月2日(火)19:00~21:00

●会場:SBN事務所

●ゲストスピーカー:

巻口徹さん(横浜市中区福祉保健センター担当部長)

昭和59年横浜市入庁。金沢区福祉事務所保護課でのケースワーカーを皮切りに、福祉事務所でケースワーカー、査察指導員、保護課長、また市本庁で監査担当職員、保護係長等を歴任。平成19年厚生労働省に出向し、社会・援護局保護課課長補佐(運用・実施要領担当)に就任。翌20年度には年越し派遣村を経験し、住宅手当制度の設計にかかわる。21年横浜市に復職、26年4月より現職。

●参加人数:17名(スタッフ含)

●開催レポート:
就労困難者の働き方に関する最新事例をさまざまな角度から考える連続セミナー(全3回)の第2回を開催しました。

ゲストスピーカーにお招きしたのは、横浜市中区福祉保健センターで担当部長を務める巻口徹さん。横浜市中区では現在、来年4月に施行される「生活困窮者自立支援法」のモデル事業に取り組んでいます。そこで、相談支援事業を核とした就労支援や住宅支援の実態を伺いました。

横浜市には18区の行政区がありますが、中区は中華街やみなとみらい地区など、繁華街の商業的な活気がある一方で、簡易宿泊所密集地域である寿町を抱えている点が特徴的です。労働力の需要低下や住民の高齢化により、かつての「日雇い労働者の町」というイメージは既になく、いまでは福祉サービスを必要とする方が大半を占める地域です。

横浜市のモデル事業で特徴的なことの1つは、相談支援事業を直営で行っていることです。現在全国の約150地域でモデル事業が実施されていますが、直営で行っているのは4分の1程度だといいます。直営で支援業務を行えば、住民のニーズを把握しやすく、より効果的な支援につながると考えたそうです。

相談支援事業の対象は、中区在住で生活に困窮し、経済的な自立に向けた支援を希望している方々。「経済的な自立」を果たすには、単なる就労支援だけでは不十分です。たとえば2カ月間の「仕事チャレンジ講座」では、挨拶や自己紹介などの生活面の訓練、人の話を聞くといった社会性を身につける訓練に始まり、清掃の仕事に就くことを想定して清掃器具の操作方法を学ぶ技能習得訓練という3本立てで、実践的な内容を展開しています。

生活困窮者を支援するには、何よりもまず生活困窮者を早期に把握する必要があります。しかし、自ら役所に出向いてくる人ばかりではありません。ハローワークなどの関係機関や、社会福祉協議会などとも連携し、さまざまな方面から支援の必要がある人を役所につないでもらう必要があります。

「役所だけでは真の支援は難しい。ぜひ民間のみなさんとの協力体制を築きたい」。そう話す巻口さんから、民間の力を借りたい機能として具体的に3つの提案がありました。

1)    生活困窮者を発見して相談窓口につなげるアウトリーチ機能
2)    「中間的就労」や高齢者の積極雇用など、生活困窮者を具体的に支援する機能
3)    生活困窮者を地域の中で支え、見守る機能

こうした提案に対して、セミナー参加者同志でディスカッションしてみました。「困窮者が立ち寄りそうな場所に掲示板を設置して支援情報を伝えては?」「地域のイベントで無料買い物券などを配れば、炊き出しに並ぶのは抵抗がある人も出かけてくるかも」など、ごく短時間のグループワークながら、具体的なアイデアが生まれました。

「生活困窮者」というと縁遠く感じてしまいそうですが、ちょっと仕事や生活に困っている人なら身近に大勢いるはずです。そうした人が行政やNPOなどの支援サービスにつながりやすい地域なら、きっとその他大勢の人にとっても暮らしやすい町だろうと思います

●参加者の声(アンケートより一部抜粋)

・きめ細やかな行政の取り組みの実際を理解する事が出来た
・細やかな事例を挙げて説明を聞けて勉強になりました
・横浜市の取り組みは福祉で働く者にとってはとてもうらやましいです!!

【レポート】『社会事業家100人インタビュー』NPO法人 Homedoor理事長 川口加奈氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」 

第31回『社会事業家100人インタビュー』

~「自分ができること」から「問題の解決のために必要なこと」へ~

ゲスト:(特)Homedoor理事長 川口加奈さん

<プロフィール>

14歳でホームレス問題に出会い、「ホームレス襲撃」事件の根絶をめざし、炊出しや100人ワークショップなどの活動を開始。19歳でHomedoorを設立し、多くのホームレスの方々の特技である自転車修理を活かしたシェアサイクルシステムをつくり、現在大阪市内8拠点(相互乗り入れ拠点を含めると20拠点)でレンタサイクル事業を展開。元ホームレスの人や生活保護受給者累計56名に就労リハビリを提供するともに、自転車のシェアリングによる自転車問題の解決も目指している。ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013若手リーダー部門選出。2014年大阪市立大学卒業。


<今回のインタビューのポイント>(川北)

「ホームレス状態そのものの解決のために必要なこと」は何かを考えた結果、ホームレスの「おっちゃん」たちとの関わりの中で、「自分ができること」の支援から「問題の解決のために必要なこと」へ舵を切った、その背景にはどんな気づきがあったのかを学んでいただきたい。


14歳で出会ったホームレス問題

大阪市西成区にある釜ヶ崎は日本で一番ホームレスの人が多い地域です。同級生の中にはわざわざその地域を避けて通学する友人もいて、私も母から「あんたも近寄ったらあかんよ」といわれていました。なぜ行ってはいけないのか、という好奇心から、釜ヶ崎で行われている炊き出しに参加したことがホームレス問題との関わりのきっかけです。

「ホームレス」なのは一体どういう人たちなのだろう、周りの大人が言うように「勉強しないとホームレスになる」のだろうか。ホームレスのおっちゃんに直接たずねてみると、「アホ言え。俺の家には勉強机はなかった。」という答えが返ってきました。当時、中学生2年生だった私は、親に勉強机を買ってもらって、当たり前のように勉強ができる環境を与えられて、勉強を頑張るか頑張らないかを自分で決めることができましたが、ホームレスのおっちゃんたちにはそもそも勉強ができる環境がなかった、貧困の連鎖が背景にある人が多いことを知りました。おっちゃんたちにはそれぞれホームレスにならざるを得なかった理由があります。厚生労働省の「ホームレスの実態に関する全国調査」(2002年)によると、ホームレス状態になる以前は半数が非正規雇用で働いていて、さらにその半数は日雇い労働者でした。日雇いとは、朝に雇用されてその日の夕方に解雇される労働(法律では30日未満の有期契約で雇用される)形態です。日本全体の被雇用者と比較すると、非正規雇用は約3割、日雇い労働者は1.7%なので、非正規雇用や日雇い労働に従事していた人がホームレス状態になりやすいということは、当時、中学生だった私でも理解できました。釜ヶ崎にホームレスの人が多いのは、日本の高度経済成長期に日雇い労働者が集められた地域だったからです。

非正規雇用や日雇いといった労働形態が無くては、日本の経済は成り立たないにも関わらず、その仕事に就いた人がホームレスになりやすいのだとしたら、自業自得では片づけられません。大阪市内では多い年で年間213人もの人々が路上で亡くなっています。凍死や餓死する可能性もある路上生活を誰がやりたくてやっているのでしょうか。

その頃、同年代の若者がホームレスの人への襲撃を繰り返すという事件がありました。その少年達が「社会の役に立たないホームレスを掃除してやっている」と供述しているという新聞記事をみて大変ショックでしたが、ホームレス問題の本当の原因を知る前の自分だったら同じことをしていたかもしれないとも考えました。知ったからには責任があるのではないか、この問題を人に伝えようと決めました。全校集会でホームレス問題についての作文を読んだり、校内で新聞を発行したり、炊き出しのための募金活動をしたり、少しずつ一緒に活動に参加してくれる友達も増えました。自分の学校だけではなく、他校の生徒を100人招きワークショップを2泊3日でするなど活動は広がっていき、16歳の時にはボランティア親善大使にも選ばれ、国際会議にも参加しました。

けれども、中学、高校での自分の活動を振り返ると、活動の前後で、路上で亡くなる人がいることに何の変化もありませんでした。路上から脱出したいと言う人にできることも何も無く、ホームレス状態を少し良くするだけの対処療法に留まっていたのだと気づき、そうでなくて、社会の構造を変えなければと、ホームレス問題で有名な大阪市立大学に進学しました。そこでやっと見つけた仲間2人と一緒に、「ホームレス状態を生み出さない日本」を目指して、2010年、19歳の時に任意団体Homedoor(ホームドア)を立ち上げました。

「自分ができること」から「問題の解決のために必要なこと」へ

ホームレスになりたくないと望んだら誰もがならなくて済む、ホームレス状態から抜け出したいと望んだら誰もが抜け出せる日本をつくろうと、仲間の一人に背中を押され、NEC社会企業塾に入塾しました。そこで、徹底して「ニーズの代弁者であれ」と指導されました。特に、当事者のニーズだけではなく、当事者の周りのニーズも考えるという視点を初めて与えられました。そこで、最初に実施したのが「モーニング喫茶」でした。朝食を提供して、ホームレスのおっちゃんたちと仲良くなってニーズを引き出そうという作戦でした。

全国のホームレスの人の数は、03年は25000人でしたが10年で7500人に減っています。03年から住所でも生活保護を受けることができるようになったためですが、それでもホームレスを続けている人には「国の世話になりたくない」「家族に連絡をとられたくない」等の理由があります。一旦、生活保護受給しても、コミュニティを失ったたり、税金で生活する負い目から再びホームレス状態に戻る人も3割います。そこで、Homedoorでは事業の三つの柱として「ホームレス状態への入口を封じる」「生活保護状態からの出口をつくる」「社会を啓発する」ことを決めました。

最初に、元ホームレス状態から生活保護を受給しているおっちゃんの「出口」をつくろうと考えました。社会から必要とされ、且つ、おっちゃんの得意なことをした方が、自己有用感が高まるのではと思い、おっちゃんたちの得意な自転車修理を活かして、シェアサイクルHUBchari(ハブチャリ)という事業を考案しました。シェアサイクルとは、元々、パリ市で放置自転車問題の解決のために始められた、レンタルサイクルを地域内にあるどの拠点に返却してもよいという仕組みです。HUBchariでは各拠点で自転車を管理・貸出する仕事を元ホームレスのおっちゃんたちが担います。ホームレス問題と放置自転車という大阪市の2大問題を一挙に解決でき、且つ、地域の人も巻き込めるため、この事業に取り組むことに決めました。

拠点を設けるために、自治体へ相談に行くとたらい回しにあい、企業に一坪程の「ノキサキ貢献」をお願いしても、当時、私は大学2年生だったので、最初はなかなか信用されませんでした。大阪市内中のホテルをまわり、ラブホテルにもお願いに行きましたが門前払いでした。1週間だけでいいから置いてくれないかと頼み込み、やっと4か所で実証実験を行ったところ、利用者からの評判が非常に良く、その声が実績となって、最初の拠点を設けることができ、おっちゃんの受け入れもできるようになりました。

10年間引きこもりだったり、たくさんの企業の面接を受けて全部落ちたり、いろんなおっちゃんたちがいますが、Homedoorでは段階的に就労時間を増やす就労リハビリ、面談や交流プログラムを組み合わせて就労支援を行っています。事業を進めていると、おっちゃんたちは自転車修理の他、拠点の看板を作ったり、ハンガーを活用して針金細工の自転車の模型を作ったり、様々な技術を持っていることもわかりました。これらを次の仕事に活かせるよう就労支援しています。

ホームレス状態からの「出口づくり」と啓発活動

実証実験をきっかけにメディアに取り上げられる機会も増え、ライバル店との差別化を目的にノキサキ貢献してくれる企業も増えました。一昨年は住吉区、去年は北区、今年は北区、西成区、平野区の3つの区と放置自転車対策の一環として協働しました。また、大阪市内での提携が進み、現在は20拠点でHUBchariを利用できます。おっちゃんたちへは、Homedoorからは時給500円程度、公的な制度を利用できる方だと数百円を積み増して、多い方で月8万円を支払えるようになっています。

HUBchariをきっかけに次の仕事へ踏み出してもらいたいのですが、なかなか次のステップが踏めない人には中間的な就労を提供してくださる企業の協力が必要で、連携企業も開拓しています。また、使い捨てされがちなビニール傘を修理してリサイクル販売を行うHUBgasa事業も始めました。これまでに75名がHomedoorで働き、そのうち55%の方が次の就労に進んでいます。

HUBchariが軌道に乗ってきたので、就労支援の他にやりたいと願っていた生活支援にも着手しています。まず、HUBchariのおっちゃんや生活保護受給者の方向けに料理や落語体験の教室(CHANGE)を始めました。行政からの委託事業を活用して、引きこもりだった方が教室に通うことで、人前でも話せるようになっています。Homedoor初期の取り組みでは生活保護受給者を対象にしましたが、ホームレス状態の人を受け入れる体制もできてきたので、夜回り活動「ホムパト」も開始しました。夜回りで出会って、関係性を作ることで、Homedoorに相談に来られたら、行政窓口や自立支援センターに紹介したり、その人のニーズに応じて他支援団体につなげたりも出来るようになりました。

就労するためには、就職先が決まるだけでなく、まとまったお金も必要になるので、Homedoor基金を設けて貸付を行ったり、給与の前払いをしたり、日払いしたりして、路上から脱出してもらうための工夫を行っています。携帯電話やスーツを貸し出しして就職活動に役立ててもらっています。

啓発活動としては、「釜Meets」といって、2ヶ月に1回、釜ヶ崎での炊き出しへの参加やワークショップをセットにして計6時間程の体験イベントを行っています。この「釜Meets」のプログラムから街歩きの部分のみを、企業や中・高等学校、大学からの依頼に応じ教材として提供しているのが「釜歩き」です。その他、出張での講演やワークショップ等の依頼に応じ、また、子ども達にホームレス問題を伝える一般社団法人「ホームレス問題の授業づくり全国ネット(通称HCネット)」の事務局を引き受けています。

以上、5つの就労・生活支援事業と4つの啓発事業活動で、年間1800万円程の事業規模です。収入の内訳は、事業収入が3分の1、行政からの委託が3分の1、寄付や助成金が3分の1の収入があります。啓発活動の「釜Meet」、「釜歩き」、講演活動でいただく謝金の他、夜回りや炊き出しは寄付がなければ実施できないため、寄付金も重要な収入源です。主な支出はおっちゃんたちへの謝金と事務局人件費です。事務局スタッフ3名とおっちゃん30名で運営しています。「ネットカフェ難民」や路上には出ていない女性のホームレス問題等、日本の定義では「ホームレス」と呼ばれない方々については未着手なので、今後の課題とし、また、「入口封じ」にも注力していきたいと考えています。

「防災サバイバルキャンプ」参加者募集開始

SBNが支援している、岩手県陸前高田市の復興事業インキュベーション組織、なつかしい未来創造株式会社さんよりご案内です。ぜひお申込みください。

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災害時、自分自身、家族、友人、など大切な人々の命をいかに守れるか、また地域のために、いかに自分が動けるか?

東日本大震災にて被災した陸前高田の事業者らが経験したことをもとに実践型の災害対策プログラムをつくりました。想定される大震災などの災害をまえに、備えておかねばならないと思いつつ、何から手をつけて良いか分からない方、災害対策のヒントを探しておられる方、この機会にわたしたちとともに学びませんか?

今回は、日本のどんな山でも生息している「竹」を使って、非常時に備える「技」を体験しながら、いざという時に必要な「心構え」を身に着けます。

  • ●開催期間:2014年11月22日(土)~24日(祝)
  • ●場所:岩手県陸前高田市内(宿泊:箱根山テラス)
  • ●参加費:無料(交通費等の実費は参加者負担となります)
  • ●定員:20名(先着順とさせていただきます)
  • ●申込みフォーム:https://ssl.form-mailer.jp/fms/9df992ee317586
詳細、お申し込みは以下のPDFをご参照ください。

『社会事業家100人インタビュー』第34回開催決定!! 開催日は9/17 ゲストは(特)ケアセンターやわらぎ 石川治江さん!

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『社会事業家100人インタビュー』第34回(9/17)
ゲストは(特)ケアセンターやわらぎ 石川治江さん!

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社会事業家の先輩にビジネスモデルを学ぶ!

社会事業家100人インタビュー 第34回

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~介護に「契約」を、ケアに「コード化」を~

・ゲスト:(特)ケアセンターやわらぎ 代表理事 石川治江様

http://www.yawaragi.or.jp/

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9月17日(水)19:00~21:00 @ ETIC.ソーシャルベンチャー・ハビタット(渋谷)

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 一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)、

IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 、

特定非営利活動法人ETIC.の協働事業として開催する、

先輩社会事業家からビジネスモデルを学ぶための本企画。

SBN理事・IIHOE代表川北秀人がインタープリターとなり、

直接先輩事業家に学び、質問することができる対話型講座です。

 

今回は(特)ケアセンターやわらぎ 代表理事 石川治江さんがゲストです!

 

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 授産施設を見に行き、そこでできた友人の外出のお手伝いをしたところから、

エレベーター設置運動、24時間365日の在宅福祉サービスを立ち上げられ

た石川さん。

 

「専門性」ではない、「関係性」の中のケアだと考えられていた当時の福祉の

世界に、ケアをする者とサービスを受ける者との間で、何をどこまで期待して

いるのかを明確にするための「契約」の概念を持ち込みました。

さらに、ケアを138種類の作業に分けてマニュアル化。

ケアをコード化してケースごとに管理する情報システムを運用。契約者との確認

や、複数のヘルパー間での業務引き継ぎを革新的に効率化し、同時にケアの質を

保つこの独自のシステムは、介護保険制度の骨組みに大きなインパクトを与えました。

 

現在では、東京都国分寺市・立川市・日野市・杉並区、山梨県上野原市などに拠点

を持ち、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)や介護老人保健施設(老健)、

認知症高齢者グループホーム、訪問介護、通所介護など介護保険事業や障害者総合

支援法事業を中心に事業を展開する(特)ケアセンターやわらぎと(社福)にんじんの会。

 

制度をつくりながら、制度の限界をも見据えて制度にしばられない、本来の介護を

続けてプロとしての人材を育成する石川さんに、これまでの事業の転換点でどんな

判断をされてこられたのか、事業を「マネジメント」するということはそもそも

どういうことなのか、じっくりとお話を伺います。

 

 

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● ゲスト:(特)ケアセンターやわらぎ 代表理事 石川治江さん

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プロフィール:

外資系組織で秘書を務めた後、喫茶店、居酒屋、手紡ぎ工房などを経営する傍ら、

障碍者との出会いから介護・福祉分野に問題意識を持ち、1978年に生活支援ボラ

ンティア組織を発足させる。その後、1987年に非営利の民間福祉団体として

ケア・センターやわらぎを設立。日本初の24時間365日の在宅福祉サービスを打ち

出す。2009年、第1回Social Entrepreneur of the Year (SEOY) 審査委員特別賞受賞。

現在、特定非営利活動法人となった同団体代表理事、社会福祉法人にんじんの会

理事長、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科特任教授、21世紀社会デザイン

研究学会副会長、一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク理事。

「困っている人を助ける福祉」から「当たり前に暮らすための仕組みづくり」を

構築するための活動を続けている。

著書に『介護はプロに、家族は愛を。』(ユーリーグ株式会社発行)、

『水辺の元気づくり』(理工図書株式会社)、『川で実践する』(学芸出版)

などがある。

 

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● 開催概要

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日時:2014年9月17日(水)19:00~21:00

場所:ETIC.ソーシャルベンチャー・ハビタット(渋谷)

渋谷区神南1-5-7 APPLE OHMIビル5階 

   http://www.etic.or.jp/etic/access.html

定員:約30名

参加費:  

 SBN会員: 1,500円

 SBN非会員: 2,500円

  https://socialbusiness-net.com/guide

 

※うち500円は、ゲストの指定する寄付先に寄付させていただきます。

 (参加費は当日、受付にて徴収させていただきます)

※同日にSBN会員申込していただくと、会員価格でご参加できます。

 

対象:

社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方

ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方

 

主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)、

   IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]

協力:特定非営利活動法人ETIC.

 

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● プログラム

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◇ ゲストのご紹介、趣旨説明

◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介

◇ インタビュー

  インタビュアー:ソーシャルビジネスネットワーク理事、  

  IIHOE代表者 川北秀人

◇ 参加者からの質疑応答

 

・参加者からの質疑応答の時間を設けますので、

 ご参加いただく方は1人1回はご質問ください。

 

・ゲストの事業についてご理解いただくために、事前資料をお送りします。

(参加申込いただいた方にご連絡します。)

 

・希望者の方は終了後に1時間程度懇親会にご参加いただけます。

(同会場にて。2000円程度予定)

 

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● 申込みについて

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下記URLのフォーマットに記入の上、9月16日(火)までにお送りください。

定員になり次第、締切らせていただきますので、お早目にお申込みください。

http://goo.gl/skWyL

※開けない場合は、メールにて、お名前、ご所属、ご連絡先(eメール、電話番号)、

SBN会員有無、懇親会参加可否 を書いてお送りください。

送付先 hoshino.iihoe@gmail.com

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【お問い合わせ先】

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 IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所] 担当:星野

 hoshino.iihoe@gmail.com 070-6971-3523

※本事業はSBN理事を務めるIIHOE川北と、SBNとの協働事業のため、

申込対応業務をIIHOEにて担当しています。

◇本プロジェクトのfacebookページ

 http://www.facebook.com/100JapaneseSocialEntrepreneurs

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「みんなの働きたい!応援ゼミナール」 第1回「“ユニバーサル就労”という新たな働き方を考える」 開催報告

「みんなの働きたい!応援ゼミナール」

第1回「“ユニバーサル就労”という新たな働き方を考える」

 

 

●開催日:2014年7月29日(火)19:00~21:00

●会場:SBN事務所

●ゲストスピーカー:池田徹さん(社会福祉法人生活クラブ風の村 理事長)

1951年富山市生まれ。生活クラブ生協千葉理事長を経て現職。高齢者介護、障がい児者支援、保育・児童養護など幅広く事業展開、「誰一人として孤立させない地域づくりとしての地域包括ケア」の仕組みづくりに取り組んでいる。自身は1級の身体障害者で、週4回自宅で人工透析を行っている。日本二分脊椎症協会千葉支部、千葉腎友会、千葉市オストミー協会会員。

●参加人数:23名(スタッフ含)

 

●開催レポート:

就労困難者の働き方に関する最新事例をさまざまな角度から考える連続セミナー(全3回)の第1回を開催しました。昨年9月から第2フェイズに入った「働き方委員会」による初の公開イベントです。

ゲストスピーカーにお招きしたのは、社会福祉法人生活クラブ風の村理事長の池田徹さん。生活クラブ風の村は、1994年に全国の生協で初めて介護事業に乗り出した生活クラブ生協千葉を母体とする社会福祉法人で、現在は高齢者や障がい者など3800名もの利用者にきめ細かなサービスを提供しています。

真の包摂型社会をつくる上で、池田さんが大事にしている考え方の1つが「ユニバーサル就労」です。ユニバーサル就労とは、障がいがあろうと生活困窮状態にあろうと、誰にとっても働きやすく、働きがいのある職場環境を目指す取り組みです。生活クラブ風の村では、一般的な雇用形態が合わない人にも、短時間や週に1日だけなど、それぞれの人の個性や事情に合わせた多様な働き方をつくり出し、利用者のうち現在70名が介護補助や清掃などに従事しています。

ユニバーサル就労を導入する際に大切なのは、既存の業務をいかに「分解」できるのかです。事業者の中には、困難を抱えた人にやってもらえる仕事はない、と思う人も少なくないでしょう。しかし、かなり専門的とされる仕事の中にも、実は比較的単純な事務作業が含まれていることも多々あります。そうした業務をうまく切り出して、一般就労は難しくても働く意欲のある人とマッチングすることで、事業者にとってもメリットのある仕組みにしているのが、風の村の提案するユニバーサル就労です。

よりよいマッチングのためには、一人ひとりの希望やスキルを丁寧に見極め、その人に合った仕事をつくらなければなりません。風の村ではユニバーサル就労支援室という専門部署を設け、職場見学や実習も取り入れながら、就労につなげる機会を実に丁寧につくり出しているそう。現場で支援にあたるユニバーサル就労支援室長の平田智子さんと、生活困窮者の自立支援を担当する川上葉子さんからは、マッチングの具体的なプロセスを紹介いただきました。

質疑応答で、組織内部コンセンサスの重要性についての話が出ました。ユニバーサル就労は労働の成果と賃金の相関を単純に測りにくいシステムだからこそ、パートタイマーを含めて職員全員に納得してもらうため、研修を通して意義や目的を何度も伝えているとのこと。仕組みを生かすも殺すも人次第だと言えそうです。

参加いただいた方からは「細かい配慮にビックリした!」と感嘆の声があがる一方、「マッチングの見極めポイントは?」「就労支援室の人にはどんなスキルが必要?」など、具体的にユニバーサル就労を導入する場合のノウハウを問う質疑が数多くありました。それぞれの職場に生かせるヒントが見つかったのではないかと思います。

 

●参加者の声(アンケートより一部抜粋)

・  会社に人を合わせるのではなく、それぞれの事情を勘案できる会社、職場づくりについて共感しました。

・  一人ひとりを大切にしながら補い合うということは就労でも可能であると思いました。

・  ユニバーサルということが結局は”ヒト”の心によって、手によって成り立つというメッセージに共感しました。

・ 期待を大幅に上回る情報をいただきました。本当にありがとうございます。

・ 事業所型中間就労を増やすために企業が何をすべきか、改めて考えてみたいと思いました。

第2回「みんなの働きたい!応援ゼミナール」生活困窮者支援における官民協働のあり方 参加者募集

就労困難者の働き方の最新事例をさまざまな角度から考える連続セミナー(全3回)を開催しています。ゲストスピーカーの講義と参加者同士の対話を通して、具体的な課題解決のヒントを探りましょう。

  • ●日時:2014年9月2日(火)19:00~21:00
  • ●内容:講演、質疑応答、意見交換 *終了後、1時間程度の懇親会を予定しています。(懇親会は任意参加です)
  • ●ゲストスピーカー:巻口 徹 さん(横浜市中区福祉保健センター担当部長 )
  • ●対象:貧困問題に関心のある方、就労困難者の支援に関心のある方、働き方の多様性に関心のある方、働く場づくりに関心のある方、就労困難者及びそのご家族など、立場は問わず広くご参加をお待ちしております。
  • ●定員:20名(先着順)
  • ●参加費:SBN会員:1,000円 SBN非会員:1,500円(当日お支払いください)(SBN入会のご案内はこちら)*懇親会費は任意で別途1,000円となります
  • ●会場:ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)事務所(東京都港区南青山1-20-15 ROCK 1st 3階(地下鉄千代田線 乃木坂駅 3番出口より徒歩3分)
  • ●申し込み:お名前とご所属をご記入の上、メールまたは以下のフォームよりお申し込みください。(先着順となります。ご了承ください。)
     https://ssl.form-mailer.jp/fms/0ba0d447314253    (*電話、FAXでの申込みを希望される場合は、以下問合せ先にご連絡ください。)
  • ●問合せ先:ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)事務局  TEL 03-6820-6300    FAX 03-5775-7671   E-mail hatarakikata@sb-network.sakura.ne.jp
  • ●主催:ソーシャルビジネス・ネットワーク 働き方委員会
     

 〔ゲストスピーカー・プロフィール〕
  巻口 徹 さん(横浜市中区福祉保健センター担当部長 )

昭和59年横浜市入庁。金沢区福祉事務所保護課でのケースワーカーを皮切りに、福祉事務所でケースワーカー、査察指導員、保護課長、また市本庁で監査担当職員、保護係長等を歴任。平成19年厚生労働省に出向し、社会・援護局保護課課長補佐(運用・実施要領担当)に就任。翌20年度には年越し派遣村を経験し、住宅手当制度の設計にかかわる。21年横浜市に復職、26年4月より現職。

  

 
 

 〔働き方委員会とは?〕「就労困難者の働き方」に問題意識を持つ社会人や学生で構成される学びと実践の場。ソーシャルビジネス・ネットワークの活動の一環として2013年9月に発足。「働くことに困難を抱える人の課題解決を通じて、当事者だけでなく、雇用者・支援者を含め、誰にとっても生きたい・働きたい環境を実現する」ことをビジョンに掲げ、さまざまな関係者を巻き込みながら、課題解決に向けた活動を展開していきます。メンバーを随時募集中です。ご参加希望の方は上記の問合せ先までご連絡ください。ぜひご一緒に!

【レポート】『社会事業家100人インタビュー』NPO法人ぐるーぷ藤 理事長 鷲尾公子氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」

第30回『社会事業家100人インタビュー』

2014年6月24日(火) 18時40分~20時40分 
於:横浜市市民活動支援センター セミナールーム1(協力:NPO法人市民セクターよこはま)

NPO法人ぐるーぷ藤 理事長 鷲尾公子さん

 

 

<プロフィール>

母親の介護を7年間経験し、最期まで自分らしく暮らせる街を創るにはどうすべきか専業主婦5人で話し合い、助け合い活動を始める。活動の中で、市民のさまざまなニーズを聞き取り、市民による市民のための福祉マンションを作ることを決意する。2007年、高齢者住宅や障がい者のグループホーム、幼児園、レストランなどがひとつの建物に入った複合型福祉マンション「ぐるーぷ藤一番館・藤が岡」を建設。総工費5億円の大半は、融資と地域住民による出資で調達した。現在、二番館建設に向けて準備中。

 

<今回のインタビューのポイント>(川北)

ただ制度にのっとって進める福祉だけではなく、制度をけん引するくらいの勢いをもつ福祉も必要。組織統治と事業運営のバランスのありかたを、ぐるーぷ藤のあゆみからぜひ学んでほしい。

 

手漕ぎボートからクイーン・エリザベス号へ

1992年、5人の主婦で活動を開始しましたが、当初から、ボランティアではなく事業体としての活動を意識しました。ワーカーズ・コレクティブから始め、99年には特定非営利活動法人格を取得。05年にはNPO法人ぐるーぷ藤に改組し、複合型福祉マンション建設に向けて本格的に動き出しました。07年に「ぐるーぷ藤一番館・藤が岡」(以下一番館)を開所し、13年12月には、認定NPO法人となりました。現在は、二番館建設に向けて、準備を進めているところです。

無謀にも手漕ぎボートで大海に出て、荒波にもまれ続けてきましたが、地域のニーズと向き合って、ひとつひとつ実現していくうちに「(クルーズ客船の)飛鳥になったね、三番館ができたらクイーン・エリザベス号になるね!」と、仲間と話しています。目標通り三番館まで達成した暁には、藤沢市内で一番の活動費が払える組織にしたいと考えています。

といっても、組織や事業規模の拡大が目的ではありません。私たちが一番大切にしているのは、介護保険事業ではできない、当初から行っている訪問介護事業の「本来事業」(注)です。売上は非常に小さいですが、利用者の方々のニーズにきめ細かく応えるためには、どうしても必要です。介護保険・障がい者支援事業は「出稼ぎ」と位置付け、事業全体の考え方のバランスをとっています。ただし、将来的には高齢者住宅の運営など、50%は自主事業で賄いたいと考えています。

(注)以下3つのサービスのこと。①藤たすけあいサービス(産前1か月・産後1年間のお手伝い)、②ふれあいサービス(高齢・疾患のある方、子育て中の方、困っている方への手助け/例:日常的な調理、掃除、洗濯、買物、介護保険でできない院内介助、外出が困難な方の出張理美容)、③ゆとりサービス(高齢・疾患のある方、子育て中の方への自分らしく暮らすお手伝い/例:ふれあいの範囲をこえた家事、大掃除、庭仕事、ペットの世話、お楽しみのお出かけ付き添い、出張パソコン教室)

 

責任と義務と権利が両立する働き方の実現に向けて

福祉に関わる人は「想い」が強い方が多いですが、それだけでは続きません。組織の安定的な存続が事業継続の前提となりますので、組織運営には心を砕き、スタッフが働きやすいよう、さまざまなしくみをつくってきました。現在、3つのプロジェクトを展開しています。

①評価プロジェクト

ワーカーズ・コレクティブでは平等・公平が重視されますが、スキルや経験を積んだスタッフからは不満がでます。好き嫌いや感覚ではない「公正な物差し」が必要だと考え、6年がかりで「DBU」(Dialogue for Brush-Up)という評価シートを開発しました。このシートに基づいて、毎年1月に自己評価、2月に主任クラスが一次評価を行い、3月に二次評価として管理者による面接という流れです。役員は、一次評価は無作為に選ばれた複数のスタッフによって行われ、二次評価は理事長面接です。評価結果と年齢・資格・経験・研修受講実績などをすべて数値化し、次年度の時給やボーナスが決まるしくみです。

②研修プロジェクト

今後の事業展開を見据え、個々人の経験やスキルにあわせた、体系的な研修システムの構築を図っています。13年度は内部研修を117回、外部研修を64回実施しました。管理者には、スタッフが研修に参加しやすいような環境づくり(業務シフトの調整)をする義務があります。海外研修も毎年2名参加し、30万円まで補助を出しています。

プロジェクトのメンバーは、今スタッフにどのようなスキルが必要か、いつもアンテナを張っています。そしてピンポイントで研修を組んでいきます。たとえば、右麻痺のある方の食事介助のスキルをアップしてほしいスタッフがいた場合、研修対象はその部門で働くスタッフ全員ですが、実はその方の食事介助を担当したスタッフが必ず受講できるよう調整します。自ら気づいてスキルアップしてもらいたいからです。

また、現在50名を超える介護福祉士がいますが、皆ぐるーぷ藤に入ってから、働きながら資格を取得しています。福祉関連有資格者には、内部研修だけでなく外部からも講師依頼が多く、スタッフは講師を務めることで、より自覚を高めていきます。

理念の共有の機会としては、年に5回、「理事長と語る会」を開催しています。5つのグループに分かれての会食です。しっかり顔を合わせて、「ぐるーぷ藤は、どこからきてどこにいくのか」を全スタッフに伝えています。

③役員報酬検討プロジェクト

ほぼ3年ごとに、部門管理者および主任などで構成されるプロジェクト・メンバーが、役員の報酬について討議し、答申を出します。役員の報酬がどのように決まるのか、一般のスタッフは知らない場合が多いのかと思いますが、私は、組織の透明性を確保し、民主的に運営を進めたいと考えています。また、役員がどのような責任や業務を担っているのか、メンバーが知る機会にもなっています。


人が人を連れてくる組織は、寄付も集まりやすい

「福祉分野は人材不足」と言われていますが、ぐるーぷ藤では、スタッフを一般募集したことがありません。スタッフが、一緒に働きたい人をどんどん連れてくるからです。研修システムが充実している組織は、離職率が低いというデータがあるそうですが、辞める人も非常に少ないです(先日、宮崎県からわざわざ見学にいらした施設管理者の方は、「離職率の低い組織」でインターネット検索した結果、ぐるーぷ藤がヒットしたから、とおっしゃっていました)。採用のコストがかからないだけでなく、スタッフがあらかじめ志望者にしっかり説明しているので、私が面接で一から説明する必要がなく、たいへん効率的です。

私が面接で伝えるのは、「あなたの子育て・介護で必要な場合は、休暇の権利を保障します」ということと、「そういった権利をだれもが行使できるように、ワークシェア・システムへの協力を果たす義務があります」という2点だけです。「有給休暇の全日消化キャンペーン」を実施した際、管理者は、調整しきれないのではないかととても心配しましたが、結果的には、スタッフ同士の調整でうまくいきましたし、メンバーの結束がより高まりました。働く人が幸せで、友だちに紹介したいような組織でなければ、いい福祉・いい組織はできません。

一番館をつくりたいと考えたときに 資産はゼロでした。そこで、05年12月にコミュニティ・ファンド「ふじファンド」を立ち上げました。匿名組合方式で資金をぐるーぷ藤に貸し付け、利息(年利1.5%)を出資者に配分するしくみです。驚くべきことに、一口50万円で募集したところ、2カ月で9,950万円の資金が集まりました。法律が変わったため、13年4月からは疑似私募債「ぐるーぷ藤・藤が岡債」に切り変えましたが、こちらも3日間で1億を超える資金が集まりました。いずれにしても、ファンドで1億円近いお金を集めたNPOはこれまでにないと言われ、市民からの信頼や期待の大きさを実感しました。これに加え、篤志家からいただいた1億2千万の寄付と銀行からの貸し付けで、07年10月、一番館の開所にこぎつけました。260坪の用地は、都市再生機構から譲渡を受けましたが、これは日本初の事例のようです。


地域とつながる施設で、高い質の食事を提供する

一番館は4階建で、1階は複合型サービス「しがらきの湯」、レストラン「OHANA」、幼児園、24時間対応の相談窓口(NPO版地域包括支援センターと呼んでいます)・事務室、2階が複合型サービス宿泊施設、看護ステーション、障がい者グループホーム、3・4階が高齢者住宅という構成です。

一番館には、利用者のニーズに応えたいと私たちが考えたことをすべて入れたので、実は採算性はあまりよくありません。レストランと厨房は赤字ですが、地域にひらかれた場として重要なのです。スタッフはほぼ福祉職で、車いすでのお客様の対応も手慣れていますし、近所の認知症のご家庭の見守りなどの役割も果たしています。また、福祉施設では、自前で食事をつくると非常に負荷がかかるので、外部の給食サービスに移行するところが多いのですが、ぐるーぷ藤の利用者が元気で長生きされるのは、このレストランの厨房から提供される食事の質が素晴らしいからだと思います。そして、徹底した口腔ケアを行うので肺炎になりませんし、1日2回、スリッパの裏まで消毒するので、感染症は一度も起きていません。

二番館設立にあたっては、一番館の運営を通してわかったことを最大限生かし、運営効率を上げる予定です。

 

リーダーの資質と次世代の育成

団体をつくろうと言った人(=私)がリーダーになるべきではないと思ったので、当初事務局長として裏方を担当してきました。介護保険法と特定非営利活動促進法がいっぺんに来た年に、覚悟を決めて3代目の理事長となり(4・5代目は別の人)、今は6代目を務めつつ、5年計画で次期を担う理事長候補を育成中です。組織のトップには、先見性や問題発見能力、発言力などが必要ですから、普段からスタッフにはそういった視点を持つよう働きかけています。新規事業を立ち上げるだけではなく、それを外に見せていく力もつけてほしいと考えています。

マスコミで紹介されたりすると、他の地域から「同じような施設を(お金も土地も提供するから)つくってほしい」という声をたくさんいただくのですが、今後も藤沢という地域にこだわり、一歩も出る気はありません。住んでいるからこそ地域のニーズがよくわかると思うからです。街づくりはその地域の人こそ中心になるべきなのです。

先の先を考えたら何もできませんので、ここまで向う見ずで走ってきましたが、トップとして責任を取る覚悟はいつもあります。利用者にきちんと説明責任を果たせる、ニーズに対応した活動であれば何をやってもいいと思っています。スタッフにとっては、リーダーが許してくれるかどうかではなく、どこまで責任を負ってくれるかのほうが重要なのです。

(文責:棟朝)

第33回社会事業家100人インタビュー  8月27日(水) @岡山開催決定!!

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◆社会事業家100人インタビュー 第33回
 8月27日(水)19:00~21:00

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~オーダーメード型の体験プログラムで
 グリーンツーリズムを地域産業へ~
 かのさと体験観光協会 事務局長
 仲田芳人様

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日本には、世界に紹介したい社会事業家がたくさんいます。
新たなビジネスモデルを創りだした先輩社会事業家100人に、そのビジネス
モデルを確立した経緯、事業として成り立たせていく段階での経験談を掘り
下げてお聞きする『社会事業家100人インタビュー』。

ぜひご紹介したいお1人が、岡山県新見市でかのさと体験観光協会
活動を続けられている仲田芳人さん。
この夏、社会事業家100人インタビュー第33回は岡山県で仲田芳人さんを
ゲストに迎えます!

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● 開催概要
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日時:8月27日(水)19:00~21:00

場所:岡山市民会館 203会議室
(岡山県岡山市北区丸の内2丁目1番1号)
*路面電車の岡山駅前(停留所)で「東山行き」にお乗り下さい。
城下(停留所)で下車して下さい。下車後徒歩3分です。
http://www.okayama-shiminkaikan.jp/access.html

定員:30名

参加費:1,500円
※うち500円は、ゲストの指定する寄付先に寄付させていただきます。
 (参加費は当日、受付にて徴収させていただきます)

対象:ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方、
仲田さんにグリーンツーリズムのビジネスモデルのつくり方を学びたい方。
社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方。

主催:(特)岡山NPOセンター
共催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)
   IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]

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かのさと体験観光協会、仲田芳人さんのご紹介
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平成14年2月、岡山県北にある新見市(当時は新見市、哲多町、哲西町、大佐町、
神郷町)の住民で立ちあげた任意団体、かのさと体験観光協会

中四国で初めて民間のグリーンツーリズム企画受入団体として設立された同協会
は、瀬戸内海に流れる高梁川の源流域である新見市の豊かな自然環境や地域の
人々のくらしを、都心部の人たちにもおすそ分けしよう、という体験ツアーを
数多く企画・運営。

「釣りガールをめざす女性のためのアユ釣り講座」、「山の精をいただく木の芽
の会」、「夜川体験」、「ばあちゃんの知恵のお裾分け・白菜漬&キムチづくり」
「白菜の株主制度」など四季折々のユニークなプログラムを開催。
棚田の保全活動、幻の備中白小豆の復活栽培により和洋菓子店と連携した和菓子の
商品化や、県など行政との協働事業、かのさとファンクラブ、農家民泊「いろり亭」
との連携など幅広い活動を展開。
年間30を超える体験プログラムを企画し、岡山市や倉敷市を中心に年間約600人の
参加者を受け入れている。

良い企画があっても集客に苦心するケースの多いグリーンツーリズムにおいて、
どのように都市住民に情報を届け、60%強ものリピーター率をあげているのか。
何度も訪れたくなるようなプログラムづくりの背景にある地域住民との交流。
現場に60人ものインストラクターがおり、オーダーメード型の体験プログラム
づくりを可能にしているというかのさと体験観光協会の本当の凄さ、
これまでの事業の成り立ちを詳しく伺います。

【仲田芳人さんプロフィール】
備北新聞社 代表。かのさと体験観光協会 事務局長。
昭和51年駒澤大学卒業後、家業の旬刊ローカル紙「備北新聞社」を継ぐ。
平成14年に中四国で初となる民間のグリーンツーリズムの企画受入団体
「かのさと体験観光協会」を設立し、事務局長に就任。地域の自然、農林業、
生活文化などの地域資源を生かし、地域住民との交流を取り入れた体験
プログラムを企画し、60%を超えるリピート率を誇る。
かのさと体験観光協会事務局長のほか、新見ふるさと塾21事務局長、
NPO法人みんなの集落研究所評議員、NPO法人まちづくり推進機構岡山理事、
岡山県地域づくりマイスターを務める

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● プログラム
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◇ ゲストのご紹介、趣旨説明
◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介
◇ インタビュー
  インタビュアー:ソーシャルビジネスネットワーク理事、
  IIHOE代表者 川北秀人
◇ 参加者からの質疑応答

・参加者からの質疑応答の時間を設けますので、
 ご参加いただく方は1人1回はご質問ください。

・ゲストの事業についてご理解いただくために、事前資料をお送りします。
(参加申込いただいた方にご連絡します。)

・終了後は希望者のみで近くの居酒屋で懇親会を開催します。
(参加費3,000円程度)

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● 申込みについて
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下記URLのフォーマットに記入の上、8月25日(月)までにお送りください。
定員になり次第、締切らせていただきますので、お早目にお申込みください。

http://urx.nu/9Eup

※開けない場合は、メールまたはFAXにて、お名前、ご所属、ご連絡先(eメール、電話番号)、
ご住所(市町村まで)、懇親会参加可否を書いてお送りください。
送付先メール npokayama@gmail.com
FAX 086-224-0997

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【お問い合わせ先】
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 NPO法人岡山NPOセンター 担当:石原、高平
 TEL 086-224-0995
 Eメール npokayama@gmail.com

※本事業はIIHOE、SBN、岡山NPOセンターとの協働事業のため、
 申込対応業務を岡山NPOセンターにて担当しています。

◇本プロジェクトのfacebookページ
 http://www.facebook.com/100JapaneseSocialEntrepreneurs

第35回社会事業家100人インタビュー11月25日(火) @山形 開催決定!!

社会事業家100人インタビュー 

第35回の開催日時とゲストが決定いたしました!!

開催地や内容など詳細につきましては決定次第、随時ホームページ上にてご連絡いたします。

 

<開催日時>
2014年11月25日(火)
18:00~20:00

<開催地>
山形県

<ゲスト>
特定非営利活動法人やまがた育児サークルランド 野口比呂美様

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