&SBNセミナー第4回「まるっと知ろう無形資産~無形資産とは?特許、商標、著作権を中心に~」 参加者募集

SBN会員のみなさまとご一緒に、毎回テーマに沿ったゲストをお招きし、ソーシャルビジネス事業者にとって役立つ情報をご提供したり、これからの日本、世界、次世代のためにできることを考えていったりする「&SBNセミナー」。

第4回目は、弁理士の小野 曜さんをお招きし、特許、商標、著作権を中心とした無形資産全般についてお話をうかがいます。

インターネットを通じて情報が早く広く伝わる時代。情報は資産にもなれば事業や個人の価値を損なう凶器にもなります。

「自分たちの開発したサービスやプロダクトは模倣から守られるものなのか?」
「事業紹介で著名人の言葉を引用したいけど、これって著作権的にOKなのか?」などなど…。

一度、包括的な知識として学んでみませんか。

みなさまぜひご参加ください。

日時と開催手法

2024年9月 27日 (金曜日) 19:00~20:30 Zoomによるオンライン

講師

小野 曜 さん
株式会社 下ル上ル 
弁理士

講義内容

インターネットを通じて情報が早く広く伝わる時代。情報は資産にもなれば事業や個人の価値を損なう凶器にもなります。
本セミナーでは、
①情報のような形がない無形の資産が法律や事業活動においてどのように分類されているか、
②代表的な無形資産である知的財産権(特許権、意匠権、商標権、著作権)とはどのような権利なのか
といった無形資産の基本知識をお伝えします。

参加費

無料

申し込み方法

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&SBNセミナー第3回「循環経済と九州の環境ビジネス~胎動するローカルゼブラとソーシャルスタートアップ」 参加者募集

SBN会員のみなさまとご一緒に、毎回テーマに沿ったゲストをお招きし、これからの日本、世界、次世代のためにできることを考えていく「&SBNセミナー」。


第3回目は、九州のソーシャルビジネス事情に精通している古賀敦之さん(ソーシャルビジネスネットワーク北九州)をお招きし、自治体、企業、市民セクターの動きも俯瞰しつつ、ローカルゼブラとソーシャルスタートアップの今についてお話をうかがいます。

ソーシャルスタートアップの経営基盤強化にふるさと納税を活用する事業を始めた福岡市、社会的起業のインキュベーターであるボーダレス・ジャパン、“シリコンアイランド九州”で半導体産業のサーキュラー化を推進するアミタホールディングスなど、ソーシャルビジネスの動きが活発で、注目を集めている九州。

みなさまぜひご参加ください。

日時と開催手法

2024年8月 26日 (月曜日) 19:00~20:30 Zoomによるオンライン

講師

古賀 敦之 さん
ソーシャルビジネスネットワーク北九州
災害ボランティアチーム北九州 事務局長

講義内容

明治に日本最大の石油輸出港であった九州の門司から始まる近代化の流れの中で、製鉄や化学などの素材産業が発達し現在の環境ビジネスの礎となります。
その環境ビジネスも新たなサーキュラーエコノミーの波の中で、新たな転換期を迎え、九州各地においても様々な環境ビジネスが展開しています。
その他、九州の基幹産業と目される自動車の電動化や再生エネルギーの活用や足元のソーシャルスタートアップまで、自治体や企業、市民セクターによる九州各地の社会的課題の取り組み事例から環境と経済・社会の鼎立について考えます。

参加費

無料

申し込み方法

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丸の内プラチナ大学「Social SHIFTテーブル・コース」2024年 受講者募集を開始しました。

毎回1人の社会的企業家をゲストにお迎えし、未来志向型ビジネスや、新しい生き方・働き方を実践するソーシャル・イノベーターと語り合うことのできる連続講座です。
未来志向型ビジネスや、新しい生き方・働き方を実践するソーシャル・イノベーターと語り合う中で、ライフシフト、ワークシフト、ビジネスシフトのヒントを探ります。
ゲスト講師にゆかりのある地域食材などを使い、3×3Lab Futureのオープンキッチンでつくられた、できたての美味しい食事をとりながら、くつろいだ雰囲気の中での語らいの場です。
少人数で、ゲスト講師を囲んでの展開となります。

9 月 20 日(金)18:30-20:30
100年先もつづく農業のかたちをつくる–ソーシャルベン
チャーとして事業成長を続ける (株)坂ノ途中 執行役員
坂本 洋二さん


11 月 22 日(金)18:30-20:30
「魚が食べられなくなる食糧危機」について、みんなが知
っている状態を創る–NGO代表であり、大学生であり旅
NGOうおゑん 代表 大久保 碧さん


12 月 13 日(金)18:30-20:30
物事を自分ゴトで捉えることができる範囲で、食べる→コ
ンポスト→野菜栽培→食べるの小さな循環をつくる–ロー
カルフードサイクリング(株)
東京事務局 平 希井さん


1月 31 日(金)18:30-20:30
学校が変わる、地域が変わる、子どもが 大人が幸せにな
る–ウェルビーイングに重点を置く教育とは?東京学芸大
学教育インキュベーションセンター
長 教授 金子 嘉宏さん


シラバスはこちらをご覧ください。
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「&SBNセミナー」開催のお知らせ

ソーシャルビジネス黎明期を牽引してきたSBN会員のみなさまとご一緒に、毎回テーマに沿ったゲストをお招きし、これからの日本、世界、次世代のためにできることを考えていく連続セミナーを開催します。詳細はこちらをご覧ください。

「(仮称)Co-Innovation Universityのご紹介」 参加者募集(&SBNセミナー第2回)

SBN会員のみなさまとご一緒に、毎回テーマに沿ったゲストをお招きし、これからの日本、世界、次世代のためにできることを考えていく「&SBNセミナー」。

第2回目は、岐阜県飛騨市で新たな大学「(仮称)Co-Innovation University」の開校に向け準備を進めている井上 博成さん(一般社団法人 CoIU設立基金)をゲストにお招きします。

「(仮称)Co-Innovation University(以下CoIU)」は、理論と実践、対話を通し、持続可能な地域づくりに貢献する「共創」ができる人材の育成を目的としていますが、まさに井上さんは、小水力発電や管理型投資信託などの事業を展開しながら、理論と実践とを日々往復していらっしゃいます。

そんな井上さんが描く人づくりの考え方、大学という事業のあり方についてお話をお聞きします。

みなさまぜひご参加ください。

日時と開催手法

2024年7月11日(木)18:30-20:30 Zoomによるオンライン

講師プロフィール

井上 博成 さん 一般社団法人 CoIU設立基金 代表理事

平成元年(1989年)生まれ。岐阜県高山市出身。東日本大震災をきっかけに地域の新しい価値を感じ、出身地である高山市と京都大学との間で2014年~自然エネルギーに関する研究開始をきっかけに高山市へ戻るようになる。京都大学大学院経済学研究科博士課程研究指導認定退学。主な研究領域としては自然資本と地域金融。自然エネルギーを研究⇔実践する中で、小水力では、飛騨高山小水力発電(株)を設立(2015年)し、そののちも各地に法人を設立しながら全国各地で小水力発電の事業化を行う。木質バイオマスを研究する中でエネルギー利用のみならず、木材そのものの利用に高い関心を持ち、飛騨五木(株)(2015年)の立ち上げや、金融視点から東海地方で当時唯一の管理型信託会社である、すみれ地域信託(株)(2016年)の設立など理論と実践とを日々往復している。

参加費

無料

申し込み方法

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SBN勉強会 参加者募集(&SBNセミナー 第1回)


能登半島地震から半年 現在の状況と私たちができること

能登半島地震の発生からまもなく5カ月。
現在も水道が使えない地域があるなど、復旧・復興にはまだまだ時間がかかることが予想されますが、報道による現地の情報は少なくなってきており、現在のリアルな状況、本当に必要とされている支援などが見えづらくなってきています。

そこで、ソーシャルビジネス・ネットワークのフェローを務めていただいている、能登復興ネットワーク 事務局長の森山奈美さん(株式会社御祓川 代表取締役)をお迎えし、現在の状況についてお話していただくと共に、私たちができる支援について考えるオンライン勉強会を開催します。

みなさまぜひご参加ください。

日時と開催手法

2024年6月17日(月)18:30-20:30 Zoomによるオンライン

講師プロフィール

森山奈美(もりやま なみ)さん 株式会社御祓川 代表取締役

石川県七尾市生まれ。横浜国立大学工学部建設学科建築学コース卒業。都市計画専攻。平成7年 (株)計画情報研究所入社。都市計画コンサルタントとして、地域振興計画、道路計画等を担当。民間まちづくり会社(株)御祓川(みそぎがわ)の設立に携わり、平成11年より同社チーフマネージャーを兼務。平成19年より現職。その取り組みが日本水大賞国土交通大臣賞、ふるさとづくり大賞総務大臣表彰などを受賞。経済産業省「ソーシャルビジネス55選」に選出された。


能登の特産品を取り扱う「能登スタイルストア」を運営するほか、地域の課題解決に挑戦する若者を能登に誘致する実践型インターンシップ「能登留学」、能登半島の地域企業の人材研修・組織開発・採用支援などを担う「能登の人事部」として地域全体の人材育成にも取り組む。能登留学生と生活を共にするインターンハウスの家主でもあり、200名を超える能登留学OBOGが能登に帰る際の拠点になっている。

令和6年能登半島地震をきっかけに能登復興ネットワークを立ち上げ、事務局長として地域内外の活動をつなぎながら、能登の元気を発信し「小さな世界都市・七尾」の実現を目指して日々、挑戦中。

参加費

無料

申し込み方法

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丸の内プラチナ大学「Social SHIFTテーブル・コース」受講者募集を開始しました。

毎回1人の社会的企業家をゲストにお迎えし、未来志向型ビジネスや、新しい生き方・働き方を実践するソーシャル・アントレプレナーと語り合うことのできる連続講座です。
未来志向型ビジネスや、新しい生き方・働き方を実践するソーシャル・アントレプレナーと語り合う中で、ウィズコロナ時代のライフシフト、ワークシフト、ビジネスシフトのヒントを探ります。
ゲスト講師にゆかりのある地域食材などを使い、3×3Lab Futureのオープンキッチンでつくられた、できたての美味しい食事をとりながら、くつろいだ雰囲気の中での語らいの場です。
コロナ禍、オンラインや講演会形式で開催してきましたが、3年ぶりに少人数で、ゲスト講師を囲んでの展開となります。

9月22日(金)18:30-20:30
高田 新一郎さん(NPO法人ほほえみの郷トイトイ 事務局長)
買い物難民、孤独・孤立…、地域課題をソーシャルビジネスで解決し続けるリアルに学ぶ


11月21日(火)18:30-20:30
佐藤 岳利さん(株式会社WISE WISE 最高執行責任者)
ものがたりのある商品を買う–新しい資本主義の中での商品開発/ブランディング


12月8日(金)18:30-20:30
酒井 里奈さん(株式会社ファーメンステーション代表)
未利用資源を再生し循環社会を実現~研究開発型ソーシャルビジネスの今


1月26日(金)18:30-20:30
神田 優さん(NPO法人 黒潮実感センター長/高知大学客員准教授)
「環境保全×地域活性化」におけるソーシャルビジネスの可能性


シラバスはこちらをご覧ください。
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社会事業家100人インタビュー第67回レポート

開催概要

〇開催日:2023年6月15日(木) 18:30~20:00
〇開催手法:オンライン
〇ゲスト:(特) ほほえみの郷トイトイ 事務局長 高田新一郎さん
※今回の「社会事業家100人インタビュー」は、小規模多機能自治推進ネットワーク会議主催の連続オンライン勉強会「初夏の陣」との共催で開催しました。

ゲストプロフィール

高田新一郎(たかた しんいちろう):1970年生まれ、山口市阿東出身。1993年から2010年まで行政職員として勤務。退職後、2011年より地域課題解決に取り組む。2012年「地域の絆でつくる笑顔あふれる安心の故郷づくり」をキャッチフレーズに地域の将来構想「地福ほほえみの郷構想」を提案。地域拠点を核にした住民主体の課題解決のしくみづくりをスタート、地域ニーズをもとにした課題解決のための事業構築に取り組み、ビジネスとして確立することで持続可能な地域運営を目指している。

インタビューのポイント(川北秀人)

移動販売は、独居高齢者などの地域でのくらしを支える重要な社会基盤である一方、収益性は高いとは言い難く、その安定的な継続は困難だと言わざるを得ない。ところが、山口市に合併された山間部の地域運営組織であるほほえみの郷トイトイでは、「売りに行くのではなく、話を聞きに会いに行く」移動販売を中核的な事業と位置付け、収支上も安定を保ち続けている。その経緯と工夫から、地域のくらしを支える基盤をどのように経営するかを、学んでほしい。

インタビューの内容

スーパーの撤退を機に、買い物問題が発生

ほほえみの郷トイトイの活動が始まったのは、山口市阿東地区(当時は阿東町)で唯一のスーパーが、2010年に閉店したことがきっかけでした。新たに出店してくれるスーパーを1年以上かけて探しましたが見つからず、地域の人たちでお店をやることになったのです。しかし、話し合いがなかなか進みません。どうしたら良いかと改めて考えて思い至ったのが、地区の人口は今後さらに減少していくということ。今、対症療法的にお店を作っても、人口減少に伴って成り立たなくなることは間違いありません。他にも、病院がなくなったり、バスが走らなくなったり、これから様々な問題が出てくるでしょう。次々と生まれる課題への対応で、地域が疲弊していくことが予想できました。

地域のみなさんは、課題に直面したときの相談先がわからないことで、不安な気持ちになります。ならば自分たちで課題を解決できるしくみを作り、「スーパーはなくなったけど、人のつながりは増えた」といったように、未来にプラスの変化をもたらしていったら良いのではないか。私はそう考えるようになりました。ただ、地域の方にお話しすると「それは行政がやることでしょう?」と言われてしまいました。一方で、阿東町が山口市に吸収合併されて間もなかった当時、従来よりも行政との距離を感じていた住民からは「これからは行政頼りでは難しいのでは?」という声も上がったのです。少しずつ共感をいただいて、取り組みが前に進み始めました。

最初に行ったのは、「どんな地域にしたいのか」というビジョンを作ることでした。2010年8月から9月にかけて行ったアンケート結果を再分析し、地域内各団体へのヒアリングや高齢者への個別ヒアリングなどを経てまとまったビジョンは、「誰もが笑顔で安心して暮らし続けることのできる故郷を作ろう」。お年寄りの中には、本当は阿東でくらし続けたくても、できないという方がいます。その願いを叶えることが、これから年を重ねていく人たちの希望になるのではないかと考えました。このビジョンの下、我々に必要なものを考えると、スーパーの閉店で失われたのは買い物の場だけではありませんでした。人と出会ったり、地域の情報が行き交ったりする場も、失われていたのです。そこでスーパーの跡地に作るのは、ミニスーパーを兼ねた地域拠点としました。拠点に集まるニーズや不安は、ビジネスの種となります。地域住民が主体となってビジネスを始め、失いかけていた誇りと自信を取り戻そう。そうしてトイトイの事業が始まりました。

移動販売でモノを売るのではなく、話を聞きにいく

2012年にオープンした地域拠点で、お客さんと立ち話をしていて気づいたのが、移動販売を必要とする方の多さでした。また地域のお母さんたちは、自ら地域の声を拾ってきてくれました。「手作りのお総菜が欲しい」という声がたくさんあるというのです。そこで、平均年齢65歳を超えるお母さんたちが、地域拠点に総菜工房を立ち上げてくれました。移動販売を通じてお年寄りの孤立をなくし、お総菜で食生活を整えれば、元気なお年寄りが増えるはずです。消費が増えて地域経済の活性化につながるのではないかと考えながら、2013年に移動販売事業を開始しました。

当初は、旧阿東町の地福地域を1台で回っていた移動販売ですが、口コミが広がり、今は旧阿東町全域を2台で回っています。あるおばあちゃんはスタッフに「私はあなたと話す時間を楽しみにして1週間を過ごしているの」と声をかけてくれたそうです。トイトイの移動販売車が喜ばれるのは、安さや品ぞろえではなく、「トイトイがいるから阿東でくらしていける」と思っていただけるからなのだと思います。また、移動販売車は地域の方同士をつなぐ役割にもなっています。お友達の様子を聞く方や、届け物をスタッフに頼む方も。離れてくらすご家族から「認知症が出ているので気を付けてもらえますか?」とご連絡をいただいたり、私たちからご家族や保健師、ケアマネジャーに連絡して連携したりすることもあります。

私たちが最優先にしているのは社会課題の解決ですので、買い物という場面を使って、人と人がつながることが大切です。トイトイの移動販売車が行っているのは、モノを売りに行くことではなく、地域の高齢者の話を聞くために会いに行くことです。それは、コミュニティを持続させるためのマーケティングにもつながっています。変化する地域の状況を移動販売のスタッフが持ち帰ってくれることで、必要な取り組みを必要なタイミングで行えるのです。

人件費倍増の賭けが、黒字化の転機に

ただ、戸別訪問の移動販売を、住居が点在する中山間地域で行うのは非効率で、利益が出やすいビジネスモデルではありません。それでもあるときから、移動販売車に乗るスタッフを1人体制から2人体制に増やしました。人件費が2倍になる賭けです。あえてこの決断をしたのは、スタッフが1名だと、お客さんと十分に会話できないことがあったからです。阿東のみなさんはトイトイをありがたいと思ってくれているのでクレームが入らず、しばらく表面化しなかったのですが、ちらほらそんな声が聞こえてきました。そこで、「本当にやりたいのは利益を出すことではない。みなさんが求めていることを叶えることだ」と考え、2名体制にしました。1人だと、停車して開店の準備をしながら接客し、会計を終えたらすぐに店じまいをして移動する必要があり、双方のやりとりがどうしても慌ただしくなってしまいます。しかし、2人にすれば、人件費は増えますが、1人は店の準備や片付けに、もう1人はお客さんの対応に、それぞれ専念することができます。研修も重ねた結果、お客様満足度は圧倒的に上がり、売上もスタッフが1人だったころに比べて170~180%と、移動販売事業は一気に黒字化しました。

移動販売車のスタッフたちは出発前に、「あのおばあちゃん、これ好きだから入れておこう」「こんな話していたな」と思い浮かべ、声に出しながら、毎日の準備をしています。お客さんを消費者として見るのではなく、地域の仲間として支えることを徹底しているのです。小さな市場かつ非効率ですが、トイトイの移動販売は、信頼関係で成立する共感と思いやりのビジネスモデルです。

2022年からは、キッチンカーによる巡回型のコミュニティ拠点づくりを始めました。コロナ禍でお年寄りの外出が減ってしまったので、楽しみを作りたいと考えたからです。各集落を巡回し、みなさんでごはんを食べながら、いろんなお話をしています。行政の保健師が参加して、一緒に話をすることも。お年寄りが地域で元気にくらし続けてくれれば、地域の経済にもプラスになります。トイトイに野菜を卸しているお年寄りが、「孫が来るから」と移動販売でお菓子を買ってくれているように、地域の中で経済が循環します。大企業に頼るのではなく、地域で循環するしくみを自分たちで作っていくことが大切だと思います。

誰もが幸せになれるストーリーを描く

トイトイの取り組みは、誰もが幸せになれるストーリーを描くことだと考えています。移動販売がまだ要らない人でも、隣のおばあちゃんが楽しそうにくらしている姿を見れば、未来の自分を重ね合わせて不安が希望に変わります。実は、車でスーパーに買い物に行ける60代くらいの方々が、なぜか移動販売でも買ってくれることがあるのです。自分が80〜90代になったときに事業が続いていてほしいからと、応援の気持ちなのだと言います。みんなが幸せになるストーリーを描くと、共感の輪が広がり、応援団が増えます。この循環を実現するためには、地域の声を丁寧に聞き続け、一つ一つ形にしていくしかありません。

今、トイトイの運営は私なしでも回るようになりました。ですので私は、数歩先を見据えた投資的な仕掛けを意識しています。「阿東でならおもしろいビジネスができる」と若者が思ってくれるような仕掛けや、企業・行政と連携した実証実験などです。今後5年ほどは、点在して移動できないお年寄りが増え、移動販売の需要が伸びるでしょう。以降は、移動販売の充実より、お年寄りに動いていただいてもよいかもしれません。地域の中心部に共同住宅を作り、プライバシーを守りながら楽しく暮らせるしくみの構築を考えています。今がベストだとは思っていません。私たちの強みは変化を恐れないこと。失敗してもあきらめずに、どんどん進化し続けていきたいと思います。そして私自身も、80歳になったときに、阿東で幸せにくらし続けたいと思っています。


(文責:近藤)

これまでのインタビューはこちらをご覧ください。

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