【レポート】社会事業家100人インタビュー (特)ADDS 共同代表 竹内弓乃氏  熊仁美氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」

第38回 社会事業家100人インタビュー

~自閉症支援に効果ある手法を実証して拡げる~

2015年4月2日(木) 19時~21時

於:(特)ETIC. ソーシャルベンチャー・ハビタット

ゲスト:竹内弓乃様・熊仁美様

(特)ADDS 共同代表

100人インタビュー3

 
<ゲストプロフィール>
竹内弓乃さん
1984年香川県生まれ。2006年に、現在は共同代表をともに務める熊さんとともに学生団体KDDS(慶應発達障害支援会)を創立。同大学院へ進学し、自閉症児への早期支援をテーマとした臨床研究を行う。09年ADDSを創立。横浜国立大学大学院学校教育臨床専攻臨床心理学コースへ進学、出産を経て、13年同大学院修士課程修了。臨床心理士。
熊仁美さん
1984年東京都生まれ。大学2年次の心理学専攻にて竹内さんと出会ったことがきっかけとなり、自閉症児の家庭療育をサポートする学生セラピストとして活動を始める。2013年慶應義塾大学大学院心理学専攻博士課程単位取得退学。慶應義塾大学先導研究支援センター研究員。
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
自閉症児を直接支援するのではなく、その保護者や学生を支援者に変える学びを提供する、という立場をとるADDS。米国には豊富にある早期療育の研究事例をベースに、自らも実証研究と実践を重ねて専門性を高めながら、エビデンス(合理的な根拠)に基づく支援を拡げつつある。課題解決の効果とスピードを高めるためには、やみくもな努力や経験ではなく、合理的・科学的なアプローチが不可欠。先行研究をどのように活用し、自らの活動の効果に結び付けているか、その応用力と実証する力に注目して欲しい。
 
 自閉症と早期集中療育との出会い
自閉症とは、言葉に遅れがあったり、特定の物事に強いこだわりを示し、コミュニケーションが成立しづらい症状がある障碍です。生まれてくる88人に1人は自閉症児であり、意外と身近な存在ですが、その症状や療育についての理解は進んでいません。親がお子さんの名前を呼んでも振り向かなかったり、癇癪がひどかったり、感覚過敏があると抱っこを嫌がったりなど、まず幼少期に保護者の方が困り感を抱えることが多いです。その障碍の特徴の現れ方や程度が一人一人違うということも理解されづらい要因ですが、幼少期は特に、周囲からは「様子を見ましょう」「お母さんがもっと話しかけてあげて」などと言われ、小児科医でさえ、自閉症をはじめとする発達障碍の見立てができ、療育機関や相談窓口へつなぐことのできる方は少ないと言われます。
やっと専門医にたどり着いて、一生治らない障碍だとわかった後も、「なぜうちの子が障碍をもって生まれてきたのか」「ひと言『ママ』と呼んでくれたら」など、親は大変悩みます。障碍を受け入れて、向き合えるようになるには時間がかかり、その間に、子どもの発達に非常な重要な時期を逃してしまっている例も少なくないのが現状です。
私(竹内)は大学1年生の時、大学の共済部で「言葉の遅れのある子どもに、遊びの中で言葉を教えるアルバイト」の募集を知り、楽しそうなアルバイトのつもりで応募しました。あるお母様が、個人で募集されていたアルバイトでした。面接に伺った時、開口一番「うちの子は自閉症です。自閉症は心の病気ではありません。先天的な脳の機能障害です。」と説明を受けました。その時、私は初めて自閉症という言葉を知ったくらいだったので、その男の子が米国で受けていたという療育をお母さんに教えてもらい、そのとおりにすると、目に見えて言葉が増えたり、できないことができるようになったりすることに感動を覚えて夢中になりました。
その子が米国で受けてきた早期集中療育とは、応用行動分析(Applied Behavior Analysis: ABA)という理論に基づいたもので、その効果が科学的に実証されている療育法です。専門セラピストが週に20時間以上お子さんの元へ通い、環境から大事なものを抽出して学習に結びつけることが難しい自閉症のお子さんに、構造化されたシンプルな環境の中で、簡潔な指示をだして、できたらしっかりほめることを繰り返します。このように小さな成功体験を重ねていくことで、約半数のお子さんが知的に定型発達域に達するという成果が、複数の研究で一致をみています。
ABAに基づく療育の成果は、IQ(知能指数)の上昇で示されることが多く、IQに注目することから、単に「お勉強のできる子」にするように聞こえるかもしれません。しかし小さい子どものIQは、「積み木を積む」「絵の中の犬を指さす」といったテストで、子どもの発達そのものを測定する指標になります。ABAに基づく療育は、アメリカではその他の作業療法や言語療法と比較しても、科学的に効果の検証度の高い(エビデンス・レベルが高い)介入方法であることが認められています。
日本では一般的に、お子さんが自閉症だと診断されると、親子で療育センターのような通所施設に週1回程度、少ない場合には月1回程度通い、療育を受けています。お子さんが施設で1時間から2時間ほどのプログラムを受けている間、保護者は別室で待っていることが多いです。ADDSで事業を開始する時に、自閉症児の保護者を対象に行ったWEBアンケートによると、お子さんが一番多く受けているプログラムは作業療法や言語療法です。中には、自分の子どもが受けているプログラムの内容を知らない親もいて、ABAに基づいた療育があることもほとんど知られていません。
米国でABAに基づく療育を受けていた男の子のお母さんは、こんなお手紙をくださいました。
「日本に帰る前、帰国して一番辛いことは、我が子がこれまで受けていたような療育を受けられないことだと思っていました。でもそれは違いました。帰国してみると、私たちが米国で経験して学んだことを、お子さんが幼稚園に入るような年齢まで知らない親御さんが多くいて、多くのお子さんの可能性が失われていることが一番辛かったです。」
幼少期にこそできることがあるのですが、待っているだけでは受けられないという状況に対して、ADDSは4つの事業を立ち上げ、早期の適切な支援によって、子ども達の可能性を広げられる社会の実現をミッションに掲げています。現在は、理事4名、正職員4名、学生セラピスト約30名とパートの家庭療育サポーター5名で活動しています。
 
学生団体から事業者へ
同じ頃、熊仁美は子どもの発達支援を志望していて、イルカセラピーを手伝う経験などをしていました。そこでは「子どもの笑顔が増えた」とか「気持ちが近づいた」というわかりにくい指標で成果が語られることに疑問に感じていましたが、竹内と出会ってABAを知り、自分のやりたいことはそれだと確信しました。そこからは、共に学生セラピストのアルバイトをすることになりました。保護者の方のネットワークで、こんな学生でも療育のために家に来てほしいという依頼をどんどん受けるようになり、支援者が圧倒的に少ない日本の現状を知りました。授業では理論を学び、スキルアップに取り組むために、毎日、キャリーバックにバイト代で買った沢山のおもちゃを詰め込んで、それぞれ10家庭以上も受け持って、自閉症児の家庭を飛び回りました。顔を合わせれば、子ども達の支援について何時間でも2人で話し合い、いつかこれを仕事にできたら、と思うようになりました。
2006年、学生の立場でもできることがあると慶応発達障害支援会(KDDS)を設立。学生セラピストを養成して、家庭に紹介したり、子どもたちを集めて集団イベントを開催する活動を始めました。今一緒に活動している他の理事2人にも、KDDSで出会うことができました。翌07年、KDDSを運営しながら継続的な支援を行っていくために、竹内と熊は大学院に進学。大学院での研究が、現在の研究機関との連携の基礎となっています。
09年、修士課程修了を機にADDSを設立しました。米国式の、週に20時間以上専門家が療育に関わる方法は、確かに効果は実証されているのですが、大変お金がかかり専門家の数も足りません。私たちは独自の早期療育プログラムを考案する必要があり、NEC社会起業塾(現・社会起業塾イニシアティブ)に8期生として参画。そこでミッションを意識した事業展開を叩き込まれました。事業と並行して専門性を高めていこうと、竹内は横浜国立大学の臨床心理士コースに、熊は慶応大学の博士課程に進学しまし、プログラムを提供しながら、その成果を5年間にわたって丁寧に蓄積してきました。11年に特定非営利活動法人の認証を受け、現在は児童福祉法の児童発達支援事業の枠組みを適用し、利用者負担を抑える形でサービスを提供しています。
 
現在のADDSの早期療育プログラムには3つのポイントがあります。
一つめは、家庭を療育の現場にすることです。通所型の療育機関での指導に組み合わせて、保護者がよい支援者となり家庭で療育を実践できるように、保護者トレーニングを重視します。保護者が主体的に運用する家庭療育を、私たちの養成した学生セラピストがサポートしています。自分達自身が学生セラピストだったので、学生でも実効的なサポートができることはわかっていました。専門家はその二者に対して専門的なコンサルテーションを行います。親ができることを親が担うことで、お子さんへの介入時間を増やすことができます。ADDSのプログラム参加期間、家庭での平均介入時間は週10時間となっており、IQは1年間のプログラム参加前後で、平均して20ポイント以上上昇するという結果が出ています。初めにご紹介した海外の研究成果よりもかなり少ない介入時間で、同等の成果が出てきています。
二つめは、あえて、プログラムの受講期間を1年間に限定したことです。保護者が指導することを前提として、依存関係を生まない目的があります。関わるお子さんが入れ替わるので、多くのお子さんを受け入れられる。ご家庭の継続的な費用負担も少なくて済みます。
最後に、世界にも類のない効果をあげている理由に、お子さん一人ひとりに合わせた綿密な課題構成があげられます。お子さんの発達水準を領域ごとに細かく見極めて、発達の突破点を見つけて促進するような課題を構成するには高度なスキルが必要で、専門性のあるスタッフがきめ細かくアセスメントと課題構成、更新をおこなっています。
100人インタビュー (特)ADDS
未来の自閉症支援の担い手を増やすために
昨年、ADDSは設立5周年を迎え、これまでの西新宿に加えて、荻窪にもう一か所施設を開所しました。ADDSのプログラムの効果は実感していますが、5年間で支援することができたお子さんは150人程です。必要とされている子どもの数を考えると、直接支援だけではどうしても間に合いません。
ADDSは支援者の学びの場となり、最終的にはADDSがなくても、ABAに基づいた効果的な支援が社会に広がるような文化をつくっていく必要があると考えます。
セラピストとして関わってくれている学生たちは、自分達で成果を蓄積して、自律的に新しい学生を募集したり、相互学習したりなど、ちゃんと団体運営を行っています。学校の教師になったり、療育機関に就職していく学生たちもでてきました。学生セラピストからADDSへの就職者も現れ、即戦力となってくれています。また、保護者のコミュニティから卒業する人もいて、先輩ママとして情報発信してもらうために「Hutte(ヒュッテ)」というウェブサイトも設けました。今後は、学生の起業を支援したり、地域での成果をだして自治体単位での模倣を促すなど、事業のスケールを拡大していきます。
自閉症児の療育に保護者が主体的に関わる文化を広げたいのですが、まだまだ、日本は自閉症のお子さんを持った親が最初の一歩を踏み出しにくい社会です。お子さんの成長を感じられたときに、「ドキン!」とする感動、昂揚感、幸福感、お子さんをたくさん褒めて「できる!」を増やすことに夢中になるきっかけを保護者の方に感じて欲しい。そんなひとつめのスイッチを届けたいと考えています。
 
(文責:前川)

社会事業家100人インタビュー第39回(5/15@岡山)参加者募集

キャプチャ
 
 
 
 
 
 
 
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◆社会事業家100人インタビュー 第39回
2015年5月15日(金)19:00~21:00
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~日本初のチャリティーショップ:小さな力を大きな支援に変える~
公益社団法人セカンドハンド 設立者 新田恭子さん
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日本には、世界に紹介したい社会事業家がたくさんいます
新たなビジネスモデルを創りだした先輩社会事業家100人に、そのビジネスモデルを確立した経緯、事業として成り立たせていく段階での経験談を掘り下げてお聞きする『社会事業家100人インタビュー』。
5月15日の第39回は、チャリティーショップを通じて主にカンボジアの教育支援や医療支援などを行っている国際協力団体(公社)セカンドハンド設立者の新田恭子さんに岡山でお話を伺います!
詳細はこちらにも
http://blog.canpan.info/iihoe/archive/292
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● 開催概要
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日時:2015年5月15日(金)19:00~21:00
場所:岡山県ボランティア・NPO活動支援センター「ゆうあいセンター」
岡山県総合福祉・ボランティア・NPO会館「きらめきプラザ」2階 研修室
〒700-0807 岡山県岡山市北区南方2-13-1
岡山駅よりタクシーで約5分。岡山駅より徒歩で約15分
http://youi-c.okayama-share.jp/access/
定員:30名
参加費:1,500円
※うち500円は、ゲストの指定する寄付先に寄付させていただきます。
(参加費は当日、受付にて徴収させていただきます)
対象:ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方、新田さんにチャリティーショップのビジネスモデルを学びたい方、社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方。
主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)、IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]、(特)岡山NPOセンター、中国5県中間支援組織連絡協議会
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● 公益社団法人セカンドハンド 設立者 新田恭子さんのご紹介
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あなたの小さな力、second hand(もう片方の手)で大きな力を生みだそう、ひとりひとりの力は小さくても集まれば大きな力になる!をモットーとして、日本で初めてのチャリティーショップをオープンさせたセカンドハンド。
1994年に香川県高松市で第1号店をオープンし、現在では香川に3店舗、福岡に1店舗の計4店舗のチャリティーショップを運営。
チャリティーショップ・バザーでの収益によって資金を得ながら、カンボジアの女性たちの職業訓練プロジェクトや学校・医療施設の建設、子どもの教育支援、東日本大震災被災地支援などを継続的に行っています。
イギリスでチャリティーショップのシステムを知り、「なぜ日本にないんだろう」「自分が始めたらいいんだ!」と気づいたことから活動を始めた新田さん。
家庭で使っていない衣類や食器などをチャリティーショップやバザーで販売し、その収益を国際協力の資金源とするしくみを確立し、助成金や寄付金に頼ることの多い国際協力の分野において、先駆的なモデルとなりました。
同時に、品物をセカンドハンドに提供する、ショップやバザーでお買い物をするといった、一般の市民が身近な形で国際協力に参加することができ、不要になった品物のリユースを促進する効果も生んでいます。
たくさんのボランティアや学生が関わり、スタディツアーも積極的に開催しながら、社会の課題を自らの問題として取組める人材を育成する実践の場として活動を続けるセカンドハンドの取組みに学びます。
【新田恭子さんプロフィール】
1984年3月 九州大谷短期大学国文学科演劇放送コース卒業
1984年4月 常盤興業にDJとして入社
1988年9月 フリーアナウンサーとしてTV、ラジオ番組を担当。 現在は式典等の司会を行っている
1994年5月 国際協力団体「セカンドハンド」を設立。以降、無報酬で活動に関わる。現地事業調整のため、年に2~4回カンボジアへ渡航
1999年4月 FM岡山パーソナリティー数番組を担当(2005年まで
2006年4月 香川大学「ボランティア活動論」非常勤講師(~現在)
2007年5月 NPO法人セカンドハンドの理事長を退任。現地事業の調整等、引き続き活動継続
2008年4月 四国学院大学 非常勤講師(2015年3月まで)
2010年  公益社団法人化
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● プログラム
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◇ ゲストのご紹介、趣旨説明
◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介
◇ インタビュー
インタビュアー:ソーシャルビジネス・ネットワーク理事、IIHOE代表者 川北秀人
◇ 参加者からの質疑応答
・参加者からの質疑応答の時間を設けますので、
ご参加いただく方は1人1回はご質問ください。
・ゲストの事業についてご理解いただくために、事前資料をお送りします。
(参加申込いただいた方にご連絡します。)
・終了後は希望者のみで近くの居酒屋で懇親会を開催します。
(参加費3,000円程度)
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● 申込みについて
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下記URLのフォーマットに記入の上、5月14日(木)までにお送りください。
定員になり次第、締切らせていただきますので、お早目にお申込みください。
http://goo.gl/forms/L7u8sb9atL
※協働力・地域力・支援力研修 in 岡山2015参加お申込みフォーム内より、「参加希望プログラム」の「D.オプション企画:社会事業家100人インタビュー(5/15)」へチェックを入れてお申込みください。
※開けない場合は、メールまたはFAXにて、お名前、ご所属、ご連絡先(eメール、電話番号)、ご住所(市町村まで)、懇親会参加可否を書いてお送りください。
送付先メール npokayama@gmail.com
FAX 086-224-0997
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【お問い合わせ先】
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NPO法人岡山NPOセンター 担当:石原、北内
TEL 086-224-0995
Eメール npokayama@gmail.com
※本事業はIIHOE、SBN、岡山NPOセンターとの協働事業のため、申込対応業務を岡山NPOセンターにて担当しています。
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「東北復興ソーシャルビジネス・ギャザリング」及び「東北復興ソーシャルビジネス・アワード」実施のご報告

3月15日(日)、夢メッセみやぎ西館にて、3年目の開催となる「東北復興ソーシャルビジネス・ギャザリング」を開催いたしました。
参加者は約500名、出展社は73社、約130名となりました。
開催の詳細につきましてはこちらをご覧ください。
今回新たな取り組みとして、東北復興の風化が進む中、奮闘している震災復興ソーシャルビジネス事業者にスポットライトを当て、再び東北復興の機運を盛り上げていくことを趣旨とした「東北復興ソーシャルビジネス・アワード」も併催いたしました。
当日発表させていただきました受賞者は以下の通りとなります。
●ソーシャルビジネス・リーダー賞:株式会社アイエスエフネット
●ソーシャル・アントレプレナー賞:特定非営利活動法人東北開墾
●ソーシャル・プロデューサー賞:株式会社元気アップつちゆ
●ソーシャル・コミュニティ賞:長洞元気村
●ソーシャル・ターン賞:一般社団法人つむぎや
●特別賞:特定非営利活動法人ふうどばんく東北AGAIN
アワードの詳細につきましては、こちらをご覧ください。
写真
 

【レポート】社会事業家100人インタビュー (特)岩手子ども環境研究所 理事長 吉成信夫氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」
第37回 社会事業家100人インタビュー
~学校じゃない「がっこう」をつくる~

2015年2月2日(月) 19時~21時
於:(特)ETIC. ソーシャルベンチャー・ハビタット

ゲスト:吉成 信夫 様
(特)岩手子ども環境研究所 理事長/森と風のがっこう コーチョー(校長)

37回

 <プロフィール> 
CIコンサルティング会社役員等を経て、1996年岩手県東山町に家族と移住。
「石と賢治のミュージアム」(一関市)研究専門員として、企画構想段階より開館後まで一貫して事業を推進。2001年より「森と風のがっこう」を葛巻町に開校。2003年より7年間、岩手県立児童館「いわて子どもの森」(一戸町)初代館長。現在は、森と風のがっこうコーチョーとして、北欧のライフスタイルと地場のくらしにまなびながら、過去と未来をつなぐあらたな道を模索している。国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師。日本エコツーリズムセンター世話人。環境教育、地域づくり、児童健全育成、子育て支援に関わるワークショップ、講演など多数。
著書:「ハコモノは変えられる!子どものための公共施設改革」(学文社)、「地域再生のまちづくり・むらづくり」(ぎょうせい)、他。
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
全国各地で「自然学校」を運営する人は、さまざまな経験やスキルを持っている。自然学校の運営には、さまざまなスキルや経験が求められるから、当然ともいえる。その中でも特徴的とも言える吉成さんは、そのご経験やスキルゆえに、立ち上げ期の収入の生み出し方や助成金の使い方が実に巧みだ。プログラムだけでなく、事業体としての自然学校の経営モデルとして、ぜひ参考にしてほしい。
 
「暮らし」に根差した自然エネルギーの学びあいのできる場をつくりたい
私はもともと東京の人間で、子どもの頃は学校が嫌いでした。学校というものは、私にとっては、本当の学びを深めるところにはならなかった。自分にとって本当の学びを深める場は、社会そのもの、仕事を通して得た場でした。学校が本当の学びを得られる場所でないのなら、そんな学校が日本にないのなら、学校じゃない「がっこう」を自分でつくろう。そう考えて、子どもと環境問題、子どもの環境そのものに関わることを自分の後半生の仕事にしようと決意したのです。そして18年前、家族を連れて岩手に移住しました。
昔から宮沢賢治が好きだったこともあって、学校をつくるなら宮沢賢治の故郷で、そして何もないカオスのような、小さなコスモスのような地域の中で学校をやりたいと思っていました。その根幹にあるのは、エコビレッジをつくりたい、ということ。学校というのは、代々続く地域の人々の思い出の場であり、コミュニティの核となるものです。地域の中で廃校となった場所を使いながら、がっこうを通して地域のあり方を変えていく、ゆさぶっていく。そこから循環型のコミュニティを自分たちでつくっていきたい、と考えたのです。
最初の構想は一枚の絵でした。自然エネルギーを使って、畑もやり、鶏も飼う。水道や電気のインフラだって自分たちで賄う。何にもないところから全部自分たちでつくっていこう、と。たくさんのボランティアや地域の方の手を借りながら、今この絵に描いたことのほとんどが実現できています。
morikaze
私たちの「森と風のがっこう」がある岩手県岩手郡葛巻町江刈は、標高700メートル、10世帯の小さな集落です。盛岡から70キロ、冬にはマイナス20度まで下がる、岩手県の中でも僻地と呼ばれたところです。普通にマーケティングとして考えたら、そんなところで学校をつくっても人が来るはずがない。自分はマーケティングのコンサルタントでしたが、一度マーケティング分析をアタマからすべて捨てることにしました。それでもあまりある魅力がそこにあるからです。
この地を取り囲んでいるのは山であり、森。水があり、動物がいて、代々受け継がれてきた田畑や学校がある。私がつくりたかったのは、自然学校ではなく、エネルギーと暮らしの学校。子どもに体験をさせるだけでなく、そこに「暮らし」をつくりたかった。それも循環型の。
今までにないコンセプトだから、自分たちでやるしかありません。汲み取り式のトイレからし尿だけを分け、メタンガスを発生させてそのガスで火を炊く。それが炊事に使われ、そのごはんを食べる。そうやってひとつひとつ、暮らしの中で循環しているのです。なんだかおもしろいことをしているぞ、と人が近寄ってくるのを待って、一度来た学生やボランティアが他の子を連れてくる。そうやって3年間で70人あまりのボランティアがやってきました。時には生徒が先生に、先生が生徒になって、ローカルなテクノロジーを集めながらつくっていったのです。
 
町内の子ども限定の事業で信用をつくる
そこに至るまでの最初の立ち上げ期の財政を支えてくれたのは、トヨタ自動車からいただいた「トヨタ環境活動助成プログラム」の助成金でした。当時まだ法人格もない中、1年間ですが600万円の助成金を得て、僕と学生スタッフの2人体制で活動をはじめました。地域の中ではまだどこの誰かも知られていない状態でしたが、8人位の規模の“調査団”をつくって役場にいき、「『森と風のがっこう』で、これからこれだけのことをやっていきます」と公言しました。1年分の計画をつくって、そこに書いた事業を1年間、とにかく意地でも全部やっていきました。
「自給自足的な空間の中で、子どもも大人も実践的な体験を通して学びを深めていく場」。そういうコンセプトの場が他になかったからでしょう、地元紙の岩手日報に大きく取り上げられたこともあって、1泊2日のキックオフイベントには100人以上が集まりました。
当時はハード面を整備するお金がありませんでしたから、なんでも自前でつくっていくしかありません。電気が欲しいから、風力発電をつくろう。でも風力発電用のポールは高くて買えないから、古くなって使わなくなった廃電柱をお隣さんからもらってこよう。そんな風にして地域の人や面白がってくれる人の力を借りてハード面の整備をすすめました。
2年目以降は、自分は盛岡でコンサルタントの仕事もして糧を得ながら、学生スタッフとボランティアグループで事業を続けていきました。その頃、週休二日制が導入されて、その休みを使って葛巻町内の子どもたちと森と風のがっこうで何かできないか、町の教育委員会に提案をしました。「ぜひやろう」ということになって、教育委員会と一緒に月に1回は町の子ども限定のプログラムを実施することになりました。中身の活動は僕たちが考え、教育委員会は送迎の町バスの運行と広報をやってくれました。町で配布するカレンダーにこの事業の予定が盛り込まれ、そのカレンダーは町民すべての家に貼り出されます。「森と風のがっこうは子どもたちのための事業をやっているところなのね」ということが町民みんなに認知される。この事業を通じて教育委員会からお金は一切もらっていませんが、僕たちにとっては町民に名前を知ってもらい、信頼をつかむためのお金に換えられない価値を持つ事業です。この事業も、もう町の定番となって、13年続いています。
そして3年目からは3年間、トヨタ財団の助成金をもらうことができて、場づくりやネットワークづくりに資源をあてることができました。そうやって集まってくれた人、地域の人も専門家も、若い人も混じってエコスクールの構想を練り、バイオガスプラント発電やコンポストトイレ、陶管浄化装置づくりなど、自然エネルギーを活用する設備を、この時期にワークショップを積み重ねながら作っていったのです。
100人インタ
根を持つことと翼をもつこと
地域で事業をするということは、地域の人との関係をつくって根を張りながら、自分たちの夢を描く、そういう「根を持つ」ことと「翼を持つ」ことを同時にする、そのバランスが大切だと思っています。そのどちらかだけではうまくいかない。
僕はその土地の生活の原型の中に学びがあり、ファンタジーがあると思っています。でもそういうことは、なかなか言葉では伝わらない。「勉強会」なんてやっても地域の人はだれも来てくれません。でも「電柱を建てたいから手を貸してほしい」というような、体を動かす仕事のお願いだったら来てくれる。そういう町の電気やさんとか工作の得意なおじいさんたちから学ぶことは本当に多いわけです。そうやって少しずつ関わりをつくっていく中で、「森と風のがっこうでやっていることは昔自分たちがやっていたことと同じなんだね」と言ってもらったことがあります。聞けば、かつて地区の人たちも自分たちで掘った水路に発電機をつくって小水力で電気をつくっていたのだそうです。ああ、過去と未来がつながったな、と思いました。
そんな地域の人たち、10世帯しかないこの集落の人たちが、ふらっと寄ってお茶を飲めるところをつくりたい、さらに収益事業もつくりたいと思って、10年前にコミュニティカフェをつくりました。環境共生建築として、取り壊される予定だった教員住宅を使って、地元にある素材・廃品を使い、土壁・草屋根の建物をつくりました。それがメディアに取り上げられてたくさんの人が建物を見に来てくれましたが、なかなか中には入ろうとしない。だから、中に入る理由としてカフェにしてしまえばいいんだ、と思ったのです。
そこで、がっこうのすぐ隣、道路から2歩の場所にカフェをつくりました。でも、あえて中にトイレをつくりませんでした。トイレに行くには、校舎の中を通らないといけない。がっこうの廊下には、ここで実践していること、ワークショップなどの展示をしてありますから、トイレに行くたびにそれらの展示を目にすることになります。それで興味を持ってくれた人に、カフェのスタッフが話しかけて、次はワークショップに参加してもらったり、会員を募ったりしているのです。
このカフェがメディアとなって、私たちの活動の対象は大きく広がりました。それまで、がっこうに来てくれる人の7,8割は環境問題に関心がある学生や教育関係者でしたが、今では7,8割が親子になり、人数も大きく増えました。ペレットストーブやピザやパンを焼く石釜をつくったり、ブルーベリーなどを植えた食べられる校庭をつくって、来た人は誰でも食べていいようにするなど、いろんなしかけを考えました。それぞれが興味を持ったものを入口にして、ここではじめて環境問題に気づく親子もたくさんいます。このカフェを通じて私たちのターゲットが広くなり、そのニーズに合わせるかたちで活動も広がっていきました。
そのほかにも、エコキャビンプロジェクトとして、宿泊施設や、宿泊型の研修プログラムなどもやっていますし、「森のようちえん」を起業するひとのためのテキストづくりなどもしています。たくさんの事業をやっているのは、どれか一つだけで大きな収益を得るような構造にしていないから。ちょっとずついろんなことで稼いでいます。それは、ここで生活していることの強みです。ここで暮らしているから、住まいも食も、全てのテーマを扱います。子どもに関する事業だけでやっているわけではないのです。
「暮らし」を原型にしながら、その中で楽しみ、学び、夢を描く。そこに子どもも大人もいて、子どもたちの成長を学校でなく地域で受け止めていくこと。それが僕が実現したかったエコビレッジの姿であり、「学校じゃないがっこう」だと思っています。
(文責:星野)

第38回『社会事業家100人インタビュー』(4/2) 開催決定!! ゲストはADDS竹内さん・熊さん!

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社会事業家の先輩にビジネスモデルを学ぶ!
社会事業家100人インタビュー 第38回
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自分たちの専門性で、
自閉症児に関わる人々を支援者に変える!

ゲスト:
(特)ADDS 共同代表
竹内弓乃さん、熊仁美さん

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4月2日(木)19:00~21:00
@ ETIC.ソーシャルベンチャー・ハビタット(渋谷)
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一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 、
特定非営利活動法人ETIC.の協働事業として開催する、
先輩社会事業家からビジネスモデルを学ぶための本企画。
SBN理事・IIHOE代表川北秀人がインタープリターとなり、
直接先輩事業家に学び、質問することができる対話型講座です。
今回は、自閉症などの発達障害のあるお子さんとその保護者への支援を行って
いるADDS共同代表の竹内弓乃さんと熊仁美さんにお話を伺います。
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ADDS紹介
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「全ての発達障害児が、早期の適切な支援により可能性を最大限に広げられる
社会の実現」を目指し、自閉症などの発達障害のあるお子さんとその保護者
への支援を行っているADDS

自閉症は、先天的な脳の機能障害で、幼少期に集中的に支援を行うことで
症状の改善が可能であることが複数の研究により明らかになり、カナダや
アメリカの一部では、自閉症の早期集中療育が広がっているのに対し、日本
では自閉症に関する情報が不足し、幼少期の適切な支援が届けられていません。
それでも、(発症率は様々な報告があるものの)毎年10000人近い自閉症児が
日本国内でも生まれています。その他の発達障害やグレーゾーンの子どもたち
を含めると、更に多くの子どもたちが早期の支援を必要としています。
大学1年次に自閉症がある男の子とその母親に出会い、早期集中療育の効果と
重要性を体感した竹内さん。大学で専門性を深める過程で現共同代表の熊さん
と出会い、2006年に「KDDS(慶應発達障害支援会)」を設立。
学生の立場でできることを模索し、学生セラピストの養成などを実施しました。
大学院修了後、より専門的な立場から支援を行うためADDSを設立、活動を事業化
しました。現在は、保護者が良き支援者となり家庭で子どもの発達を促進するため
の保護者トレーニングプログラムと、学生や主婦がセラピストとなるための支援者
育成プログラムを中心に事業を展開しています。
子どもを直接支援するのではなく、自閉症児に関わる人々を支援者に変える学びを
提供する、という立場をとるADDS。スタッフそれぞれが自らの専門性を身に着
け、サポート内容を模索する中でたくさんの仲間・支援者をつくられてきました。
日々研究と臨床の模索をする中で、どのように事業を組み立ててこられたのか。
これまで、そしてこれからの模索の過程を伺います。
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● ゲストプロフィール
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■竹内弓乃さん
ADDS共同代表
1984年香川県生まれ。2003年、自閉症がある男の子とその母親との出会いがきっかけ
で、家庭療育を手伝う学生セラピストとして活動を始める。2006年に現共同代表の熊
とともに学生団体KDDS(慶應発達障害支援会)を創立。大学院へ進学し、自閉症児へ
の早期支援をテーマとした臨床研究を行う。
2009年慶應義塾大学大学院社会学研究科心理学専攻修士課程を修了、ADDSを創立。
2010年横浜国立大学大学院学校教育臨床専攻臨床心理学コースへ進学、出産を経て、
2013年同大学院修士課程修了。臨床心理士。
■熊仁美さん
ADDS共同代表
1984年東京都生まれ。大学2年次、心理学専攻にて現共同代表の竹内との出会いが
きっかけで、自閉症児の家庭療育をサポートする学生セラピストとして活動を始める。
エビデンスに基づいた支援による子供たちの劇的な変化を目の当たりにし、その後多
くの療育に携わるようになる。2006年に竹内とともに学生団体KDDSを創立。
大学院へ進学し、自閉症児のコミュニケーション発達に関する臨床研究を行う。
2009年慶應義塾大学大学院心理学専攻修士課程修了、ADDSを創立。2013年同大学院
博士課程単位取得退学。慶應義塾大学先導研究支援センター研究員。
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● 開催概要
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日時:2015年4月2日(木)19:00~21:00
場所:ETIC.ソーシャルベンチャー・ハビタット(渋谷)
渋谷区神南1-5-7 APPLE OHMIビル5階
http://www.etic.or.jp/etic/access.html
定員:約30名
参加費:  
 SBN会員: 1,500円
 SBN非会員: 2,500円
https://socialbusiness-net.com/guide
※うち500円は、ゲストの指定する寄付先に寄付させていただきます。
(参加費は当日、受付にて徴収させていただきます)
※同日にSBN会員申込していただくと、会員価格でご参加できます。
対象:
社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方
ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方

主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]
協力:特定非営利活動法人ETIC.

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● プログラム
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◇ ゲストのご紹介、趣旨説明
◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介
◇ インタビュー
インタビュアー:ソーシャルビジネスネットワーク理事、
IIHOE代表者 川北秀人
◇ 参加者からの質疑応答
・参加者からの質疑応答の時間を設けますので、
ご参加いただく方は1人1回はご質問ください。
・ゲストの事業についてご理解いただくために、事前資料をお送りします。
(参加申込いただいた方にご連絡します。)
・希望者の方は終了後に1時間程度懇親会にご参加いただけます。
(同会場にて。2000円程度予定)
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● 申込みについて
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下記URLのフォーマットに記入の上、4月1日(水)までにお送りください。
定員になり次第、締切らせていただきますので、お早目にお申込みください。
《http://goo.gl/skWyL》
※開けない場合は、メールにて、お名前、ご所属、ご連絡先(eメール、電話番号)、
SBN会員有無、懇親会参加可否 を書いてお送りください。
送付先 hoshino.iihoe(a)gmail.com  *(a)を@に直してご送付ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【お問い合わせ先】
————————————————————-
IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所] 担当:星野
hoshino.iihoe(a)gmail.com  *(a)を@に直してご送付ください。
※本事業はSBN理事を務めるIIHOE川北と、SBNとの協働事業のため、
申込対応業務をIIHOEにて担当しています。
◇本プロジェクトのfacebookページ
http://www.facebook.com/100JapaneseSocialEntrepreneurs

【レポート】社会事業家100人インタビュー (特)やまがた育児サークルランド 代表  野口比呂美氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」
第35回社会事業家100人インタビュー

子育て期を「お母さんのキャリアのブランク」にしない

2014年11月25日(火)18時~20時
於:山形市男女共同参画センター 5 階

ゲスト:野口比呂美様 (特)やまがた育児サークルランド 代表

野口様③


<プロフィール>

特定非営利活動法人やまがた育児サークルランド 代表
特定非営利活動法人子育てひろば全国連絡協議会 副理事長
1998 年、それぞれ独立して活動していた育児サークルのネットワークを作るための団体を山形県内で設立。
山形市内の子育て支援施設「子育てランドあ~べ」の運営等を経て、1999 年法人化。
育児サークル支援や保育サービス、育児情報の提供、子育て中の人の人材育成、子育て分野の調査・研究、行政への提言等の活動を行っている。
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
子育て支援という考え方が一般的でなかった16年前(1998年)から、保育所の整備だけではなく、お母さん同士が助け合い、つながりあうための場所が必要、と「やまがた育児サークルランド」を発足させた。
今では多くの地域にみられるようになった子育て支援施設や子育てひろば。
しかしそれは、「こんなサービスが欲しい」と自ら提案し、自分たちでつくり、その声を政策づくりにも反映させてきた母や父たちがいたからこそできたこと。
当事者としての活動をどのように立ち上げ、公益活動に進化させてきたのか。子育てひろば全国連絡協議会副理事長として「子育てひろば」の普及、人材育成にも取り組む野口さんに学んで欲しい。
 
子育て中の母親が求めることを先輩お母さんがサポート
 
少子化や労働力減少を背景に、「女性の活躍を推進するには子育て支援が必要だ」という風潮が高まっています。経済成長に女性の力が必要なのは当然のことで、中央政府も子育て支援施策に力を入れてきています。
私たちが山形市で育児サークルを始めた1990年代は、少子化が社会問題として顕著になってきた頃でした。「1.57ショック」(90年に発表された89年の合計特殊出生率)があり、政府が初めてエンゼルプラン(子育て支援のための総合計画)を策定した時代です。私たちが活動している山形市は人口25万人ですが、年間出生数は2000人を超える程度で推移していて減少傾向であり、やはり少子化の波が押し寄せてきています。
育児サークルとは、昔であれば、身近な子育て経験者に話を聞いたり親戚や兄弟の世話をして学んでいたようなことを、自分たちで学びあおうと子育て中のお母さんが集まってつくる場です。私は、自分の子育て期に、育児サークル同士は意外とヨコのつながりがないということに気づきました。子育て真っ最中の育児サークルのメンバーにはネットワークを作るまでの余力はありません。そこで、子育てがひと段落した先輩お母さんが中心になり、98 年に「やまがた育児サークルランド」を発足しました。サークル運営のノウハウや、情報交換を兼ねた研修会を開くなど、子育てサークルを経験した先輩が、現役のお母さんを支援するネットワークになりました。子どもの一時預かりなどこれまで欲しくてもなかった活動を始めることで、サークル運営リーダー研修を託児付きでできるようにもなりました。
「子育てランドあ~べ」は、山形市の中心市街地に2002年オープンした子育て支援施設です。あ~べというのは、山形弁で「一緒に行こう」という呼びかけです。山形市からの支援には中心市街地の活性化という目的もあるので、「子どもを連れて街に出よう」という意味も込めました。
気軽に立ち寄れる「親子ひろば」では、工作をしたり、おはなし会や絵本の読み聞かせをしたり、安心して遊べるイベントを開催しています。その隣では、「夕暮れ泣きに困っている」、「離乳食はどうしよう」といった子育て中のある時期に特有の悩み事を相談できたり、本やリーフレットなどから情報が得られます。研修室では子育てに関する講座の他、お母さんを対象に仕事への復帰に向けたパソコン講座なども託児付で開催しています。託児ルームでは、公的な基準よりもさらに手厚い保育者を配置した保育サービスを提供しています。
 
子育て真っ最中のお母さんのニーズにもとづき、協働だからできる体制を
 
「子育てランドあ~べ」の構想の元になったのが、私たちが1999年におこなった「山形の育児サークルと子育て環境に関する調査」でした。山形市で開催されるまちづくり市民会議に参加しないかと声がかかり、それでは、国や県が行っている子育て支援が山形市のお母さんたちに合っているのかを調べてみようと思い立ちました。
雪国なので、冬は乳幼児を連れて外に出られません。なんとなく憂鬱な気分になる「ウインターブルー」は引っ越したり嫁いできて慣れていない人にとっては深刻です。「冬は外で子どもを遊ばせることができない」、「転勤で山形市に来たため、子育てについて話をきける人がいない」などの声を元に、山形市の子育て支援センターに対して政策提言したのです。しかし、当時、行政の子育て支援は始まったばかりだったため、取り上げてもらうことはできませんでした。
ところが、2000年に大型百貨店が撤退した後の空きビルに、山形市が公共サービスを提供する場として再オープンしたいと検討を始めたときに、私たちの提言が市の担当者の目にとまりました。「子どもランド」を作りたいという当初の市の案に対して、私たちは調査に基づいて、子育て真っ最中のお母さんたちが求めているのは悩み事を相談できたり、託児付きで学ぶことができる子育て支援なのだと訴えて、意見をすり合わせました。私たちがお母さんたちに呼びかけてできることと、市にやってもらいたいことを分けて、行政資金でやってもらいたいことを具体的に提案しました。
その結果、開館当時から現在まで、あ~べでは、私たちが提案した内容をもとに運営を行っています。例えば、02年当時はまだ子どもを預けることへの風当たりは大きかったのですが、短時間でも安心して子どもを預けたいという切実なニーズがありました。行政施設の一時預かりでは、預ける理由を申告しなければなりませんが、あ~べでは、お母さんの買い物やリフレッシュ目的でも気軽に利用できるようにしました。利用料金も、払える金額をアンケートで調べて、1時間500円に決めました。収支は赤字になりますが、市と交渉して実現しました。研修を積んだ有償ボランティアの活動により、質の高い保育を提供しています。また、先輩お母さんが数多く登録しているため、ニーズに柔軟に対応することができています。
あ~べの事業は、行政からの支援のない頃から「やまがた育児サークルランド」で独自に行っていた事業がほとんどですが、アンケートで要望の多かった親子ひろばのような広い親子の居場所は、行政との連携だからこそ設けることができました。また、専門家による講座をゆったりと遊ぶスペースの中で開催しているため、ふらりと立ち寄るお母さん達にも講座を聴いてもらえるようになりました。やまがた育児サークルランド
困りごとは何か、困っている人は誰か
 
あ~べを始めて気がついたのは、子育てサークルのお母さんたちは真面目でしっかりしたお母さんだ、ということです。でも現実には、自分たちでサークル活動をしたり子どもをつれて公民館に講座を聴きに自ら出かけて来るようなお母さんたちばかりではないのです。地域にはあ~べにも来れないお母さんもいるのだということを考えました。そこで、やまがた育児サークルランドでは、お母さんのおうちに出向いていく、先輩ママの家庭訪問ボランティア事業を始めました。
ボランティアで家庭を訪問したい人は所定の養成講座を修了し登録してもらいます。家庭訪問を受けたい人は、無料で1回2時間程度の訪問を原則4回程度まで受けることができます。一緒に家事をしたり、子連れでお出かけをしてみたり、最終回までには、あーべのような場所に親子で行けるようにサポートします。子どものいない人には想像がつかないかもしれませんが、初めての場所に子連れで参加することをすごく不安に思うお母さんも多いのです。ボランティアさんが一緒に行ってくれることで、親子が引きこもりにならずに済みます。最近では専門家や研究者の方から、児童虐待の予防に大きな役割を果たしていると評価されるようになりました。
アンケートから、多くのお母さんが親になる前に子どもと触れ合ったことがないこともわかりましたので、高校生のパパママ体験事業をしたり、山形大学から学生の保育体験研修や実習を受け入れています。そのつながりもあって、山形大学のキャンパスに事業所内保育所の運営を受託することにもなりました。
女性の自立支援は事業開始当初からの重要なテーマです。私たちの願いは、子育て期を女性の職業生活のブランクにして欲しくないということ。子育て中はそれまでしてきた仕事は犠牲になりがちなので、子育て中も学び、得られた経験を自分のキャリアにして欲しいのです。子どもを保育園に預けて仕事をフルタイムで継続しているお母さんもいますが、その場合は子育てで味わえる貴重な経験を犠牲にしながら働いているように見受けられます。お母さんたちがそんな思いをしなくても済むように、ワークライフバランスやお父さんの育児参画の推進にも取り組んでいます。
やまがた育児サークルランドの活動は、ボランティアでも子育て支援を続けたいという人に支えられてきました。そのため、活動を続ける人がステップアップできるよう多様な研修を整備し、より専門的に保育を仕事にしたい人には保育士資格受験のための集まりなども開いています。保育士として再就職したり、自分で団体を立ち上げたり、管理職として活躍する人たちも出てきました。このように子育て支援に関わる人材育成に取り組んできた経験を生かして、現在、国が推進している子育て支援員を養成しようという制度を活用していきたいと思っています。
また、従来からある子育ての専門家といえば、保育士などごく限られたものでした。「子育て支援」という新たな専門性を確立するためにも、(特)子育てひろば全国連絡協議会を、全国の実践者とともに設立しました。全国的な横のつながりの中で、情報交換したり、子育て支援スタッフの認定制度を開発したりしています。
振り返ると、自分たちが必要だと思ってやってきたことが、少子化対策と相乗効果を生み出して仲間を増やし、つながりを増やしながら社会に必要なインフラとして機能してきたのだなあと、感じています。

(取材日 2014年11月25日)

【レポート】社会事業家100人インタビュー 有限会社エコカレッジ 代表取締役  尾野寛明氏

「先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ」
第36回社会事業家100人インタビュー

2015年1月8日(木) 19時~21時
於:(特)ETIC. ソーシャルベンチャー・ハビタット

ゲスト:尾野寛明様 有限会社エコカレッジ 代表取締役

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<プロフィール>
1982年生まれ。学生時代に起業を志し、2001年に東京都文京区でネット古書店を創業し、2006年には本社をまるごと島根県邑智郡川本町に移転。過疎地のネット古書店として障がい者雇用にも取り組む。また、毎週末全国8カ所で、地域づくりの「実践塾」を運営し、どんな人でも空き時間で気軽に無理なく地域に参加できるしくみづくりを進めている。
【有限会社エコカレッジ】
住所:島根県邑智郡川本町大字川本529番地1/資本金:300万円/社員:4名/事業内容:インターネットを通じた中古専門書買取販売/事業免許:古物商許可 島根県公安委員会 第711119000335号/蔵書量:15万冊
【合同会社エコカレッジ】
住所:島根県雲南市木次町湯村876番地/設立:2014年5月/代表:尾野寛明(代表社員)/資本金:100万円/社員:13名(職員4名+利用者9名)/事業免許:島根県障害福祉サービス事業者指定第3211400225号 ※福祉専門に設立された法人で、有限会社エコカレッジの100%子会社
【その他の主な役職】(特)てごねっと石見 副理事長、(特)おっちラボ 副理事長、(特)農家のこせがれネットワーク/監事、総務省 地域力創造アドバイザー
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
カリスマが率いる地域づくりには、持続可能性がなく、他地域への応用もきかない。地域も、そのリーダーも、絶対的な存在ではなく、むしろ相対化して、特性が共通する地域の先進事例から学び、応用すべきだ。川本町での実践を、それぞれの地域特性に合わせて進化・適応させながら他の地域にも展開し続ける、尾野さんの取り組みからヒントを得てほしい。
 
古本好きではないのに、古本屋経営?
私の起業への思いは、高校生の時、父親が亡くなったことから生まれました。大企業でシステム統括部長をつとめていて2000年問題で激務に追われたため、がんの発見が遅れたのが原因でした。「こんなことになるなら、人に使われる立場ではなく、最初から社長になる!」と決意したのです。
古本屋で起業、というと、「本好きが高じて、蔵書の販売を始めた」とか「古本屋めぐりが好きで、自分でお店をやってみたくなった」というような動機がほとんどだと思いますが、私の場合はまったく違って、ビジネスの種としての古本への純粋な興味から始まりました。
大学生の時、授業で必要な教科書があまりに高価なので、キャンパス内で不要な教科書を学生から買い取り、販売する教科書リサイクルの団体を立ち上げたところ、なかなか反応がよく、本格的にビジネスとして進めてみようという意欲がわきました。そこで、当時大学の先輩が学生店長をしていたブックオフ目白駅前店で「押しかけインターン」として、古本について集中的に勉強しました。また、他大学のキャンパスでもゲリラ的に教科書買い取り・販売してみた結果、全国に、教科書だけでなく、大学の先生が必要とするような中古専門書のニーズがあることがわかってきました。古本屋は仕入れが命です。先輩から譲りうけたボックスカーで全国のブックオフ700店舗を回り、100円コーナーにある専門書を約1万冊仕入れました。当時はamazon.comがなかったので、楽天オークションの前身「Easyseek」でネット出品するなど、古本仕入れと販売に関する勉強と実践を並行して進め、資金がある程度たまったので有限会社にしました。文京区の白山通りに店舗兼倉庫を構えたのですが、家賃が高く、事業の継続に限界を感じたため、辞めるつもりで大学院へ進学しました。
 
過疎地で古本屋、という発想の転換
大学院では、地域振興をテーマとするゼミに所属し、研究の一環として、島根県邑智郡川本町を訪れる機会がありました。典型的な中山間地域の過疎の町で、商店街にあった書店も閉店していました。「私はインターネット通販で古本屋をやっているんです」と言ったら、「ぜひこの店舗を使ってやってくれないか」と。本屋だけはなんとか再生したいという地元の人の強い思いに押されるように、会社を移転したのです。
街なかの新刊書店も続々と潰れていく世の中で、過疎地で古本屋が成り立つわけがない、と普通は思いますが、過疎地の特徴を逆手にとると、メリットもたくさんあります。家賃は東京の100分の1。おかげで15万冊以上収容可能な700坪のスペース(元ミシン工場)を借りられました。年間を通して風が吹く地形のせいか、この倉庫の温度と湿度は本の保管に最適です。中古の専門書は、安く仕入れてもその価値が高まるまで長期間保管し、1冊平均1,000円で販売しています。これは通常のネット通販古書店の平均単価に比べ倍とされています。
以前は、専門書を買い取ってくれる古書店は珍しかったため、ブックオフなどで買い取りを断られた人から続々と連絡が入りました。その後、専門書の買い取りが普及してくると、次に考えたしくみは「ネットで見積もり」です。わざわざ問い合わせなくても、書籍のバーコードの数字を入力すると、すぐに買い取り価格がわかるようにしました。
直接の通販だけでなくamazon.comでも販売しており、実はこちらが売上の8割を占めます。通販にとってありがたいのは、ゆうパックや宅配便が、過疎地であっても集荷・配達に来てくれることです。
 
古本を活用した地域貢献のかたち
地元の人たちから、気軽に本を読めるスペースが近くにないことを聞いていたので、何か貢献できないかと考え、雲南市木次町の公共施設の喫茶スペースに、文庫本などの閲覧コーナーを寄付しました。設置以後、喫茶の売り上げが1~2%上がったそうです。また、益田市美都町の酒屋内のコミュニティ・スペースで月2回開催されている健康づくり講座では、古本を無償貸出しています。一般的に、男性はこのような講座にはなかなか参加しないものですが、本を目当てに参加する人が増えてきたそうです。このように、古本はコミュニティを活性化するツールとしても、役立つのです。
また、古本の仕入れ、振込・入金管理、登録、棚の整理・掃除、受注、梱包、発送という一連の流れで発生する業務には、いろいろな負荷の程度や種類があり、障がいを持つ方々にも取り組みやすい業務です。09年から雇用を開始していましたが、14年5月に島根県から就労継続支援A型事業所(注)として認可されました。古本関連業務だけでなく、地域の豊かな資源を活用して、干し柿づくり、とうがらし栽培、築100年の古民家メンテナンスなども手掛け、一人ひとりの障がい特性に合った業務のアレンジができるよう、心がけています。
(注)参考:http://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/syogai/handbook/service/c078-p02-02-Shogai-21.html
 
仕事を自ら創出できる人を過疎地に呼ぶためのしくみづくり
過疎対策として、定住促進の取り組みは全国各地で行われていますが、空き家の紹介はできても、その地に仕事がなければ、特に若い世代にとっては住み続けることはできません。そこで、働き場や仕事を自ら創出できる人材を地方に誘致するための取り組みも進めています。
江津市では、(特)てごねっと石見が事務局となり、賞金100万円のビジネスプランを公募したところ、それまでの地道な人材交流の取り組みによって培われたネットワークのおかげで、30人から応募があり(「江津市ビジネスプランコンテストGo-Con」)、駅前の空き店舗が埋まるなど、大きな成果がありました。その後、全国各地で同じようなコンテストが開催されましたが、応募が少なく、ことごとく失敗に終わりました。
このことで、地域で人材育成のしくみづくりからやらないとだめだ、と気づき、「地域づくり実践塾」を、島根県雲南市・江津市を皮切りに、川本町、岡山県津山市・笠岡市、宮城仙南地域、石川県七尾市、香川県高松市でも始めました。会社を辞めずに地域で半年間学んで、ビジネスプランをプレゼンテーションできるようにまでするプログラムです。塾を続けていくと、OB・OGのネットワークから、外部への情報発信が活発になり、「あそこに行くとおもしろそうだ」と感じさせる求心力や競争意識が生まれるのです。私も、「この人とあの人はつながるべきだ」と思ったら、丁寧に責任もってマッチングするよう心がけています。
ただし、外から優秀な人材が入ってきても、地元の人たちとの関係づくりがうまくいかなければ意味がないので、特に地元の若い人たちには、外部から入ってきた人と住民との間に立って、通訳として活躍してほしいと思います。雲南市の(特)おっちラボは、若者と地域の活動を支援するため、市が主催する次世代育成事業「幸雲南塾~地域プロデューサー育成講座~」の塾生が中心となり、2014年4月にスタートしました。こういった拠点があると、外部からアクセスしやすいし、地域との融合もスムーズに進んでいきます。
無題
 
地方と都会 の「二地域居住」のバランス
私は、東京と島根を1週間おきに行き来する「二地域居住」 中です。また前述の通り、塾などで出張も多い毎日ですが、アドバイスするだけのコンサルタント的立ち位置ではなく、川本町に本社を置き、事業を継続している実践者であることが強みだと思っています。古本屋の日常業務については、地元で雇用した女性5名が中心となって、話し合って決めてくれています。私はもともと人に任せるのが苦手で、何でも自分でやってしまうタイプなので、不在がちのほうが、かえっていいのかもしれません。
地域づくりのコーディネートは、行政のことも地域のことも外部のことも知らないと、うまく進みません。行政に近い立ち位置で積極的に仕事をしてみると、行政のことがよくわかってきます。時になだめ役にまわり、共感し、それぞれの得意なところを引き出し、成果を生み出していくのです。私は、全国各地に地域づくりの手法を横展開しつつ、誰でもどんな地域でも応用可能なモデルを編み出したいと考えています。
都会から地方へ飛び込むのはとても勇気がいることです。この地域でやっていけるという確信が持てるまでは、逆に言えば、地方からお呼びがかかるまでは、仕事は辞めないほうがいいとアドバイスしています。都会の生活とかけもちで土日は地方へ行くような、「ダラダラ起業」スタイルもありです。
「プロフェッショナルになるまではおおよそ1万時間必要だ」とよく言われます。その内訳を 1日7時間×200日×7年とするのか、1日17時間×300日×2年とするのか、1日3時間×365日×10年とするのかは、人それぞれです。また、ある地域でうまくいかなくても、他の地域だったら大丈夫かもしれません。3~4か所同時並行でやってみるのもひとつの手でしょう。

(文責:棟朝)

『社会事業家100人インタビュー』第37回(2/2)参加者募集:ゲストは「森と風のがっこう」吉成信夫さん!

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社会事業家の先輩にビジネスモデルを学ぶ!
社会事業家100人インタビュー 第37回
——————————————————–
循環型の生活スタイルで、
地域に根ざした自然エネルギーと
農の地産地消を進める「まなび場」づくり

吉成信夫様
(特)岩手子ども環境研究所 理事長
森と風のがっこう
──────────────────────────────────
2月2日(月)19:00~21:00
@ ETIC.ソーシャルベンチャー・ハビタット(渋谷)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆
一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 、
特定非営利活動法人ETIC.の協働事業として開催する、
先輩社会事業家からビジネスモデルを学ぶための本企画。
SBN理事・IIHOE代表川北秀人がインタープリターとなり、
直接先輩事業家に学び、質問することができる対話型講座です。
今回は体験施設としては珍しい、地域の子どもを中心としつつ、しかも、
自然・再生可能エネルギーの導入に先駆的に取り組んでいらっしゃる
森と風のがっこう」を運営する、(特)岩手子ども環境研究所 理事長
吉成信夫さんにこれまでのユニークなお取組みと、そのビジネスモデルを学びます。
───────────────────────────────────
● 内容
───────────────────────────────────
森と風のがっこうは、標高 700m、11 世帯の集落にある廃校を再利用したエコスクール。
かつて地域の結節点であった廃校に、都会を含めた新たな人々と地域の子どもたち
がともに、積極的に関わることができる仕組みを生み出して行くことを目的として、
宮澤賢治と環境共生の精神を糧に、2001 年に葛巻町の協力を得て開設されました。
ESD教育・自然エネルギー教育、エコロジカルな生活教育の場として、楽しみなが
ら循環型の暮らしが実感できるハンドメイドの施設づくりを市民協同のスタイルで
進めています。

現在は、隣接する森を製紙会社から借受け、子育てと循環の森の整備を行いながら、
森林環境教育にも注力。
ひきこもりがちな青年たちの長期自然体験キャンプや、子どものための長期自然
エネルギースクール、森と風の学校及び周辺をフィールドとした市町村子ども会
キャンプの企画など、地域の子どもを中心としつつ、県内外の小中学校の省エネ学習
の受け入れや、学校へのエネルギー教育出前授業などにも精力的に取り組んでいます。

「自然エネルギーと地域資源の再利用」、「子どもの居場所づくり」、
「新たな農的暮らし」、「アートと身体」をテーマに、地域の子どもやおとなが元気を
取り戻すための新たなアイデアに満ちた持続可能な地域モデルづくりについて伺います。

───────────────────────────────────
● ゲスト:吉成信夫さん
(特)岩手子ども環境研究所理事長/森と風のがっこう
───────────────────────────────────
プロフィール:
1956年東京都生まれ。成蹊大学法学部卒。
CIコンサルティング会社役員(東京)等を経て、1996年岩手県東山町に 家族と移住。
「石と賢治のミュージアム」(一関市)研究専門員として、企画 構想段階より開館後まで
一貫して事業を推進。
2001年より廃校を再利用して「森と風のがっこう」を葛巻町に開校。
2003年より7年間、岩手県立児童館「いわて子どもの森」(一戸町)初代館長として
精力的な活動を展開した。
現在は、森と風のがっこうコーチョーとして、北欧のライフスタイルと地場のくらし
にまなびながら、過去と未来をつなぐあらたな道を模索している。
「東北は日本の北欧である」がモットー。

国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師。日本エコツーリズムセンター世話人。
環境教育、地域づくり、児童健全育成、子育て支援に関わるワークショップ、講演など多数。
著書に「ハコモノは変えられる!子どものための公共施設改革」(学文社)、
「地域再生のまちづくり・むらづくり」(ぎょうせい)、他がある。

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● 開催概要
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日時:2015年2月2日(月)19:00~21:00

場所:ETIC.ソーシャルベンチャー・ハビタット(渋谷)
渋谷区神南1-5-7 APPLE OHMIビル5階

定員:約30名

参加費:
SBN会員: 1,500円
SBN非会員: 2,500円
https://socialbusiness-net.com/guide

※うち500円は、ゲストの指定する寄付先に寄付させていただきます。
(参加費は当日、受付にて徴収させていただきます)

※同日にSBN会員申込していただくと、会員価格でご参加できます。

対象:
社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方
ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方

主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]
協力:特定非営利活動法人ETIC.

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● プログラム
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◇ ゲストのご紹介、趣旨説明
◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介
◇ インタビュー
インタビュアー:ソーシャルビジネスネットワーク理事、
IIHOE代表者 川北秀人
◇ 参加者からの質疑応答

・参加者からの質疑応答の時間を設けますので、
ご参加いただく方は1人1回はご質問ください。

・ゲストの事業についてご理解いただくために、事前資料をお送りします。
(参加申込いただいた方にご連絡します。)

・希望者の方は終了後に1時間程度懇親会にご参加いただけます。
(同会場にて。2000円程度予定)

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● 申込みについて
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下記URLのフォーマットに記入の上、2月1日(日)までにお送りください。
定員になり次第、締切らせていただきますので、お早目にお申込みください。

http://goo.gl/skWyL

※開けない場合は、メールにて、お名前、ご所属、ご連絡先(eメール、電話番号)、
SBN会員有無、懇親会参加可否 を書いてお送りください。
送付先 hoshino.iihoe@gmail.com

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【お問い合わせ先】
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IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所] 担当:星野
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※本事業はSBN理事を務めるIIHOE川北と、SBNとの協働事業のため、
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【開催レポート】第3回みんなの働きたい!応援ゼミナール 「新しい就労と『弱者支援』からの脱却」

「みんなの働きたい!応援ゼミナール」

第3回「新しい就労と『弱者支援』からの脱却」

無題

  • 開催日:2014年10月28日(火)19:00~21:00
  • 会場:SBN事務所
  • ゲストスピーカー:納富順一さん(NPO法人キャリア解放区代表理事)

大学卒業後1年間のニートの後、テレビ局のADを経て人材業界に。新卒、中途、障害者など幅広い分野で人材ビジネスを経験。企業、求職者の目線に立ちづらい人材業界のあり方に違和感を持ち、もっと時代にあった本質的なアプローチを追求するためにキャリア解放区の理事長に就任。

HP: http://career-kaihohku.org

  • 参加人数:14名(スタッフ含)
  • 開催レポート

就労困難者の働き方に関する最新事例をさまざまな角度から考える連続セミナー(全3回)の第3回を開催しました。

今回のゲストスピーカーは、NPO法人キャリア解放区代表理事の納富順一さん。キャリア解放区は2013年9月に設立された若いNPOですが、前例のない「就活アウトロー採用」(http://outlaw.so)というプログラムを展開して注目を集めています。

ここでいうアウトローとは、なにもヤクザな無法者ではありません。新卒一括採用を前提とした「シューカツ」に馴染めず、卒業しても就職の機会を逃している20代の若者のことです。彼らと企業を従来とは違う形でつなぎ、若者には就職までのサポートを、企業には人材紹介を行っているのです。

このプログラムに集まってきた若者の多くは、いまの就活のあり方に違和感を覚えつつも、もやもやした気持ちを抱えたまま行動を起こせないでいるとのこと。趣味や勉強に(!?)熱中するあまり就活しそびれた人や、内定がとれずにやって来る若者もいるそうです。

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そんな若者たちに納富さんは特別な「支援」はしません。新卒採用という仕組みに乗れなかったからといって、かわいそうな「弱者」扱いはしないのです。その代わりにキャリア解放区では、彼らが集まって語り合う「場」を提供し、コミュニティづくりに力を注いでいます。

終身雇用など既存の仕組みが壊れていく中で、何のために働くのか?という素朴な疑問にさえ正解はありません。「一人ひとりが自分で考えるしかない」と納富さんは考えています。だからこそ、スタッフが一方的に支援するのではなく、何度も集まりに参加し、「空気を読まない」関係性を築くことで、参加者同士がエンパワーし合う相互支援を促しているのです。

場が熟してくると、そこに企業の経営者や人事担当者にも入ってもらい、一緒にワイワイとさまざまなテーマで対話を重ねます。企業担当者は最初のうちは社名を名乗りません。「採用する人」「される人」という関係ではなく、あくまで個人と個人の立場で語らうことで、信頼関係を築いてもらうことが肝です。こうしたプロセスを経て、やがて双方の「欲しい人材」と「働きたい会社」が一致すれば晴れて内定!となる仕組みです。

現在プログラムに参加しているのは90名の若者と企業約30社。参加企業の中には、従業員30人のうち10人をアウトロー採用したところもあります。納富さんは、「従来とは毛色の違う人材を採り、異質なものから学ぼうとすれば組織は変わる。そこにこそダイバーシティの意味がある」と言います。いわゆる就労困難者の「困難」は、本人の資質よりもむしろ画一的な就活の仕組みや労働環境にあるのでは?と思えてきます。

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 「就活アウトロー採用」のユニークさとともに、納富さんの「従来とはちがう新しい枠組みを提示したい!」という思いに触発され、質疑応答やディスカッションも盛り上がりました。連続セミナーは今回で一区切りですが、全3回でいただいた刺激を次のステップに生かしていきます!

  • 参加者の声(アンケートより一部抜粋)

弱者支援という文脈への違和感は普段自分も抱いており、その点で納得感がありました。

今まで考えたことのない観点でのお話だったので大変興味深く勉強になりました。

「課題先進国会議ステージⅡ 2/13(金)」参加者募集を開始しました

課題先進国会議ステージⅡ
~震災の年に生まれた子供たちの20歳の年に、どんな未来を渡すのか?~

東日本大震災と原発事故をきっかけに、“課題先進国”としての姿が露呈した日本。

私たちは昨年度、社会的企業家 熊野英介さん(ソーシャルビジネス・ネットワーク副代表理事、アミタホールディングス株式会社 代表取締役会長兼社長)をモデレーターに、時に社会学者を招き、時にソーシャルシネマを鑑賞することで、現代社会の問題とその要因を見つめ、「これから私たちはどうしていったらよいのか」について、会場と語り合うトークセッション“課題先進国会議”を展開してきました。
今年度はステージⅡとして、生き方、働き方を見直し変えた方々や、人や地球に優しい心地よい生き方、働き方、暮らし方を実践している方々、研究者をゲストにお招きし、問題意識、価値観、実践の仕方などについて参加者と共有し、「震災の年に生まれた子供たちの20歳の年に、どんな未来を渡すのか?」について会場と共に考えていくトークセッションとして展開しています。
今回は藻谷浩介さん(株式会社 日本総合研究所 調査部 主席研究員、株式会社 日本政策投資銀行 地域企画部 特任顧問、特定非営利活動法人 ComPus地域経営支援ネットワーク 理事長)をお招きし、地方創生を実現する地域経営とソーシャルビジネスをテーマにしたトークセッションを展開します。
ぜひご参加ください。
【展開概要】

  • ●日時:2月13日(金)19時~21時
  • ●会場:匠ソホラセミナールーム(青山一丁目駅 4番南出口から徒歩1分)
  • ●募集人数:100名(申し込み多数の場合は先着順とさせていただきます)
  • ●参加費:会員)500円、非会員)1,000円
  • ●主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
  • ●共催:公益財団法人信頼資本財団
  • ●協賛:NEC
  • ●協力:アミタホールディングス株式会社
  • ●連絡先:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
  • (担当)石井 e-mail: ishii@socialbusiness-net.com / ℡:03-6820-6300

【プロフィール】

  • ●藻谷浩介さん
  • 1964年山口県生まれ。
  • 平成合併前3,200市町村のすべて、海外59ヶ国をほぼ私費で訪問し、地域特性を多面的に把握。
  • 2000年頃より、地域振興や人口成熟問題に関し精力的に研究・著作・講演を行う。2012年より現職。
  • 近著にデフレの正体、第七回新書大賞を受賞した里山資本主義(共に角川Oneテーマ21)、金融緩和の罠(集英社新書)、しなやかな日本列島のつくりかた(新潮社、7名の方との対談集)。
  • ●熊野英介さん
  • 1956年生まれ。アミタホールディングス株式会社代表取締役。公益財団法人信頼資本財団理事長。一貫して、自然資本と人間関係資本が増加する持続可能な社会づくりに取り組む。また、廃棄物の100%再資源化や地域の未活用資源の利活用を行うなど、常に新たな価値を創出。著書に『思考するカンパニー』(幻冬舎メディアコンサルティング、2008年)、共著に『自然産業の世紀』(創森社、2006年)がある。

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