第48回 社会事業家100人インタビュー:(般社)りぷらす 代表理事 橋本大吾氏 7月18日開催!!

宮城県石巻市でリハビリテーション複合サービスを展開する

橋本さん

一般社団法人りぷらす 代表理事 橋本大吾さん

 
──────────────────────────────────────────────
日時:2016年7月18日(月・祝)18:00~20:30
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・代々木)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆
社会事業家からビジネスモデルを学ぶ連続インタビュー。
先輩事業家から直接学び、参加者全員が質問できる対話型講座です。
今回のゲストは、(般社)りぷらす 代表理事 橋本大吾さん。
東日本大震災後の復興活動を通じて石巻に通うようになった橋本さんが、
どのようにして現在の事業を始め、継続する仕組みを作っていったのか。
また、介護予防や要介護度を下げるといった取り組みに力を入れる背景など、
存分に語っていただきます。
──────────────────────────────────────────────
● 開催概要
──────────────────────────────────────────────
日時:2016年7月18日(月・祝)19:00~21:00
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京・代々木)
〒151-0052 東京都渋谷区代々木神園町3−1
(小田急線参宮橋駅から徒歩5分)
地図
定員:約20名
対象:社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方
ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方

参加費:
SBN会員: 1,500円
SBN非会員: 2,500円

https://socialbusiness-net.com/guide
※うち500円は、ゲストの指定する寄付先に寄付させていただきます。
※社会事業家100人インタビューの参加費受付は、
事前精算のチケット購入「Peatix」にて受付させていただきます。
事前にクレジットカードかコンビニ決済によって入金いただく形になります。
なお、事情によりどうしても事前申込が行えない場合は、問い合わせ先までご連絡ください。
お手数ですが事前にこちら→http://peatix.com/event/174343から申込みをお願いします。
なお、事情によりどうしても事前申込が行えない場合は、問い合わせ先までご連絡ください。
主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)、
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]

──────────────────────────────────────────────
●一般社団法人りぷらす 紹介
──────────────────────────────────────────────
東日本大震災後、代表橋本さんの活動から始まった一般社団法人りぷらす
被災により仕事や住む場所を失ったことで、身体の機能が衰え、亡くなっていく方々の状況をなんとかしたいと、仮設住宅でのリハビリ支援から始まりました。
現在では、通所介護、リハビリフィットネスを核として、地域の健康増進、地域交流まで幅広い事業を行っています。
りぷらすの特色として、介護予防や要介護度を下げるといった取り組みを重視している点があげられ、介護保険サービスの質を高め、一方で、介護保険卒業後の受け皿としてリハビリフィットネス、地域交流の事業を実施しています。
外から石巻に移住し、事業を確立していった、橋本さんのビジネスモデルの変遷を伺います。
──────────────────────────────────────────────
● ゲストプロフィール
──────────────────────────────────────────────
橋本 大吾(はしもと だいご)さん
一般社団法人りぷらす 代表理事
理学療法士。茨城県鹿嶋市出身。東日本大震災後、リハビリ専門職の支援団体を設立し、石巻市の支援活動開始。2011年石巻市へ移住。2013年1月「一般社団法人りぷらす」設立。「子供から高齢者まで病気や障がいの有無にかかわらず地域で健康的に生活し続ける事が出来る社会を創造する」を理念に活動。2014年1月リバイブジャパンカップ復興ビジネスベンチャー部門審査員応援賞受賞。
──────────────────────────────────────────────
● プログラム
──────────────────────────────────────────────
◇ ゲストのご紹介、趣旨説明
◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介
◇ インタビュー
インタビュアー:ソーシャルビジネス・ネットワーク理事、
IIHOE代表者 川北秀人
◇ 参加者からの質疑応答
・参加者からの質疑応答の時間を設けますので、
ご参加いただく方は1人1回はご質問ください。
──────────────────────────────────────────────
● 申込みについて──────────────────────────────────────────────
事前精算のチケット購入「Peatix」にて申込み受付させていただきます。
事前にクレジットカードかコンビニ決済によって入金いただく形になりますので、
お手数ですが事前にこちら↓
http://peatix.com/event/174343

から申込みをお願いします。
申込締切:7月17日(月)
*定員になり次第、締切らせていただきますので、お早目にお申込みください。
*なお、事情によりどうしても事前精算・申込が行えない場合は、問い合わせ先までご連絡ください。
*当日急遽参加になった場合は、会場にて対応いたしますので、受付スタッフにご相談ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【お問い合わせ先】
——————————————————————————————————————————————
一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
TEL:03-6820-6300
FAX:03-5775-7671
e-mail:100info@socialbusiness-net.com
@の部分は半角に変換して、お送りください。
◇本プロジェクトのfacebookページ
http://www.facebook.com/100JapaneseSocialEntrepreneurs

「SHIFT lab」始動&キックオフ・フォーラム開催のご案内

昨年 12 月 11 日に開催されました、理事会及び社員総会での決議に沿いまして、みなさまのご協力により 6 月 1 日より新規事業・社会的企業家イノベーション工房「SHIFT lab」が始動いたしました。
この事業は、より多くの「社会的企業家」を輩出するため、多様な生き方や働き方を体験し、自ら社会づくりに参画できる様々なプログラムを提供するものです。
またキックオフ・フォーラムを開催いたしますので、ぜひご参加ください。
ニュースリリースはニュースリリース
 
平成 28 年 6 月3 日
一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
専務理事・事務局長  町野弘明

【レポート】第47回 社会事業家100人インタビュー  特定非営利活動法人プレーパークせたがや 理事 天野秀昭氏

社会事業家100人インタビュー第47回 

先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ

2016年3月14日(月)18時半~21時 於:日本財団

特定非営利活動法人プレーパークせたがや 理事 天野秀昭さん

 12821606_943079599122495_1032867844157620775_n

*インタビューには、理事の早川直美さんとスタッフの大垣内弘美さんも同席くださいました。

 
<プロフィール>
1958年東京生まれ。大学時代、自閉症児との出会いをきっかけに「遊びの世界」の奥深さを実感する。81年、日本初の民官協働による冒険遊び場「羽根木プレーパーク」で初めての有給プレーリーダーを務め、その後、地域住民とともに世田谷・駒沢・烏山の3つのプレーパークの開設に携わる。子どもが遊ぶことの価値を社会的に高め、普及し、実践するため、(特)日本冒険遊び場づくり協会と(特)プレーパークせたがやの立ち上げにかかわり、両法人の理事を務めている。2014年、幼稚園・保育園の園庭を魅力的な子ども育ちの場(遊び場)にとの願いで、(特)園庭・園外での野育(のいく)を推進する会を設立。新しい挑戦を始めている。
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
子どもの成長における「遊び」の重要性を、「プレーパーク」(冒険遊び場)という場で実証し続けてきた天野さん。歴史のある団体が組織基盤の強化に取り組む際には困難がともなうものだが、同会では、経験やノウハウの共有の方法を進化させつつある。意義は大きいのに評価されにくい取り組みの価値を、どのように伝え、「買ってもらえるもの」にするか。そのためのチャレンジに注目してほしい。
 
親たちの自主的な活動が、行政との協働事業の先駆けに
1970年代半ば、子どもたちの遊ぶ環境が、自分の子ども時代と違うことに疑問を持った親たちが、子どもの遊び場をつくる活動を自主的に始めました。その活動の実績によって、79年に世田谷区が「国際児童年記念事業」として採択し、区立羽根木公園内に「羽根木プレーパーク」が開設されました。
当時、一般的に住民と行政は反発し合う緊張関係にあり、「協働」という言葉もない時代。また公園は、主に散策・庭園鑑賞・運動場として用途を限定されており、逆に言えば、他の目的に使わせないために、「都市公園法」の厳しい管轄下にありました。「羽根木プレーパーク」の運営についても前例がなく、区は「住民に任せて大丈夫か?」という不安を抱え、運営を担う住民は「行政に、今までの自治を侵されるのでは?」と、疑心暗鬼の状態で始まりました。ひとつ幸運だったのは、同区の公園課には、ヨーロッパの冒険遊び場を実際に見るなど、高い専門性と知識を持つ職員がいて、区役所内外の調整が比較的スムーズに進んだこと。羽根木プレーパークでの協働の成功は、その後の世田谷区で、多分野での協働が進むきっかけをつくったともいえるでしょう。
 
プレーリーダーの給与を上げたいために法人化
82年には世田谷プレーパーク、89年には駒沢はらっぱプレーパーク、03年には烏山プレーパークが開設され、それぞれの運営は地域の住民が担いました。プレーパークには、プレーリーダー(注)が配置されることが大きな特徴です。プレーリーダーは子どもたちを見守り、自由に遊べる環境を継続的に整えていく役割を担うため、有給雇用であることが不可欠です。また熟練も必要であり、片手間ではとてもできません。当初は、住民自身がプレーリーダーを選んで、お金を出し合って謝金を支払っていたため、金額もバラバラでした。
「ひとつの法人にすれば、プレーリーダーの給与を上げられるかも」という区からの提案もあり、1年以上かけて地域住民による「世話人会」で協議しながら、納得いくまでやり取りし、05年に区内4つのプレーパークを統合して、(特)プレーパークせたがやを立ち上げました。法人化に際しては、煩雑な業務も発生しましたが、それでも決断できたのは「プレーリーダーの給料をあげたい。せめて年収300万に…」というみんなの気持ちがあったからです。給与は金額を統一するとともに、4年めから昇給(ただし試験あり)、5~6年めからは正規職員として1割以上上げるなどメリハリをつけ、経験者に手厚くするようにしました。
(注)2015年度より、「プレーリーダー」は「プレーワーカー」に名称を変更しているが、本稿内では「プレーリーダー」に統一している。
 
事業の多角化が赤字を生み、組織も疲弊
法人化をきっかけに、プレーパーク運営だけにとどまらず、乳幼児の親子と多世代の交流ハウスの運営、思春期の子どもの居場所づくり、キャンプ事業など、子どもをめぐるさまざまな事業に手を出し始めた結果、08年ごろから、資金的にも人員的にも厳しくなってきました。もちろん、必要性を感じたからこそ事業を立ち上げる訳ですが、やればやるほど赤字になるし、兼務も多い過重労働で、スタッフが疲弊していきます。
そこで、場当たりでない根本的な解決をめざし、「Panasonic NPOサポートファンド」に応募し、11年から『NPOとして持続可能な組織デザイン』というテーマで、組織基盤強化に着手しました。団体の活動目的(「自分の責任で自由に遊ぶ」という理念を社会により広く伝え、子どもがいきいきできる社会を実現)に即した、助成金に頼らない安定的な財政と持続可能な組織を築きたかったのです。最初に、アドバイザーの川北さんからは、「歴史が長い団体はプライドが高いから、(今までのやり方を根底から変えることになる)組織基盤強化はうまく進まないことが多いですが、本当に大丈夫ですね?」とクギを刺されましたが、他に選択肢はないし、やるしかないということでスタートしました。
 
団体の資源を商品化、自主事業で収益を確保
わたしたちは、市民と行政の協働のパイオニアであり、活動を通じて、他に例がない有形無形の社会的財産を蓄積してきました。これらを商品化すれば、自主事業で収益を確保できるのではないかと考えた訳です。そこで、まず(特)プレーパークせたがやが持っている資源を洗い出し、何が商品になりそうか、それは誰にとって有益かを整理し、「研修センター」を設立して、団体内部の職員向けや外部向けなど、対象ごとにプログラムをつくっていきました。
つまり、内部の人材育成と、その販売を通じた資金調達を並行して進めたことがポイントで、内部研修による職員の育成を行いつつ、全国のプレーパーク実施団体や企業・行政などに講師を派遣し、機関誌や口頭で伝えてきたノウハウや知識を有料のテキストにまとめて販売しました。また、それまで無秩序に受け入れていた視察も、月2回の集中日をつくって場所を決め、資料代をもらうことで財源確保と効率化をはかりました。
各プログラムには件数・金額目標を設けて達成率をチェックするようにした結果、現在「研修センター」で年間150万円くらい稼げるようになっており、事業化の勘はつかめてきたと思います。
プレパークせたがや
自主財源率向上にともなう痛みも
組織にかかわる全員が感じていた「このままでは組織は立ちゆかない…」という危機感を、あらかじめうまく共有できていなかったため、組織基盤強化に取り組み始めてから、現場のプレーリーダーとのすり合わせに苦労した面はあります。団体の資源を商品としてデザインし売っていくためには、プレーリーダーがこれまで現場で使ってきた時間を減らさざるを得ず、時間もお金もできるだけ現場で使いたいと考えるプレーリーダーは、当然ストレスを感じるからです。また、法人のミッション遂行と個人のキャリア形成・ライフイベントのバランスも難しいところ。「自分の専門性をこうやって強めていったら、こんな稼ぎ方ができる」という見通しへの合意と本人納得が必要です。
 
新たな仕組み「研修センター」からも課題が浮上
2012年に研修センターを設立・稼働しましたが、課題は、企業・行政を対象にしたセミナーへの集客がなかなかうまくいかないことでした。初年度は、3ヶ月以上の準備期間があったにもかかわらず、参加者0名。その後も参加者の増減の波が激しく、安定的に集客できない状況が続いたため、目標30名と設定していたセミナーの参加者の平均値は5.4人という結果でした。
そこで、「NPOマーケティングプログラム2015」に応募し、マーケティングの基本を学びつつ、実践的な試行を繰り返す挑戦を開始。「いったい誰がこの企画を見つけてくれるのか?」という問いをたて、検証し、新たな企画を生み出す「高速仮説検証型」の企画開発トレーニングを受けました。販売促進に頼らず、「そのセミナーなら参加したい!」という対象者を見つけ、その対象者が魅力を感じる企画を創りだすことに尽力したのです。
 
外部協力者との出会いで、新たな企画開発も
公園は今、「規制が厳しくて、面白くなくなってきている」といわれています。そこで、そのことに胸を痛めている公園設計者・技術者も多いのでは?という仮説をたて、セミナーの参加対象者になりうるのかインタビュー調査をしたところ、まさにどんぴしゃ。「公園に対する厳しい眼差しとクレーム」を突破したいと願う複数の公園技術者や設計者に出会うことができました。
公園技術者・設計者のみなさんは、発注者である行政の声だけではなく、「公園利用者の声」を聞き、設計技術に活かしたいという思いを持っていました。技術者から見ると、「プレーパークせたがやは、公園のハードユーザー」。設計技術に活かせる素材を、私たちがたくさん持っていることに気が付かせてくれました。
そして、(一社)ランドスケープアーキテクト連盟(JLAU)と「公園活性化部会」で意見交換を重ね、「設計者が抱える課題を解決するための、冒険遊び場の智慧や技術を提供するセミナー」がうまれました。発注する行政 ・つくる技術者・ユーザーである地元住民が、利害関係を超えて、一緒に問題解決していける内容にしています。このセミナーは、日本造園学会による公園技術者の継続教育プログラム「造園CPD(Continuing Professhional Depelopment制度」の単位認定として扱われるようになり、当セミナーで学んだ内容が必要単位数となるという、技術者にとっても喜ばしいしくみとなりました。
また、セミナーを共同開発している公園技術者と、「福島空港公園活性化」を協働で取り組む機会も得ることができました。
 
利用者・協力者の声を聞き、力を借りて一緒につくっていく
プレーカーを使った出張プレーパークも行っていますが、やはりベースになるのは、常設のプレーパークです。基地や小屋など、子どもがつくったものをそのまま残しておけて、原状復帰しなくていいのが大きな利点。継続して利用する子どもたちの劇的な変化・育ちを見ることができます。親が「こんな笑顔を見せる子だと知らなかった」とびっくりするくらいです。かつての利用者が、子どもを連れて遊びに来たり、プレーリーダーになったりするのも常設のよさでしょう。
プレーパークには、世代も背景もいろいろな人がかかわります。子どもは、多様な価値観にもまれながら育つことがとても大切。プレーリーダーの采配が問われますが、それぞれのひとの居方を邪魔したり、排除したりするようなことはしません。枠を決めてみんなで守ろうというのではなく、「面白く遊ぶ」という大きな一本の柱の周りを、みんなが旋回するイメージです。
プレーパークに来る人が思いがけない技を持っている場合もあります。「一緒にやってみませんか」と、あえて人の力を借りて、できることを広げてきました。大がかりでなくても、「こんなことやってみたいね」というつぶやきを丁寧に拾って、小さく実現を重ねていくことも巻き込みのコツだと思います。
 
プレーリーダーの育成は、徹底した振り返りから
プレーリーダーによって子どもへの対応が違うのはかまわないのですが、子どもやその場の状況をキャッチできるアンテナが常にたっているかどうかが重要。まずは気づき、どう対処すべきかを即座に判断しなければなりません。このため、プレーリーダーの育成には、ただ経験年数を重ねるだけでなく、「徹底した振り返り」が有効です。「あの時、なぜそうしたのか(しなかったのか)」から始まり、「それは意図的だったのか?面倒だったからか?躊躇したからか?気がつかなかっただけか?」などとお互いに問い続けることで、自身の行動が本当に適切だったか、どうすればよかったのかを考えてもらいます。本人は良かれと思ってしたことでも、子どもにとっては余計な言動だったという場合もあるのです。
 
世田谷から全国へ、放課後から学科時間内へ
今後は、「現代風の子育て」をしている人の層にもっとアプローチしていきたいと考えています。インターネットや育児情報誌には、子どものおもちゃや習いごとについての情報があふれていますが、それらはすべて親にお金を使わせる「消費の世界」につながることばかり。遊びとは「自分の世界を生産すること」であり、周りから与えられるばかりでは、自分の世界をつくれないまま大人になってしまいます。
この危機感から、放課後ではなく学科時間内へ切り込むため、園庭自体を変えていく(特)園庭・園外での野育を推進する会をつくりました。また、全国各地で「冒険遊び場づくり」を推進する中間支援機関が(特)日本冒険遊び場づくり協会。情報共有や学び合いの機会として、3年に1回、全国大会を開催しています。
(文責:棟朝)

【レポート】第46回 社会事業家100人インタビュー  株式会社クレアン 代表取締役 薗田綾子氏

社会事業家100人インタビュー第46回

2015年12月1日(火)19:00~21:00

於 株式会社クレアン会議室

ゲスト 株式会社クレアン 代表取締役 薗田綾子さん

薗田さん②

<プロフィール>
薗田 綾子(そのだ あやこ)さん
株式会社クレアン 代表取締役
特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラム 事務局長
兵庫県西宮市生まれ。甲南大学文学部社会学科卒業。
1988年、女性を中心にしたマーケティング会社クレアンを設立。
1995年、日本初のインターネットウィークリーマガジン「ベンチャーマガジン」
を立ち上げ、編集長となる。
そのころから、本格的に環境・CSRビジネスをスタート。
現在は、大阪ガス(株)、(株)セブン&アイ・ホールディングス、任天堂(株)、明治ホールディングス(株)、ユニ・チャーム(株)、横浜ゴム(株)
など延べ約600社のCSRコンサルティングやCSR報告書の企画制作を支援。
特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラム事務局長、
特定非営利活動法人社会的責任投資フォーラム理事、
環境省チャレンジ25キャンペーン関連事業推進委員会委員、
内閣府「暮らしの質」向上検討会委員、日経ソーシャルイニシアティブ大賞審査員、
また次世代への教育活動として東北大学大学院および大阪府立大学大学院の非常勤講師などを務める。
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
社会を変えるには、自分たち自身が事業者として直接働きかける方法と、変える力のある組織を動かす方法があるが、クレアンは、後者の形で社会に影響を与えているといえる。企業を変えるには、主に①購買、②コンサルテーション、③事業サポートの3つの方法があるが、クレアンの事業は②や③に該当し、企業のCSRへの取り組みに入り込みながら、その対価として企業からお金をもらいつつ、次世代の社会にとってよい結果をもたらしていかなければならない。そのせめぎあいをどう実現させているのか、注目して話をうかがっていきたい。
 
人の縁をつないで事業を育ててきた
クレアンという社名は、「クリエイティブな起業家」というフランス語の造語です。私が25歳のときに大阪で創業しました。
当時は女性が起業するなんて珍しい時代で、周囲の人からは反対されましたが、母だけは応援してくれました。この母の生き方が、私の人生にとても影響を与えていると思います。
母は戦後の混乱期に、早世した祖父に代わって一家を支えるため、22歳で商店を興し、経営してきました。面倒見のよい母の影響を受け、自分の根っこにも、「人の役に立つ仕事を一生したい」という想いは強くありました。また、今の仕事でも私は場づくりを行うことが多いですが、母もそういう性格で、実家には様々な人たちが出入りしていました。
クレアンは、当初は女性向けのマーケティング会社として、多様な企業の案件をこなしていました。1995年ごろにインターネットが出てきた時には、とても可能性を感じ、30社ほどの会社でコンソーシアムをつくり、インターネットの研究会を行っていました。集めた会費で初のインターネットウィークリーマガジン「ベンチャーマガジン」を発刊していました。インターネットでどんなことができるか想像し、当時アイデアを出し合っていたことは、現在はほぼ実現しています。
環境に関わる仕事をしたいと思ったのは、1992年のリオ・デ・ジャネイロでの地球環境サミットがきっかけです。大量消費社会がこのまま続くことは考えられないと感じました。
1996年には環境問題を扱った書籍「地球は今」シリーズ10巻を発刊しましたが、ずっと環境問題の情報をインターネットで発信したいと思っていました。そんな中、ニュービジネス協議会を通じて、NEC(日本電気株式会社)の方と会う機会があり、想いを伝えてみました。すると偶然、その担当者の方がその書籍を読んでくださっていたこともあって話が進み、1997年に環境情報マガジン「エコロジーシンフォニー」をNECシステムテクノロジー(当時)と共同でスタートすることができました。この制作のため、様々な企業の取組みや世界の最新情報も取材するようになりました。
そのころには環境への取り組みなどの講演会にもお招きいただくようになり、そこで知り合ったことがきっかけで、2000年には、松下電器産業株式会社(当時)の環境報告書の企画・制作を支援しました。
環境報告書は、当時から専門用語も多く難しいものでしたが、専門家ではない、普通の人も読みたくなるようなものにと工夫を重ね、第4回環境レポート大賞「環境庁長官賞」を受賞することができました。以後、環境報告書、CSRレポートの制作支援事業を行うことが増えており、現在では毎年40数社のレポート制作を実施しています。
レポート制作の仕事をするうちに、CSRレポートはマネジメントツールになるということに気づきました。最初は、企業は利益ばかりを考え、負荷を与える存在のように思っていましたが、仕事をしていて、企業の方が改善していこうと努力していることに気づきました。CSRへの取り組みを通じて、長期にマネジメントすれば企業を変えていくことができるのです。当時は、日本のすべての家庭の電力消費の1%がパナソニックの製品によるものでした。でも、もしライフサイクル全体で半減できるなど、大きな企業を変えれば、社会に与える影響も大きいですよね。
 
CSRを通じて企業を変える
クレアンは、報告書の制作やウェブでの発信をはじめとするCSRレポーティングと、CSR経営・活動を推進するためのコンサルティングとを、一体で進めるビジネスモデルです。CSRへの取り組みの現状分析から、ビジョン、中長期・短期の計画への落とし込み、レポーティングやステークホルダー・エンゲージメントまでを一貫してサポートしています。ISO26000やGRI【★:用語解説!】など、グローバルなガイドラインやフレームワークなども先行して学び、企業の方と共有する機会を積極的に設けて、仕事に活用するようにしています。
私たちは、企業の中に入って仕事をし、中の人たちと一緒に組織を変えていきます。当初は、レポート制作と同時にコンサルティングを行い、その対価をいただくことは難しかったです。どうしても、コンサルティングもレポート制作の付属サービスとみなされてしまうことが多かったのです。
現在では「統合経営」という概念に象徴されるように、経営を収益だけではなく、非財務的な価値も評価しようという機運が高まっています。今後もさまざまな考え方や手法が示されると思いますが、枠組みにはこだわらず、結果として、社会にとってもその会社にとっても、サステイナブル(持続可能)な経営ができれいればよいというのが私たちのスタンスであり、企業の中に持続可能な事業経営の型を埋め込みたいと考えています。
その意味でも、私たちが関わっている企業の人々が、CSRに取り組む過程で、どう変わっていくかのプロセスが重要だと考えています。CSRとして自社の強みや自社らしさを打ち出していくものがまだ見出せていない企業では、素材をつくるところからはじめ、そのプロセスをレポートしていくこともあります。CSRへの取り組みは、突き詰めれば企業全体の価値を見出すことにもつながり、その支援の領域も組織全体の存在意義にまで広がっていきます。
3年間も携わると、その企業の社内の体制や風土がわかるようになります。おかげさまで、昨年から今年にかけてお手伝いさせていただいた顧客からのリピート率は90%になりました。CSRへの取り組みが進まないボトルネックが経営者にあるのか、マネジメントにあるのかもわかるので(笑)、どこをどう動かせばよいのか、企業に合わせてアドバイスしています。すでに10年以上担当させていただいている企業もありますが、CSRへの取り組みをどう社内に浸透させていくかを伝えられることが、ご評価いただいている点だと考えています。
また、できるだけ幅広い業界をカバーすることで業界全体を変えていきたいと考えて、意識的に案件をいただくようにしています。
また、私たちが提供するサービスは、型どおりのものではなく、半分以上は顧客からの相談に応じて、個別にサービスをつくる形で行っています。
大手化粧品メーカーでは、動物愛護NGOから動物実験廃止を訴えるデモを受けた際、動物実験廃止に向けた取り組みを協議する円卓会議をコーディネートしたこともあります。2年間で5回の対話を積み重ね、同社は動物実験の廃止を決断しました。協調をコーディネートすることも私たちの役割の一つです。
 
価値を発揮し続ける組織をつくる
社内では、クレアンで働く事の共通価値観として、「クレアンバリュー」という7つの行動規範を掲げています。こちらは、日々業務において意識することであると同時に、セルフチェックにも、各人の査定にも使います。ただ、できなかったことを減点するのではなく、考え方や姿勢など、自分の強みを確認していく道標でもあります。
 
通常のレポート制作では、各顧客企業の案件に対し、10人前後が携わり、年に40数社程度担当させていただいているので、1年間で延べ500人が稼動していることになります。当社の社員はプロデューサーの役割を担い、他は外部のビジネスパートナーと業務を進めます。
最近ではコンサルティング会社や投資銀行の出身者など、様々な専門スキルを持った方が入社してくれるようになりました。
図1 クレアン
バックキャスティングで考える
2015年9月に、国連では、2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)が採択されました。その前のミレニアム開発目標(MDGs)は、貧困解消をはじめとする途上国への対策が中心でしたが、SDGsでは、企業セクターの積極的な関与が重視されるなど、先進国を含む世界全体の今後の指針です。
私たちは、社内でも、顧客に対しても、未来から現在を振り返って考える「バックキャスティング」の考え方を促しています。過去の延長線上ではなく、未来のあるべき姿から考えてビジョンを作るのです。
最近では、2030年~2050年からのバックキャスティングで大きく発想を転換して社会を考えるようにしています。今の延長線上の場合と、対策が進んだ場合、2つのシナリオでどう違うのか、そのギャップを埋めるためにどうすればよいかを考えています。
今後の共通の最重要課題は、気候変動だと考えています。その解決のキーワードは、ダイバーシティ(人的な多様性)と教育です。2000年以降に生まれた子どもたちに、新しい未来社会を創造する教育を実践できるよう、働きかけていきたいです。
 
(文責 伊藤)

第47回 社会事業家100人インタビュー  (特)プレーパークせたがや 天野秀昭氏 3月14日開催決定!!

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
社会事業家の先輩にビジネスモデルを学ぶ!
社会事業家100人インタビュー 第47回
─────────────────────────────
子どもの成長における「遊び」の重要性を、「プレーパーク」
という場で実証し続け、事業として展開。

(特)プレーパークせたがや 天野秀昭さん
─────────────────────────────
2016年3月14日(月)18:30~21:00
@日本財団2F会議室(虎ノ門/溜池山王)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆
先輩社会事業家からビジネスモデルを学ぶための本企画。
SBN理事・IIHOE代表の川北秀人がインタープリターとなり、
直接、先輩事業家に学び、質問することができる対話型講座です。
今回のゲストは、(特)プレーパークせたがや 天野秀昭さん。
80年、世田谷区内の自由で冒険的な遊びができる「プレーパーク」で、
日本で初めての有給プレーリーダーとして活動し、その後、区内に3か所の
プレーパークを住民とともに開設、場を担う人材をも育成してきた天野さん。
子どもを取り巻く社会的背景も大きく変わる中、どのように事業を維持し、
展開されてきたのでしょうか。
天野さんのお話を聞きたい方はたいへん多いことが予想されるため、
今回は日本財団に会場を移して開催いたします。
プレーパークについて関心のある方、子ども関連の活動をされている方など
お誘いあわせの上、ぜひご参加ください(託児はございませんが、会場が
広いので、お子さん同伴をお考えの方もご相談ください)。
───────────────────────────────────
● 開催概要
───────────────────────────────────
日時:2016年3月14日(月)18:30~21:00
*通常と開始時間が異なりますので、ご注意ください。
会場:日本財団2F会議室(東京都港区赤坂1丁目2番2号)
【アクセス】
東京メトロ銀座線「虎ノ門駅」3番出口より徒歩5分、
南北線・銀座線「溜池山王駅」9番出口より徒歩5分、
丸ノ内線・千代田線「国会議事堂前駅」3番出口より徒歩5分。
*下記サイトをご参照ください。
http://www.nippon-foundation.or.jp/about/access/
定員:50名
対象:社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方
ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方
参加費:SBN会員:1,500円、SBN非会員:2,500円
*参加費のうち500円は、ゲストが指定する寄付先にそのまま
寄付させていただきます。
主催:(一社)ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)、
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]
共催:日本財団CANPANプロジェクト
───────────────────────────────────
●特定非営利活動法人プレーパークせたがや 紹介
http://www.playpark.jp/
───────────────────────────────────
「NPO法人プレーパークせたがや」は、以前より世田谷区内の4つの
プレーパークの運営を続けてきた地域住民(世話人)たちが中心となり、
2005年2月に設立。子どもがいきいきできる社会を目指し、冒険あそび場
プレーパークの運営、乳幼児の親子と多世代の交流ハウスの運営、
思春期の子どもの居場所づくりなどに取り組んできました。
活動の目的は、世田谷のプレーパークで培った「自分の責任で自由に遊ぶ」
という理念を社会により広く伝え、子どもがいきいきできる社会を実現
していくことです。
・NPO設立後、3年目までは順当でしたが、突発的な事業拡大による
人財不足と兼任が多すぎるゆえの機動力低下により、4年目の2008年より
苦しい赤字経営に陥ります。
・2010年、現状を打開すべく、Panasonic NPO サポートファンドに応募し、
2011年より『NPOとして持続可能な組織デザイン』に着手。社会的ニーズと
自団体の力量を見つめ直し、「組織基盤強化」3年間の修行に挑みました
(伴走者はIIHOE 川北秀人氏)。
・2015年より、マーケティングプログラムにも挑戦し、さらに自団体ならでは…
の組織基盤の在り方を見つめなおす日々です。
・今回は、組織基盤強化担当理事の早川直美と実務担当の大垣内弘美も、
参加させていただきます。
───────────────────────────────────
● ゲストプロフィール
───────────────────────────────────
天野 秀昭(あまの ひであき)さん
iv_amano_face.png
1958年、東京生まれ。大学時代、自閉症児との出会いをきっかけに
「遊びの世界」の奥深さを実感する。1981年、日本初の民官協働による
冒険遊び場『羽根木プレーパーク』で初めての有給プレーリーダーを務め、
その後、地域住民とともに世田谷・駒沢・烏山の3つのプレーパークの
開設に携わる。子どもが遊ぶことの価値を社会的に高め、普及し、実践する
ための2つのNPO法人『日本冒険遊び場づくり協会』『プレーパークせたがや』の
立ち上げの一員。両法人の理事を務めている。
2014年、幼稚園保育園の園庭を魅力的な子ども育ちの場(遊び場)にとの
願いで、新たな特定非営利活動法人『園庭・園外での野育を推進する会』を
設立。新しい挑戦を始めている。
(特)『日本冒険遊び場づくり協会』理事
(特)『プレーパークせたがや』理事、
(特)『フリースペースたまりば』理事
(特)『園庭・園外での野育を進める会』理事長
───────────────────────────────────
● プログラム
───────────────────────────────────
◇ ゲストのご紹介、趣旨説明
◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介
◇ インタビュー
<インタビュアー>
ソーシャルビジネス・ネットワーク理事、IIHOE代表者 川北秀人
◇ 参加者からの質疑応答
・ご参加者からの質疑応答の時間を設けますので、お1人1回はご質問ください。
・参加申込みいただいた方には、事前にお目通しいただきたい資料をメールで
お送りします。
───────────────────────────────────
● 申込みについて
───────────────────────────────────
2015年12月より、社会事業家100人インタビューは、事前精算の
チケット購入「Peatix」による申込み受付となりました。
事前にクレジットカードかコンビニ決済によってご入金いただく
かたちになりますので、お手数ですが、事前にこちら↓
http://peatix.com/event/148841/view
から申込みをお願いします。
申込締切:3月11日(金)
*定員になり次第、締切らせていただきますので、お早めにお申込みください。
*ご事情により、事前精算・申込が行えない場合は、お問い合わせ先まで
ご連絡ください。
*当日急遽参加できることになった場合は、会場にて対応可能ですので、
ご相談ください。
【お問い合わせ先】
————————————————————-
一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
TEL:03-6820-6300
FAX:03-5775-7671
e-mail:100info@socialbusiness-net.com
@の部分は半角に変換して、お送りください。
◇本プロジェクトのfacebookページ
http://www.facebook.com/100JapaneseSocialEntrepreneurs

【レポート】第44回 社会事業家100人インタビュー 特定非営利活動法人ねおす 理事長 高木晴光氏

 

社会事業家100人インタビュー第44回
先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ

2015年11月13日(金)19:00~21:00
於 ソーシャルビジネス・ネットワーク事務所

ゲスト 特定非営利活動法人ねおす 理事長 高木晴光さん

 ねおす 高木氏

 
<プロフィール>
千葉県船橋市生まれ。北海道大学農学部農業工学科卒業。
貿易商社に勤務。外為・デリバリー(発注・輸送・通関部門)を担当後、輸入部門にて、主に北欧より建具、家具、生活関連資材の商品開拓を担当。
輸入業の関係からレジャー産業に関わりを持ち始め、80年代後半は、大型健康施設やリゾート施設の企画開発やスポーツクラブの運営も行った。
この頃より、健康・社会教育事業に大きな興味を抱くようになり、徐々にハード(施設開発)からソフト(プログラム開発)を手がけるようになり、独立してアウトドア事業を始めた。現在は、道南・黒松内町を移住拠点として、地域支援、各種自然体験型プログラムの提供を中心に、「自然と人、人と人、社会と自然」をテーマに地域づくりやコミュニケーショントレーニングなどのワークショップを行っている。
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
北海道でも自然学校が活発になったのはこの10年間の話で、最初は山岳ガイドの延長のような状態からスタートした。
田舎暮らしや自然体験活動に興味関心をもって来た人に対して、自然学校という手段をもって、生活を継続させるための生業作りを教えてきたところに、ねおすの特徴があると思われる。
自然体験を指導し、また指導できる人を多数輩出してきたねおすのモデルをどのように実現させてきたか、その秘訣を語っていただきたい。
 
自然学校を地域の社会教育拠点に
ねおすは、自然の中でのツアーやプログラムを行うところからスタートしました。観光業者と似ていますが、何が違うといったら、社会教育を実践してきたところだと思います。自然学校は、全国に行政がやっているもの、営業的なガイド業者も合わせて4,000校くらいありますが、ねおすのように民間で社会教育活動まで手がけているところは1000校に満たないかもしれません。
自然学校の目標は、「どうにかできる人を育てる」ことにおいています。自分のくらしとシゴトを作れる人を育てることが重要で、自然体験型環境教育に限らず、生活体験や地域活動のなんたるかも学んでもらうようにしています。自然体験の良いところは、自己肯定感が育まれること。スポーツのような競争の世界では、ワザが勝負ですから、自己肯定感を育みにくいかもしれませんが、、自然の中で遊ぶことを通して、小さくても成功体験をたくさん積み重ねることができます。これが自己肯定感=生きてゆく自信につながると思います。自分を遊ばせられる人は、仕事もできると、信じています。。
ねおすが始まってから6~7年間は、山岳ツアーの企画とガイドが中心のシゴトでした。その後は、都市から人々を連れ出すシゴトから、スタッフが自然豊かな地域に住み暮らし、各地域の拠点づくりにシフトし、現地化を進めました。
地域にはいろいろなニーズがあり、スタッフたちもいろいろな仕事に携わります。水道管理、農繁期には農作業の手伝い、運動会の運営から、高齢者の年賀状の宛先書き(笑)まで。地域に溶け込むといろんな仕事を頼まれますが、そうやって手を貸すことで信用を得て、徐々に現地に定着できるのです。
 
自然体験をより多くの人に届け、地域の可能性を価値に
自然学校で体験プログラムを提供する以外に、新しいしくみづくりも進めています。地域で事業の種を見つけ、ねおすの事業と結び付けるという、コンサルティング会社やコーディネーターのようなことも始まっています。さらに、「ねおす共育ファンド」と名付けた年間200万円ほどのファンドを設けて、公立学校の児童たちが体験学習に参加する際のバス代の補助に使ったり、インターンシップに参加する若者の交通費補助などに充てたりしています。
登別では、15年ほど前、廃校を活用した市の施設の指定管理から始まって、NPO育成に携わり、現地に地域NPOを独立派生させるようになりました。今では、建設や子育てなど6カテゴリーで、33のボランティアチームが、自主的に活動するまでになっています。ボランティア・コーディネートはねおす出身の現地NPO職員が担っていますが、すると管理する側としての役割が増えて、与えられるだけの仕事になり、仕事が面白くなくなってしまうのが課題です(笑)。ボランティアの方たちが自主的に事務局を担えるようになるのが、次の目標ですね。
道南では、JRと一緒にNPOをつくったことがきっかけで、体験型のエコミュージアムを創出する牧場経営も独立した元ねおす職員が現在実行しています。さらに新しいプロジェクトとしては、厳しい環境で生きられる道産子馬をカカオ栽培地の東南アジアに輸出して、カカオをフェアトレードで輸入して生チョコをつくるプロジェクトや、オーガニック羊を育てようとしています。
また、認知症高齢者や精神疾患者、介護を要する人や障碍者など、これまで自然学校のプログラムに参加できなかった人への働きかけ(アウトリーチ)も進めています。
 
「銀河ネットワーク」と「自己評価リスト」で人を活かす組織をつくる
現在、組織の再編を進めています。各地の事業が自発的に動いていて、今年度は支部が2か所独立しました。よい意味で、全部の活動を把握しきれないほど、独自に発展しています。個性ある独立した集団をたくさん育て、重ね合わせ、くらしとシゴトをつくっていこう。これを「ねおす銀河ネットワーク構想」と呼んでいますが、実現化しつつあります。
自分は学生時代に農業機械を学んでいましたが、組織を農業機械に例えると、作物が実るまでには、場面ごとにふさわしい工程が必要になります。今は、荒地を切り開く人が必要なのか、土地を柔軟にする人が必要なのか。次のフェーズにはどんな役割の人物に参画してもらうべきなのかを農業機械の機能に例えて考えます。
現在は正職員15名、事業規模1億円程度で、増えたときはその都度に人を雇います。毎年11~12月には自己評価リスト100項目で自己評価させた上で、スタッフ一人ひとりと話して、自身の仕事のあり様を振り返らせます。査定に使うわけではなく、自分を過小評価してしまう人もいるため、多面的に検証できるようにしています。
なぜ人材を輩出できるかが本日のテーマの一つだったかと思いますが、入ってくる人たちが最初から、「卒業すること」を前提に考えてもらっていることが大きいかもしれません。卒業生の進路は、独立する人もいれば、元の職場に戻ったり、教員になったりする人もいます。
第44回 100人インタビュー
学び方を学び、事業を通じて人を育てる
ねおすには、「経営の参画の梯子」と呼ぶ職位みたいなものがあり、上から、プロデューサー(0から事業をつくれるレベル)、コーディネーター(ある程度素地がある地域で事業を展開できるレベル)、チーフディレクター、ディレクター、研修生としています。
事業をすることと、スタッフ・トレーニングは、車の両輪です。どちらか一方だけを行うことはできません。スタッフには、「学び方を学ぶんだ」と常に言っています。それぞれが自分の組織を運営し、意見を言い合える仲間がいることが、よい状態だと思います。そんな組織をめざして、常に工夫を続けています。
 
(文責 伊藤)

【レポート】社会事業家100人インタビュー特別企画 株式会社山形県自動車販売店リサイクルセンター 専務取締役 菅原 弘紀氏

社会事業家100人インタビュー特別企画
先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ

2015年10月25日(日)

菅原 弘紀氏

ゲスト:菅原 弘紀さん 
株式会社山形県自動車販売店リサイクルセンター 専務取締役
特定非営利活動法人山形県自動車公益センター 専務理事
<プロフィール>
1966年トヨタカローラ山形(株)へ途中入社。74年より所長職。以後・各地域を担当、2001年2月の本社営業本部地区長を最終とし、同年2月(般社)日本自動車販売協会連合会山形県支部常務理事として出向。翌年、専務理事就任。05年9月、同支部会員のメーカーディーラー全社の出資により、(株)山形県自動車販売店リサイクルセンターを設立。09年1月には、同支部の公益活動を基に、新たな取り組みをスタートさせるため、(特)山形県自動車公益センターを設立。山形県内自動車販売業界が一丸となって、環境に配慮した取り組み、エコドライブ推進、エコカー普及、環境マイスター認定制度支援、エコ整備(法定定期点検)推進、交通安全推進の他、循環型社会の構築にむけた開発研究等(再利用、再商品化、再資源化)、効率的な作業を行っている。
 
―――――――――――――――――――
<今回のインタビューのポイント>(川北)
自動車の販売に永く携わり続けてきたからこそ、自動車が販売された後に、ドライバーによって運転され、廃車されるまでのライフサイクルを通じて発生する社会課題に挑み続ける菅原さん。同じ課題に向かう行政やNPOと連携しながら、具体的な手法を試し続けているところに学んでほしい。
―――――――――――――――――――

自動車販売業界の社会的責任に、協働で挑む

 
自動車を「社会悪」としないために、パートナーシップを組む
山形県において、自動車とは生活になくてはならない必需品です。
今から30年程前のバブル経済・まっただ中のとき、私は自動車販売会社の米沢営業所に勤めておりました。
当時は「交通戦争・交通地獄」と言われるほど多発交通事故が深刻な社会問題となり、悲惨な事故がおこるたびに、消費者団体や婦人団体から怒りの声があがるなど、私自身、自動車販売に携わる者として、いたたまれない思いが続く日々でした。山形県警に勤める友人に、「交通事故のない社会をつくりたい」と交通安全キャンペーンの開催を相談したところ、「良いことだから米沢市だけでなく県内で一斉にやるべきだ」と後押しされました。
その為、山形県警と(般社)日本自動車販売協会連合会山形県支部(以下、自販連山形県支部)との連携により、自動車メーカーディーラー全社の拠店長が山形市内ホテルへ一同に集まり、交通事故を防止し、安心安全で暮らせる交通社会の実現に向けた組織を結成、山形県自動車販売店交通安全対策推進協議会がスタートしました。その翌年には全国に広がり、(般社)日本自動車販売協会連合会交通安全対策協議会が発足し、全国各地域においてそれぞれのやり方で交通安全対策を推進しています。
1997年の地球温暖化防止京都会議(COP3)で京都議定書が採択され、日本ではCO2の約2割を自動車等の運輸業が排出しているということを知り、ショックを受けました。自動車の排ガスは、ユーザーが車の乗り方を変えることによって低減できます。車間距離をとって急ブレーキを避ける運転は、安全運転でもあります。これまでの活動と同じ仕組みで、地球温暖化も防止できると考えました。
経済活動と環境保全は両立できるし、両立できなければ長続きしません。安全運転で事故を減らすとユーザーは保険料が下がり、排ガスを抑える乗り方でガソリン代も節約できます。ちょうどその頃、低公害車(エコカー)の普及推進が始まり、県庁と協働で取り組むことになりました。県庁の駐車場を借りて、県内のメーカーディーラーから低公害車を集めて展示会を開催。「民間団体に県庁の駐車場を貸すとは何事か」とのクレームもありましたが、地球温暖化の防止という目的は行政と共通しており、県庁の担当者ががんばってくださいました。
その後も行政とは10年間以上継続して協働していますが、行政と業界団体が長期にわたって協働する環境の取り組みは世界的にも珍しいと注目され、14年10月には国連本部(ニューヨーク)にて開催された国連エコドライブカンファレンスの事例発表には日本から他の2団体とともに私ども自販連山形県支部・(特)山形県自動車公益センターが招かれプレゼンをする事ができました。自動車を生業とするものとして、自動車を社会悪だと言い訳したくはありません。環境問題も交通安全推進も、話し合い・理解が深まれば行政はバックアップしてくれます。
 
環境マイスター認定制度を山形に立ち上げる
地球温暖化については、当時、自動車を販売する私たちに十分な知識がなかった事から、3,000名以上いる山形県内の自動車販売スタッフ全員に学ばせるための資金を得ようと、05年に「先駆的省資源・省エネルギー実践活動等推進事業」という内閣府の公募事業に応募、結果は次点で採用されませんでしたが、環境市民(京都府)というNPO法人と出会うきっかけとなりました。環境市民は「環境に配慮した買い物(グリーン購入)」の普及をめざして、消費者に環境配慮型製品について適切な情報が伝えられる販売スタッフを増やすことに取り組んでいました。そこで、山形県では環境市民と私たち自販連、サッシ・ガラス協同組合、家電の販売組合等が協働して、地球温暖化防止、省エネルギー、グリーン購入等の知識を学び試験を突破した販売スタッフを「環境マイスター」に認定する制度を始めました。
認定を受けた販売スタッフは、エコカーやエコ運転がいかに節約になるかということもしっかり説明するなど、地球温暖化防止と経済的なメリットの両方を伝え、交通事故削減にも貢献できます。販売スタッフが自信をもって接客できることで、販売店のモチベーションも上がるなど、環境マイスターが増えることは、自動車販売業界全体のステータス向上へと繋がります。
翌年、同公募事業に再度チャレンジし、その時に認められた予算では、私たちだけが知識を得るにとどめず、エコ安全運転を広く呼び掛ける「YBCやまがたドライビングエコ」というラジオ番組をスタートし、その後も10年にわたり継続して放送しています。
山形県では環境マイスターが900人を超えました。環境マイスターによるエコ安全運転の啓発活動は10年間で750回を数えます。更なるエコ安全運転の普及推進のために、今年からは小学校5年生の子どもたちに地球温暖化を伝え、その対策としてのエコ安全運転を早期教育する「こどもエコドライブ推進事業」を始めました。修了後に子どもライセンスを発行すると、子どもたちは喜んで親にドライブマナーを伝えたり、子どもの目線で「エコでないドライブ」を指摘するなど、子どもたちを巻き込みながら社会を変えるプログラムです。
山形県自動車公益センター
使用済み自動車の適正処理事業への挑戦
日本では年間約360万台の自動車が廃車になっています。鉄やアルミ等の金属部分以外はリサイクルされず廃棄されることが多く、時に不法投棄という問題も発生します。その対策のために、自動車リサイクル法が05年に施行されましたが、その直前に、県内で過去最大規模の不法投棄事件がありました。倒産した廃棄業者が6,000台もの廃車を山間部に放置したのです。撤去するためには、一台ずつ、元の持ち主であるお客様と連絡を取る必要がありました。そこで、お客様は私たちを信じて買い取り(下取り)を頼んでくださっているので、自分たちにも責任の一端があると気づかされました。
当時、県内には廃棄・解体業者が4団体、54事業所があり、このような不法投棄が2度とないよう県内組織を作り、どこかが倒産したときは、業界として責任を持つようにして欲しいとの話し合いを何度も行いましたが、どうしても話し合いが付かず、やむえず、私ども県内全メーカーディーラーの総意として解体業をやる事になりました。
コンセプトは「新車の販売から使用済みの適正処理まで一貫して責任を持つ体制」です。
新しい解体業の立ち上げについては、検討委員会、準備委員会を作り、当時、私は自販連の山形県支部の専務理事を務めていたため、事務方責任者として(株)自動車販売店会館の分社という初めての手法で新会社を立ち上げ、持ち株会社が誕生しました。そして山形日産自動車(株)が経営していた前北部産業を従業員数10名と一緒に譲り受けましたが、予測される規模に備えるためには、設備投資だけで3億円が必要でした。銀行との交渉の結果、借り入れが叶い、当初借入資金は返済を終え、その後の庄内事業所等追加投資分の一部を現在返済中です。
11年からは、海外への自動車部品等輸出事業を開始、リサイクル部品の流通に向けた連携先は、マレーシア、ドバイを通じて中近東、タンザニア、UAE、などに広がりました。近年、海外と仕事をするなかで、日本人が物を大事にしなくなったことを痛感しています。タンザニアでは、少ないものを分け合って素朴に生活しています。でも、東南アジアでは物があふれてきていて、高度成長時代の日本と同じだと感じます。世界に影響を与えうるからこそ、今、私たち日本人は3R(リサイクル・リユース・リデュース)+リスペクト(物を大切にする心)を伝えたいとの考えで、シートベルトやエアバッグをリサイクルした商品を各販売店店舗棟で展示しています。設立10周年記念で若いデザイナーの力を借り、新たな商品のリサイクルバッグをつくってみたら、大変大きな反響がありました。山形に新しい雇用をつくりながら、リサイクル商品をつくりたいというのが、長年の想いです。日本の20年、30年前の状況を繰り返さないよう、日本はリサイクル技術も海外に示していかなければなりません。
今取り組んでいるのは、古タイヤの農業用の暖房資源への転用です。ヘッドライトを水耕栽培用のライトに、バッテリーをソーラーパネルで発電した電気の蓄電に使うなどの活用を実験的におこなっています。省エネとエコ安全運転には経済的なインセンティブがありますが、課題はリサイクルです。自動車販売業界としては、廃車までのライフサイクルを通じて環境負荷の少ない車を、製造過程より考慮してもらいたいと願っています。
(取材日:2015年10月22日)
 
(文責:前川)

第46回「社会事業家100人インタビュー」(12/1@(株)クレアン東京本社(目黒))参加者募集

『社会事業家100人インタビュー』(12/1)
ゲストは(株)クレアン 代表取締役 薗田綾子さん
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
社会事業家の先輩にビジネスモデルを学ぶ!
社会事業家100人インタビュー 第46回
─────────────────────────
社会と企業の持続可能性の向上に、
ビジネスを通じて挑戦する
(株)クレアン 代表取締役 薗田綾子さん
薗田さん トップ画面
─────────────────────────
2015年12月1日(火)19:00~21:00
@(株)クレアン東京本社(目黒)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◇◆
先輩社会事業家からビジネスモデルを学ぶための本企画。
SBN理事・IIHOE代表川北秀人がインタープリターとなり、
直接先輩事業家に学び、質問することができる対話型講座です。
今回のゲストは、(株)クレアン 代表取締役 薗田綾子さん。
女性の活躍推進から環境ビジネスへ、そしてCSR推進、サステナビリティ経営
への転換の後押しと、次々と事業を展開しながら、持続可能な社会を実現
するためのインパクトを与え続ける薗田綾子さんに、これまでのビジネスの成り立ちを伺います。
───────────────────────────────────
● 開催概要
───────────────────────────────────
日時:2015年12月1日(火)19:00~21:00場所:株式会社クレアン 東京本社 会議室
東京都港区白金台3丁目19-6 白金台ビル5階
(JR山手線 目黒駅から約7分)
http://www.cre-en.jp/company/access/定員:約20名
対象:社会事業家として事業を始めている方、これから始めようとされている方
ビジネスモデルの作り方を先輩社会事業家から学びたい方

参加費:
SBN会員: 1,500円
SBN非会員: 2,500円

https://socialbusiness-net.com/guide
※うち500円は、ゲストの指定する寄付先に寄付させていただきます。
※希望者の方は終了後に1時間程度懇親会にご参加いただけます。
(同会場にて。事前申し込み制。懇親会参加費2,000円)
※12月より、社会事業家100人インタビューの参加費受付は、
事前精算のチケット購入「Peatix」にて受付させていただきます。
事前にクレジットカードかコンビニ決済によって入金いただく形になります
ので、お手数ですが事前にこちら→ http://peatix.com/event/125900
から申込みをお願いします。
なお、事情によりどうしても事前申込が行えない場合は、問い合わせ先までご連絡ください。
主催:一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク(SBN)、
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所]

───────────────────────────────────
株式会社クレアン 紹介
───────────────────────────────────
1988年、女性を中心にしたマーケティング会社として始まった(株)クレアン
女性が活躍できる職場をつくりたい、との想いから女性就職情報誌「Salida」の
創刊や、日本初のインターネットマガジン「ベンチャーマガジン」の創刊などを
手がける。
同時期に環境問題にも関心を持ち、地球村 代表 高木善之監修の「地球は今」
シリーズ全10巻の出版や、NECと共同でスタートした環境情報マガジン
「エコロジーシンフォニー」、など、環境コミュニケーションビジネスを次々
と展開。2000年からは、社会を変革していくためには社会的に影響力の大きな
企業が変わることが重要という考えから、企業の環境報告書・CSRレポートを
はじめとした情報開示およびステークホルダーコミュニケーションの支援、
CSRマネジメントの推進を一貫して進め、これまで支援してきた企業の数は延べ
600社を超える。
「2020年に向けて、事業を通じて地域、国という枠組みを越えた地球と人、
人と人とがつながるサステナブルな社会を実現します」という2020年ビジョン
を掲げ、次は2030年ゴールに向けて新しいビジネスモデルのスタートを準備する
(株)クレアン
本業に加えて(特)社会的責任投資フォーラムの理事やGRIガイドラインをはじめ
とする国際的フレームワークの普及を行う(特)サステナビリティ日本フォーラム
の事務局長なども務める薗田さん。
女性の活躍推進から環境コミュニケーションビジネスへ、そして本格的なCSR推進、
サステナビリティ経営への転換を推奨する(株)クレアン 薗田さんのビジネスモデル
の変遷を伺います。
───────────────────────────────────
● ゲストプロフィール
───────────────────────────────────
薗田 綾子(そのだ あやこ)さん
株式会社クレアン 代表取締役
特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラム 事務局長

兵庫県西宮市生まれ。甲南大学文学部社会学科卒業。
1988年、女性を中心にしたマーケティング会社クレアンを設立。
1995年、日本初のインターネットウィークリーマガジン「ベンチャーマガジン」
を立ち上げ、編集長となる。
そのころから、環境・CSRビジネスをスタート。
現在は、大阪ガス(株)、(株)セブン&アイ・ホールディングス、日本たばこ
産業(株)、明治ホールディングス(株)、ユニ・チャーム(株)、横浜ゴム(株)
など延べ約600社のCSRコンサルティングやCSR報告書の企画制作を支援。
特定非営利活動法人サステナビリティ日本フォーラム事務局長、
特定非営利活動法人社会的責任投資フォーラム理事、
環境省チャレンジ25キャンペーン関連事業推進委員会委員、
内閣府「暮らしの質」向上検討会委員、日経ソーシャルイニシアティブ大賞審査員、
また次世代への教育活動として東北大学大学院および大阪府立大学大学院の非常勤講師
などを務める。
───────────────────────────────────
● プログラム
───────────────────────────────────
◇ ゲストのご紹介、趣旨説明
◇ ゲストご自身からビジネスモデルの紹介
◇ インタビュー
インタビュアー:ソーシャルビジネス・ネットワーク理事、
IIHOE代表者 川北秀人
◇ 参加者からの質疑応答
・参加者からの質疑応答の時間を設けますので、
ご参加いただく方は1人1回はご質問ください。
・ゲストの事業についてご理解いただくために、事前資料をお送りします。
(参加申込いただいた方にご連絡します。)
・希望者の方は終了後に1時間程度懇親会にご参加いただけます。
(同会場にて。事前申し込み制。懇親会参加費2000円)
───────────────────────────────────
● 申込みについて
───────────────────────────────────
2015年12月より、社会事業家100人インタビューは、事前精算のチケット購入
「Peatix」にて申込み受付させていただきます。
事前にクレジットカードかコンビニ決済によって入金いただく形になりますので、
お手数ですが事前にこちら↓
http://peatix.com/event/125900
から申込みをお願いします。

申込締切:11月30日(月)
*定員になり次第、締切らせていただきますので、お早目にお申込みください。
*なお、事情によりどうしても事前精算・申込が行えない場合は、問い合わせ先までご連絡ください。
*当日急遽参加になった場合は、会場にて対応いたしますので、受付スタッフにご相談ください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【お問い合わせ先】
————————————————————-
一般社団法人ソーシャルビジネス・ネットワーク
TEL:03-6820-6300
FAX:03-5775-7671
e-mail:100info@socialbusiness-net.com
@の部分は半角に変換して、お送りください。
◇本プロジェクトのfacebookページ
http://www.facebook.com/100JapaneseSocialEntrepreneurs

【レポート】社会事業家100人インタビュー (特)3keys 代表理事 森山誉恵氏

社会事業家100人インタビュー第43回 
先輩社会事業家のビジネスモデルを学ぶ

2015年10月21日(水)19時~21時
於:ETIC.ソーシャルベンチャー・ハビタット

ゲスト:森山誉恵さん 特定非営利活動法人3keys 代表理事

(特)3keys 森山誉恵氏

 
<プロフィール>
大学時代から子どもの教育・福祉にまつわる活動を続け、(特)3keysの代表理事として、虐待や貧困のもとで暮らす子どもたちや、児童養護施設などで保護されて暮らす子どもたちのサポートを行っている。東京都生活文化局主催「共助社会づくり検討会」の委員。現代ビジネスで「いつか親になるために」を連載中。
◇受賞・表彰歴
2011年社会貢献者表彰 社会貢献部門受賞/2011年ロハス大賞「ヒト」部門ノミネート/ウーマンオブザイヤー2014にて若手リーダーとして紹介/AERA「2020年 主役の50人」にて選出
 
<今回のインタビューのポイント>(川北)
あまりにも大きいニーズに対して、現段階での同会の働きかけは、質・量とも不足している状況。しかし、対象を明確に設定し、課題へのアクションを急速に積み重ねてきた結果、当事者がおかれている状況を明確に代弁できる力を持つようになってきた。自分たちが直接現場を運営するだけでなく、周りを巻き込んで動かす影響力をさらに高めるためにどのような取り組みが求められるか。現在進行形の事例としてお聞きいただきたい。
 
民間の立場から、社会的養護下にある子どもたちに手を差し伸べる
3keysは、親や家庭の状況(貧困、虐待、親自身の地域社会からの孤立など)によらず、すべての子どもたちが、社会から孤立することなく安心・安全に暮らしていけることをめざして活動しています。
いま日本では、「社会的養護」(乳児院・児童養護施設・情緒障害児短期治療施設・児童自立支援施設・母子生活支援施設・自立援助ホーム)のもとで暮らす子どもたちは全国に約5万人、東京都内には約4千人おり、18歳で施設を出てからも(注)、自立した生活を送るにはさまざまな困難が伴います。このような子どもたちを取りまく問題を改善するには、行政や各家庭に任せるには無理があり、民間の立場からの柔軟で継続的な取り組みがどうしても必要です。
ひとつの団体ができることには限りがありますが、3keysでは、施設入所中の子どもたちへの「学習支援」、親を頼れない子どもたちからの「相談受付」、子どもたちの現状を社会に伝え、一人ひとりがかかわる方法を伝える「啓発」という、3つの事業を行っています。常勤スタッフ2名、運営に関わるボランティアが約50名 活動にかかわる登録ボランティアが約250名という体制です。
(注)日本は諸外国と比べ里親委託率がたいへん低く、ほとんどの子どもは18歳まで施設を出られない。
 
一人ひとりの状況に寄り添い、継続的に学習を支援する
2011年から開始した学習支援事業は、施設に「学習支援ボランティア」を派遣して行う、主に中高生を対象とした個別指導です。2014年度は、都にある約100の施設のうち19施設で約120名の子どもが利用し、参加ボランティア数は約80名でした。
マンツーマンで継続的な指導を行う理由は、他の子と比較されることなく、その子の目的にそったきめ細やかな支援が可能だからです。大人がそばにいるだけで、落ち着いて勉強に取り組める子もいますし、本人も気づかなかった得意分野やつまずきやすい部分を発見できるメリットもあります。
施設は24時間体制の運営で、体力的にも精神的にもきつい業務のため、離職率が高く常に人手不足です。また施設に対しては、住民から偏見を持たれがちで、地域とのつながりが希薄なこともあります。このため、子どもたちの学習支援に取り組む余裕や、外部からの支援はほとんどありません。学校もまた、教師は常に業務過多で、一人ひとりの生徒に向き合う時間はないのが現実。結果、子どもたちの学習の遅れや悩みは放置されざるを得ません。
このような状況下で、施設のこどもたちは、両親や職員、教師のような大人に対してどこか距離を置いてしまうことが多く、本当は高校や大学に行きたくても自分が言ったら笑われる・怒られると思ったり、わからないことをわからないと表明できないまま学年を重ね、あっという間に自力では勉強の遅れを取り戻せない状態になってしまうことも少なくありません。
学習支援を希望する子どもと施設と3keysは、最初の面談で覚書を交わし、「いつまでに何を目的としてどんな学習をするのか」を確認しあいます。学習の目的は、日ごろの学習サポートや受験、高卒認定試験対策や高校再入学・卒業のための勉強、外国籍の子どもの日本語学習、公務員試験対策までさまざまです。
 
ボランティアがボランティアを統括する
学習支援ボランティアを希望する人には、まず登録会に参加してもらいます。登録後の研修では、教え方の技術をお伝えするのではなく、私たちと子どもたちのおかれている環境とのギャップを知ってもらうことに重点をおいています。また、ケーススタディーで指導のイメージをつかんでもらいます。その後、その方のボランティア上の条件や技能などと子どものマッチングが完了したら派遣、という流れです。
相性という観点では、たとえば、兄弟差別を受けていた子は年の近い大人が苦手、祖父母から虐待を受けていた子は年の離れた大人が苦手など、子どもの背景や年齢によっても変わってきます。また、子どもと相性がよいからといって必ずしもいいわけでもなく、仲がよすぎても、子どもから依存されてしまったり、ボランティアもそれに応えようと頑張りすぎてしまう危険性等もはらんでいます。
ボランティア期間中は、お互いの意見交換や悩み共有の機会を設けています。また、報告書を毎週提出していただきますが、何か問題が起こると、提出されなくなったり、逆に思いがこもりすぎた長い文になったりするなどの兆候が見られます。そんな時は早めに面談し、施設にも確認するなどの対策をとっています。
ただ、週1回の支援では大幅な学習の遅れを取り戻すのは難しいこと、施設からのニーズは非常に大きいにもかかわらず、実際に支援できているのはわずかな子どもたちのみであること、生活や心の安定を保てるような支援を並行して行わないと学習支援の成果が出にくいこと、などの課題は認識しています。
 
子どもから直接相談を受け、解決にむけたサポートを行う
近年報道にもあるように、貧困や虐待といった家庭の問題は、世代を超えて連鎖する傾向がみられ、子どもが抱える問題の背景には、複数の原因が絡んでいることもよくあります。親に頼れない子どもたちは、虐待・学習の遅れ・望まない妊娠や売春、借金・麻薬などさまざまなトラブルに巻き込まれる可能性が高いです。そこで3keysでは、2014年から子どもたちが直接相談できる窓口を設け、問題解決に向けた情報提供のほか、関連した専門機関への橋渡しを行っています。
面談・電話よりも、メールでのコミュニケーションが圧倒的に多い(約1700件)のが特徴です。何回も何回もショートメールが届いたり、深夜に電話があったりなど、相談対応体制や支援ボリュームの想定が困難で、現段階では1件ごとの対応となっていますが、今後は、もっと迅速に対応できる体制や仕組みづくりが必要だと感じています。ただ、相談の多くは、すでに支援できる団体があるのに知らないだけということもわかってきました。このため、今後は支援団体の情報を集約して共有し、ウェブサイト上でも公開したいと考えています。複数機関で継続的な支援が必要な深刻なケースは、その都度専門家の協力を得たり、議論したりしています。
 
まずは、身近な子どもとかかわりを深めてほしい
3keysでの活動を始めてから、子どもたちのおかれている状況を社会に発信し、積極的な支援をお願いする重要性に気づきました。2013年度からは、企業や自治体での研修・講演依頼、原稿執筆等を積極的にお受けしています。これがきっかけとなって3keysへの寄付を継続してくださる個人の方や、社員ボランティア・プログラムとして採用してくださる企業もでてきました。特に外資系企業は、平日の業務時間内にも取り組んでいただけることがあり、不登校支援や放課後の活動にかかわってもらいやすいので、ありがたく感じています。個人のボランティアを束ねるのはたいへんなことも少なくないですが、企業の場合、共通言語やルールがあるのでスムーズで助かります。
研修・講演では、もし「子どもたちのために何かしたい」と思ってくださるなら、親戚の子の相談相手になるなど、まずは身近な子どもとかかわってください、と強くお願いしています。多様な立場・世代が関与する環境が子どもを育てるからです。子ども関係のボランティア活動を希望される方で、まだ不安が多い方には、3keysでのボランティアは特殊な環境で育った子どもたちへのサポートで、かなりハードルが高い活動だと思うので、最初は、プレーパークやキャンプなどの活動を行う団体のボランティアをお勧めしています。「Yahoo!ボランティア」や東京ボランティア・市民活動センターの「ボラ市民ウェブ」で、「子ども・ボランティア」をキーワード検索する等で見つけることもできます。もちろん、そのような団体への寄付・募金、活動への参加も立派な支援です。
特定非営利活動法人3keys 図
 
予防的な取り組みにむけて、徐々に立ち位置を変えていく
大学2年生のときに周りの人に声をかけたりインターネットで募集したりして、任意団体3keysを立ち上げ、6つの施設に飛び込み営業してスタートさせた活動ですが、やればやるほど「できていないことの大きさ」に気付かされます。専門家や行政だけでなく、近年増えてきた民間他団体との連携も必須なのですが、団体の代表者はそれぞれの思いが強く、ちょっとした違いで折り合えないことがあり、がっちり協働するのはなかなかむずかしいこともあります。
地域のつながりが希薄になり、隣家で虐待や殺人があっても気づかれなかったり、という世の中です。昔は地域でボランタリーに担われていた「子どもの育成」は、有償の仕事や市民活動にだんだんと置き換えられてきています。持続可能性がない、サービスを提供する人・される人の単純分化を防ぐためにも、川北さんのいう「子どもの時から周りの人たちとかかわりを深め、周りの人の力をポジティブに引き出す力」をはぐくむような予防的な取り組みを視野に入れ、将来的には、子どもと接する人の育成や、公教育改善の提言にも取り組んでいけたらと考えています。
(文責:棟朝)

「社会事業家100人インタビュー」での寄付額・寄付先のご報告

「社会事業家100人インタビュー」では、
参加者からいただく参加費のうちお1人500円分については、
ゲストの指定する団体への寄付を行っています。
これまでの寄付先と金額について、下記のとおりご報告します。
ご協力いただいた参加者のみなさま、本当にありがとうございました!
寄付総額: 382,100円
(2020年4月9日時点)
【寄付先リスト】(2020年4月9日時点)
*寄付をした日付順に掲載
3000円 特定非営利活動法人チャイルドケモハウス
2500円 特定非営利活動法人D&P
5500円 一般社団法人健診弱者を救う会
(現・一般社団法人 みんなの健康
5000円 スリオンパク
3500円 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
5000円 特定非営利活動法人わははネット
6000円 特定非営利活動法人食の絆を育む会
4500円 港南台タウンカフェ
4500円 東海若手起業塾 実行委員会
12000円 株式会社西粟倉・森の学校
7000円 社会福祉法人むそう
5500円 公益財団法人京都地域創造基金
5500円 特定非営利活動法人ビッグイシュー基金
2000円 一般社団法人RQ災害教育センター
7500円 ミンナDEカオウヤショップ (ノベルティ購入)
12000円 一般財団法人みんなでつくる財団おかやま
6000円 特定非営利活動法人かものはしプロジェクト
8000円 東海若手起業塾 実行委員会
10500円 株式会社大地を守る会
3500円 海の学校
5000円 特定非営利活動法人ぱれっと
12500円 マドレ基金
6000円 特定非営利活動法人日本ホームスクール支援協会
3000円 特定非営利活動法人ジェイシーアイ・テレワーカーズ・ネットワーク
4000円 「にこまる食堂」プロジェクト
5000円 特定非営利活動法人RIVER
2500円 特定非営利活動法人北見NPOサポートセンター
4000円 フリースペースつなぎ
1500円 沖縄リサイクル運動市民の会
5000円 認定特定非営利活動法人ぐるーぷ藤
12000円 特定非営利活動法人Homedoor
9500円 特定非営利活動法人エンド・ゴール
7500円 特定非営利活動法人100万回のサアーたいへん
14000円 特定非営利活動法人 TENOHASI
11000円 特定非営利活動法人やまがた育児サークルランド
8600円 有限会社エコカレッジ
3500円 三陸ひとつなぎ自然学校
3000円 特定非営利活動法人ADDS
14000円 公益社団法人セカンドハンド
11500円 株式会社御祓川
4500円 一般社団法人グローバル人財サポート浜松
2000円 北海道エネルギーチェンジ100ネットワーク
6000円 特定非営利活動法人3keys
1500円 ねおす共有ファンド
11000円 特定非営利活動法人!-style
2500円 サステナビリティ日本フォーラム
9000円 特定非営利活動法人プレーパークせたがや
5500円 一般社団法人りぷらす
1000円 いわて生活者サポートセンター
21500円 公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
5000円 特定非営利活動法人自立支援センターおおいた
5000円 郡上里山株式会社
3500円 特定非営利活動法人自然体験活動推進協議会
4000円 NPO法人ORGAN
3500円 特定非営利活動法人秋田県南NPOセンター
3500円 認定NPO法人夢職人
2000円 フェリシモ わんにゃん基金
5000円 NPO法人Co.to.hana
8000円 はとりきっずぴあ
4500円 NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワーク 
1500円 公益財団法人共用品推進機構
3500円 認定NPO法人育て上げネット
2000円 特定非営利活動法人まちづくり学校
4500円 特定非営利活動法人HELLOlife

Contact us

ご相談・お問合せは
お気軽にお寄せください